365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365日フラッシュ・フィクション/今日は何の日?

『今日は何の日?』をテーマに書き綴った、365日分のフラッシュフィクション(短編集)一覧ページです。
記憶に残るような一瞬をイメージした短編小説集。内容は基本的に全てフィクションです。ノスタルジー、エモーショナル、そんな空気感を物語にしました。

目次

フラッシュフィクション(短編集)一覧

今日は何の日?1月のフラッシュフィクション

365 SS 1.14

『タロとジロです!奇跡の生還です!!』 古い映像がLED画面に映し出されている。 音声はプツプツとノイズが混ざって、右下には当時の日付なのか番組名が入っているのかモザイクが掛けられていて読み取れない。 画面が切り替わって […]

365 SS 1.15

好きな果物なに?と聞かれて私は心底辟易しながら「アボカド」と答えると、「えっなんで?!つーかアボカドって果物?!」と返された。 果物だよ、と返せば 「イヤイヤ普通イチゴとかリンゴとか桃とかあんじゃん!俺はイチゴが好き!! […]

365 SS 1.17

噛み締めた感触は、むぎゅりと歯に触る弾力。 ようやくおにぎりを口に含んだ。 砂のような口内に、ほんの少し、お米の甘みを感じた。 世界は今日も朝を迎えてて、いつもと変わらずなんでもない日を過ごす73億人。 シンクの下に眠っ […]

365 SS 1.1

パブリックドメインおめでとう。 パブリックドメインおめでとう! 今日はパブリックドメインの日!簡単に説明すると著作権の保護期間が自動的に終了する日。 私が創った物語は、例えばそれがどんなに凄かったとして70年経てば著作権 […]

365 SS 1.2②

「お雑煮食べる〜?」 「うん・・・?」 声を掛けられ目が覚めた。 用意されたお雑煮をもぐもぐ。まだ夢見心地でふわふわ。 「そういえば夢みた?」 「えー?ああ、見たかなぁ・・・」 「今日見たのが初夢だからねぇ」 「・・・え […]

365 SS 1.3

テレビ、スマホ、ゲーム、高層ビル、沢山の電信柱。 昔々は視界を遮るものなんてきっと無かった。 世の中が便利になって、なんでも簡単に出来るようになって たまには森にでも行って、川を眺めて、空を見上げて、鳥を探して 深呼吸し […]

365 SS 1.4

寝正月もあっという間に過ぎ、仕事始め。 とは言え出社すれば年始めと言う事もあり、挨拶まわりに新年会と、まだまだ気持ちはお祭りムード。 仕事始めという響きはイヤだけど、どんちゃん騒ぎが会社のメンバーと出来ると思うと、まあい […]

365 SS 1.5

2019年、平成最後の新春に『史上最年少で囲碁プロ棋士になる小学生』が登場した。 「すごいなぁ~」 思わず声が漏れる。 「10歳でプロかぁ~」 新たな希望に胸躍らせると、「私は30も過ぎてプロでも何でも無いなぁ」なんてつ […]

365 SS 1.6

寝正月、からの年始、からの仕事始め。 これから徐々に慌ただしくなっていく、年の初め。 「明日は七草がゆの日・・・!」 今年を始める新しい区切りは何だか待ち遠しい。 「・・・あっ!!!正月飾り外さなきゃ!!!」 ここから始 […]

365 SS 1.7

財布から一枚、千円札を取り出す。 ぴらぴらん、と揺らせば簡単に揺れる紙。 千円と書かれたその紙には、果たして千円の価値はあるのだろうか? 「千円札の原価は15円くらい」 スマホで調べてみると簡単に原価が解った。 「だけど […]

365 SS 1.8

イヤホンの日 聞こえるだけで、いつもの道が違って見える 聴いてるだけで、いつもと全然違う気分になれる 一緒に歌えば、ワクワクする 「♬〜♫♪〜」 後ろから追い抜かれて、慌てて口をつぐんだ 見上げると、どこまでも続いてる空 […]

365 SS 1.9

風邪、ってのは良くある一時的な症状だが、放っておけば現代でも死ぬことがある。 風邪を放っておくとなりやすいのは、肺炎だ。 肺炎はなんと死因の第3位。 無論、赤ちゃんやお年寄りも含まれるが、場合によっては若い人だって命を落 […]

365 SS 1.10

小さい頃から慣れ親しんでるのに、得たいが知れないものなーんだ? ヒント1:食べ物です ヒント2:お祝いの時とかによく出る ヒント3:日本国民は全員見た事があるでしょう ヒント4:日本国民なら1度は食べた事があるでしょう […]

365 SS 1.11

いそいそと、母親が隣の部屋から鏡餅を持ってきた。 まあ解ると思うがカピカピで乾燥しまくり。 ヒビも入っている。もう10日も飾ってたんだから当然だ。 丸いお餅を二段に乗せて飾ってたお餅。 「それまさか食べないよね?」 「食 […]

365 SS 1.12

『イケるかも』なんて思ったが最後。 気付けば雪原を転がり、思いも寄らない方向へと進み、林の中へ突っ込んで。 雪の白と木々の茶色と薄明るい空の色が混ざってライトグレー。 雪の中へと突っ込んだ。 まぁそんな事もたまにはあるだ […]

365 SS 1.13

細く長く吐き出された煙が、斜め上へと飛び出していく とんとん、と指が振れて、灰がサラッと舞う 「なーんて光景も、もう最近は無いなぁ」 —スポンサーサーチ— 1月13日はたばこの日!たばこの日をテーマに書いたフラッ […]

365 SS 1.14②

ぱちぱちと、木々や枯れ葉や正月飾りが燃える音が弾ける。 寒い時期の乾燥した風邪か舞う。赤い火が風に吹かれて時々あがる。 浄化された煙が空へと向かっていく。 毎年この時期にある、正月飾りを燃すイベントが好きだ。 雑多に沢山 […]

365 SS 1.15

世界中にいる人の英知をひとところに集めたら、きっとかなり大きなサイズになるだろう。 もし本(書籍)だとすると、いったいどれほどの空間があれば、すべてが収まり切るのか、予想もつかない。 時は現代。パソコンが普及して、インタ […]

365 SS 1.16

アルコールはストレス発散になる、なんて言われるけど、結局のところは『根本的な解決』になってない。 最近になってそのことに気がついた。 気を紛らわすために飲んでも、それは気を紛らわしているだけの事で、ストレスの原因を見て見 […]

365 SS 1.17

『一月の十七日だ。来年の今月今夜になつたならば、僕の涙で必ず月は曇らして見せるから、月が……月が……月が……曇つたらば、宮さん、貫一は何処かでお前を恨んで、今夜のやうに泣いてゐると思つてくれ』 小説「金色夜叉」の有名な一 […]

365 SS 1.18

江戸の空を舞う振袖、火の粉を巻き上げながらあちらこちらへと街が燃えていくーー 江戸と火事には切っても切れない縁がある。 なにせ喧嘩っ早い江戸のこと。 「火でも付けて燃やしちまいな!!」 喧嘩が始まれば短気からすぐに燃やせ […]

365 SS 1.19

静かな音で ほんの小さな音で 部屋の空気を循環していく 静かな音で ほんの小さな音で 部屋の空気を綺麗にいていく ため息も 愚痴のときに出た呼気も お湯が沸いたときの水蒸気も 静かに静かに ゆっくりゆっくり。 —スポ […]

365 SS 1.20

「玉の輿がいったい何だって言うの」 母親は口を開けばすぐ「だってほら、玉の輿になったら色んな場所へいけるじゃない」とか何とか。 母親が想像している未来がイヤでも解る。(どうせその玉の輿のお金で、お母さんと一緒に旅行にでも […]

365 SS 1.21

料理が大変なのは準備!!! と言っても良いほど、準備は大切だ。 切ったり混ぜたり焼いたり茹でたり揚げたりは、さほど大変じゃ無かったりもする。 が、やはり準備が大変だ。 と言うか、準備がひたすら面倒だ。 タンタラタラタタ♪ […]

365 SS 1.22

ポロンポロン、チャララン 指が弾けて踊るように。 音が弾んで転がるように。 飛んで、戻って、流れて雪崩れて 浮かぶ旋律と消える余韻、耳心地の良い音色は、その時その時でころころと変わる。 まるで女の機嫌みたいに。 指が弾け […]

365 SS 1.23

そのきゅんとしたアーモンド・アイに見つめられては言葉が出なくなった。 しずくを横に置いたみたいな形にときめいて、黒と茶色の奥にしずむ光彩が輪っかのように囲っている。 ふちどるアーモンドは黒の境界線。 おずおずと言葉をのみ […]

365 SS 1.24

『一攫千金』なんていう甘い響きだろう。 いっかくせんきん。ただの言葉の羅列。単語。意味のある文字のあつまり。 たったひとつの単語だけで人は夢を見ることができる。 たのしい何かを想像することができる。 幸せな未来を思いつく […]

365 SS 1.25

寒い日はやたら肉まんがおいしそうに見える。 コンビニの〝肉まん〟のノボリを見て思わず入ってしまった。 「肉まん1個」店員が「あざーっす!」と元気に返事する。 「ありがとうございましたぁ~!」 急いで車内に戻り、買ったばか […]

365 SS 1.26

街はどんどん区切られてって、お金という名のルールのもとに割り振りされていく。 駐車場、というこの小さな区画も当然、だれかのもの、という事になる。 誰かのもの。そうでなければ国のもの。そもそもそれは地球のもの。 時間貸しで […]

365 SS 1.27

『この指とーまれ!』 ふと子供の頃にやった遊びを思い出した。 みんなで遊びをするとき、メンバーを募るのきの1番簡単な方法だ。 何かの目的に向かって、誰かと力を合わせるという事。 子供の頃はただの遊びだったけど、大人になる […]

365 SS 1.28

ゴウン、ゴウンと音を立てる乾燥機。 時々、忘れててニットが入ったまま回される乾燥機。 小さくなって出てくるニット。 「うっそ~~~~!!!」とショックを隠しきれない。 文明は進んで。 乾燥機なんてものが無い時代には驚きの […]

365 SS 1.29

タウン情報の日 ずっと暮らしてる街でも、知らない事は沢山ある。 知らないお家、知らないお店、知らない神社、知らないお寺 知らない味、知らない匂い、知らない、知らないメロディー。 知らない取り組み、知らない事件、知らない仲 […]

365 SS 1.30

女はとかく長話が好きだ。 公衆電話という物体が出来てからというもの、10円でいつまでも話せるからとぺちゃくちゃといつまでも喋っている。 しかも内容はというと全く生産性の無いなんの徳にもならないような話ばかりだ。 『まった […]

365 SS 1.31

日本人はとかく『I love you』が言えない。 どうにか言えたとして尾崎豊の歌だけだ。 どうにか言えたとして『付きが綺麗ですね』なんて湾曲表現だけだ。 とは言え最近、日本もずいぶん欧米化が進んでて。 らぶらぶちゅっち […]

今日は何の日?2月のフラッシュフィクション

365 SS 2.18

拝啓アイ・ラブ・ユー 始めて君に手紙なぞ書いてみる。 今頃君は、誰と、どんな風に過ごしているだろうか。 今となっては、君が隣にいたあの頃がとても懐かしく思う。 あれはつい先日の事のハズなのに、もう随分昔の事のようだ。 さ […]

365 SS 2.28

「ばーちゃん、クッキーは~?」 しめっぽい下の戸棚を開けて見回す、タンスを見上げて手で探る。 「ん~?」 「クッキー!めずらしく無いの~?」 冷蔵庫の中を一応開けてみるけど無し。 「んなとこに入っとらんね」 「えー」 「 […]

365 SS 2.1

ニオイの日 匂いは強力に記憶と結びつくことがある。 ふわりと懐かしい思い出。 珈琲の匂い 独特の家の匂い あの人がつけてた香水 風邪をひいて学校を休んで、家にこもってゲームしてた日中 保健室の匂い 昔食べた駄菓子の香り […]

365 SS 2.2

なんとも言えないけど何だか頭が重い。 気づいたら頭痛。 弱り目に祟り目。 やる気も出ないしやるせないし。 (明日、雨かぁ) ぱたり。横になって、 今日はもうおやすみ。 —スポンサーサーチ— 2月2日は頭痛の日!頭 […]

365 SS 2.3

「その気になれば大豆だけで一日過ごせる気がするな」 「はい?」 「まず朝食は味噌汁、豆腐、納豆、醤油」 「あぁ」 「昼はおから、凍り豆腐、豆乳」 「すでにもう無理がある」 「夜はがんもどき、生揚げ、油揚げ、もやし」 「も […]

365 SS 2.4

日が沈む方角。1日の終わりの場所。 どこに行くかって?そりゃあ、 「西へ!」 なんでかって、やっぱり日の沈む場所だから。 「太陽が入っていく場所なんだから、幸せになれるハズに違いないよ」 理由なんて何もない。ただ、何もな […]

365 SS 2.5

女がふわりとはにかんだ笑顔で会釈をした。 男がそれを見て唇をいびつに歪ませる。 「お元気ですか」 「はい。どうも」 「最近は寒いですね」 「はい。」 「最近は、どんな風に過ごされているんですか?」 「いや、あの……。」 […]

365 SS 2.6

世界に発信できる自分の思想。 考えたことを誰かに伝えられる場所、web上にある記録(ログ)。 すべてはバーチャルの中で、データは積層コンデンサの小さなチップの中に詰まっている。 目に見えないデータたち。電解しないと読めな […]

365 SS 2.7

「フナの佃煮!!」 「え、おいしいの?」 「おいしいよ」 「小鮒ね」 「コブナ?」 「ちびフナ」 「ち、チビフナ…?」 「甘露煮」 「か、かんろに」 「食べたことある?」 「ない」 「食べる?」 「……ちょっとまだ自信な […]

365 SS 2.8

「郵便マーク……っと。」 「ねぇ郵便マークってどうゆう意味?」 「ええ?どうゆうもなにも、これは郵便のマークなのよ」 「何か意味があるの?」 「何かって、だから郵便マークの意味があるわ」 「これって英語のティーじゃない? […]

365 SS 2.9

「にっくにっく!」 「ん?」 「今日はお肉〜!!」 「なんで?」 「今日はにくのひだから!!」 「肉の日?」 「2月9日!にくのひ!」 「おー、わかりやすい」 「でっしょ〜!」 「にっくにっく〜!!」 「このくらい解りや […]

365 SS 2.10

「ぶったぶった!」 「ん?」 「今日は豚丼〜!!」 「なんで?」 「今日は豚丼の日だから!!」 「肉の日?」 「2月10日!ブたドンの日!」 「えっ、わかりにく」 「いーの!」 「ぶったぶった〜!」 「昨日も肉だったよね […]

365 SS 2.11

金色の小さな俵を見てゴクリ。 ふわふわで照った艶めき。 内側にはふかふかのご飯。 噛み締めればじゅわわと甘辛い汁が溢れる。 毎日食べようとは思わない。 なんだかんだで、毎日どこかで見かけている気もする。 ときどきしょうも […]

365 SS 2.12

ふわっと香る懐かしい匂い。 お玉からトロッと落ちてく崩れたじゃがいも。 ごはんにかけて、即席カレー。 お母さんが出掛けてる日はこれだった。 あんまり嬉しい事ではなかったけど、大人になった今でもときどき食べたくなる。 「ん […]

365 SS 2.13

「君には名字を変えてもらうから」 「……んっ?」 「名字。変えてもらうから。」 「ほ、ほう?それは一体どうゆう…?」 「そうゆう意味だ」 「そうゆうとは…」 「これから名字を変えると言うことだ。」 「ほ、ほう…?」 自分 […]

365 SS 2.14

「ゲンキ!」 「お、おう!」 隣のクラスの女子に呼び出されて裏庭に来た。もじもじと居心地悪そうにチラとこっちを見る女子。き、キターこれはチョコ……! 「あ、あのね。渡したいモノがあって」 「おぉ、まさかチョコ?!」 あえ […]

365 SS 2.15

頬をくすぐるやわこい風 勢いの強い突風 大事に持ってた書類が舞う。 周りの他人が笑う声。 「春一番だ」と呟く声。 あぁそうか、これが春一番ってやつなのか。 構って貰いたがりの春の風。 可愛く思えて微笑んだ。 —スポン […]

365 SS 2.16

そうめんならまるで流しそうめんのように 玉子焼きなら時間がまるで止まったかのように ポテトサラダならまるで白い豆腐のように 海藻サラダならまるで時空が止まったかのように。 キラキラかがやく、一瞬を固めて なんでも四角に切 […]

365 SS 2.17

それは深夜おそく、誰も起きていない時間にだけ 誰も聞いた事が無い、ダイヤモンドダストが鳴らす天使の囁き。 耳を澄まして心の耳で感じれば聞こえる囁き。 キラキラキラッ ぱしぱしぱしっ それは誰も聞いた事が無い、ダイヤモンド […]

365 SS 2.18②

「ねぇ、冥王星って知ってる?」 「……。」 「?知ってる?」 「知らない」 「……え?!知らないの?!」 「いや、まぁ名前くらいは知ってるけど」 「なんだ!!!ビックリした〜」 「月ぐらい有名だったら知ってるけど」 「月 […]

365 SS 2.19

空を見上げると、ずっと自分にくっついてくるお月様。 空を見上げると、ずっと自分を照らす太陽。 少しずつ動く空。月も、星も、太陽も、雲も、どれもゆっくりと時間を駆けて移動していく。 「なんで空は動いてるのかな」 ぽそりと呟 […]

365 SS 2.20

静かな車内。 穏やかな空。 柔らかな日射しが車窓から入る午後。 うらららかな日中。 「ぶえっくしょぃ!」 それから5回、くしゃみは続く。 静寂のひとときが割られる。 しかし誰も怒る人はいない。 そう。みんな花粉症の辛さを […]

365 SS 2.21

明け方4時過ぎ、聞き慣れたバイクの音がささやかに聞こえてくる。 ブーン、キッ、ガタン。 ブーン、キッ、ガタン。 毎朝届けてくれる朝刊だ。 うちでは新聞を取ってないけど、もちろんいまだって新聞を取ってるご家庭はある。 今は […]

365 SS 2.22

深夜20時過ぎ。今日は行かなくちゃいけなくて外出した。 二日に一回、気が乗らない日や体調が良くない時は三日に一回、いつものルートを巡回する。 家の周りをくるりと一周、そのあと、道路脇を抜けて道を渡ったら、草っ原へと入り込 […]

365 SS 2.23

移動中、ふと窓に目をやると富士山が写っていた。 富士山。 日本を代表する山。 富士山を見ようなんて目的は無かったけど、見えるとついつい写真に収める。 旅行中も、出張中も、ふとした時に思いがけず見える富士山。 時々、思いも […]

365 SS 2.24

あるひ仕事に行こうと駅へ行くと、そこには誰も居なかった。 「……ん?」 と言うか、駅そのものがまるで廃墟のようになっていた。と言うか、駅に入ることすら出来なかった。 「え、なに?今日って駅休み……???」 何か公共の休み […]

365 SS 2.25

「新聞作りたいんだけどさぁ」 「お~、新聞?」 「そう~。学校の課題で~」 「お~。」 「サイズどうしよっかなぁって」 「あ~。」 「新聞なんだけど」 「お~。」 「あのー、なに、新聞って結構大きいじゃん」 「お~。」 […]

365 SS 2.26

包む、ってのは、一番シンプルな想いの伝え方。 ありがとう。 おつかれさま。 がんばってね。 これからもよろしくね。 1文字1文字包んだら、それだけ想いも伝わるだろうか。 な~んて・・・。 「バラバラにしたら意味わかんない […]

365 SS 2.27

本屋に行けば溢れる雑誌達。 お目当ての棚の前に立ち、ふむふむ、と見出しを一瞥する。 『しぐれ谷のイノシシか!』 本屋に行けば、ありとあらゆる情報が所狭しと並んでいる。 ビジネス、科学、医療、事件だったり物語だったり。 色 […]

365 SS 2.28②

エッセイとは、自分の中にある哲学、考え、予想、想像、想い、そんなものを書き綴ったもの。 自分の事を知るには、他人との違いを見つけるのが早い。 違う国、違う土地、違う空気を知れば、自分が普段住んでる国との違いを沢山知る事が […]

今日は何の日?3月のフラッシュフィクション

365 SS 3.2

小さなちいさな世界が好きだった。 並べて眺めるのが好きだった。 どんなふうにソレが出来てるのか、作り方を知るのも楽しかった。 例えばフランス語っぽい小さなラベルが張られた、グリーン色したボトル。 たとえば生クリームのヒダ […]

365 SS 3.3

七段の雛飾りを眺めている少年が、そこには居た。 しゃんと背筋を伸ばして、ちゃんと正座をして。 どんな行動を起こすんだろうと、見守るつもりで、部屋を通り過ぎるたびに、目をやった。 だけど少年は、静かにそこにいる。 3度目通 […]

365 SS 3.4

部屋に入ると、まだ誰も住んだ事のない、新しい匂いがした。 嗅ぎ慣れない、ひと気のない匂い。 新しい壁紙と、フローリングと、ところどころ、まだ外されてないビニールの匂い。 天気の良い午後1時過ぎの太陽。まだ誰にも手をつけら […]

365 SS 3.6

「おはようございまーす!」 「はーい!いつもありがとうございます。斎藤さん、こっちきて」 「おっ、新人さんですかあ?」 「そうなんです。今日から。斎藤さん、ここにサインして。荷物受け取ったことある?」 斎藤「あ、っはい、 […]

365 SS 3.7

醤油と和風だしの、優しい甘辛いにおいが茹る。 「……」 「……」 「……」 腹の音、唾を飲み込む音、ヨダレをすする音が静かに返事する。 「あああっハラヘッタああーーーー!!!」 「俺もおおお」 「まだかよ早くしろよ!!! […]

365 SS 3.8

「出来た?!」 「オッケー!」 「付けるよ?」 「待って待って!」 一面をガラス張りにされた、昼は採光の良いビルの一角。 深夜2時を過ぎて、当然だが外は真っ暗。 いつもは人の声が賑わう複合型の商業ビルも、こんな時間に館内 […]

365 SS 3.9

「あ、すみません……」いつもの調子で言った時だった。なんだか変な空気を感じて顔を上げた。揺れる電車の中、目の前に居たのは外人で、不思議そうな表情を見せた。 体格で言えばケンタッキーの前に置いてあるカーネルおじさんのような […]

365 SS 3.10

谷口さんのまあるい指先が金平糖をひとつ摘んで、口元へ運ぶ。 自分の席から見えるのは、谷口さんの後頭部。 谷口さんのおやつの時間は毎日、3時。 彼女がおやつを食べる時は、だいたいひとつずつだけ食べる。 30分くらいかけて、 […]

365 SS 3.12

(あ、谷口さん、今日は金のフォークだ。) 取引先からフルーツタルトを貰った。 谷口さんのお気に入りっぽい金のフォーク。 ケーキとかを貰うと、鍵のついた引き出しから取り出して、金のスプーンやフォークを取り出す。 会社のもの […]

365 SS 3.13

「いらっしゃいませー。ただ今サンドイッチを期間限定で移動販売しておりまーす」 「おっ、サンドイッチか……腹減ってきたし、ここで買っておくか。他に店もなさそうだし。」 「サンドイッチを販売しておりまーす」 「すいません。え […]

365 SS 3.14

3.14159265358979323…… 暗記した円周率をどこかで披露してやろうと時々思い出すけれど、そんなタイミング滅多にない。 3.1415926535…… 時々思い出さないと忘れてしまうから、こうして時々思い出し […]

365 SS 3.15

「私が見てる青と、あなたが見てる青が違ったらどう思う?」 「は?」 私には幽霊が見える。 「例えば、青だと思ってたものが本当は赤だったみたいな」 「は?は?意味わかんない、青がなに?青が見えないの?急にどうしちゃったの? […]

365 SS 3.16

「あれ?レジが開かないぞ」 ある日の朝、店のレジが開かなかった。 「レジ開かないんだけど?」 「あぁ!すみません!忘れてました!」 「ああ、良いけど。開けといてね。」 「はい!」 そのまま時間はお昼12時を過ぎた。 「い […]

365 SS 3.17

毎週水曜日は会社前にコンビニへ寄る。そして雑誌コーナーの前に着き、入って2日目の少年漫画を読む。 「……いらっしゃいませ〜」 朝、と言ってもまだ混む前の6時半。毎週水曜日だけ現れるその人は、先客の男性に気がついて立ち尽く […]

365 SS 3.18

déjà-vu! ある日会社に行くと、デスクの上にクッキーが置いてあった。 誰のだろう?と思ったけれど、誰かの食べかけでもなくて封が開いてない。 机の真ん中に、まっすぐ置かれたクッキー。 まるで『あなたにプレゼントです』 […]

365 SS 3.19

WOw,WOw,Walk on!walk on! 英語がふがふが響く、イヤホンから流れる小さな世界が大きな存在感で私を満たす WOw,WOw,Walk on!walk on! Stay safe tonight〜… 私の […]

365 SS 3.20

「はぁ……動物園かあ……」 動物園はいやだ。 動物園はつまらない。 動物園は飽きる。 入り口近くに鳥がたくさん。 ガーガー、ケーン、ピヨピヨ パンダは床をゴロゴロゴロ。 シカたちはぴょこんぴょこんと跳ね回る。 そこを過ぎ […]

365 SS 3.21

しんゆう 遠くのほうからやってきて/あなたとわたしは あるとき出会った。 密に接して時には涙し/笑いながら記憶をつくった。 気づけば少しずつズレた道は/ずいぶん遠くのほうに行っていて/そのことに気付いた時には/もう戻れな […]

365 SS 3.22

隣に住む人は変な男だ。 ある日の早朝わたしはとうとうその人を見た。 今まで姿を見た事なんて一度もなかった。 気持ちの悪い妙な髪の長さでうしろに束ねて、こんな朝から出かけてヤバイ事をしてるに違いない。 痴漢か、万引きか、ス […]

365 SS 3.23

町まで見る余裕なんてなかったから知らなかったけど、朝出歩いてみて、まったくゴミが落ちてない事に驚いた。 「おはようございます」 後ろの方で声が聞こえた。この時間に人がいるのも珍しい。コツコツ歩いてくる足音が近づいてくる。 […]

365 SS 3.24

「あ〜!」 落胆したような明るい声につられて見ると、トイプードルが駆け出した所だった。 フリフリとお尻に飾りをつけられて飼い主の方へ走り出す犬。 横一列に並んだ4匹が、まるでマネキンのようにカメラへ向かっておすわりしてい […]

365 SS 3.25

「嘘でしょ」 「嘘じゃないよ」 交差点を見下ろす形で浮いている。隣を見ると、知らないおじさんが浮いて居た。 「誰あんた」 「案内人ってとこかな」 「案内人?まさか天国への?」 交差点には救急車が来たところだ。地上3メート […]

365 SS 3.26

自分はいつも一番乗り。 まだ開いてない裏口から鍵を使って開けて中へ入る。 ロッカールームへ行き荷物を置いて制服に着替えて、ロビーの電気をつけてデスクへ。 細々と雑務をしてるうちに、見回りの派遣がやってくる。「おはよう」「 […]

365 SS 3.27

一生懸命、光へと枝を伸ばす桜。 ひとつひとつは白に見えるソレは、沢山集まってベビーピンクの淡い色合いで咲いている。 「キレーだねぇ〜」 「ほーんとよねー!」 昼休みのほんのひととき。 オフィスビルの合間に現れた桜のトンネ […]

365 SS 3.28

砂漠にひとりの女が立っている。 遠くを見つめる強い眼差し。 雄大なオレンジの砂漠は手前から奥までずっと続く。 まるでこのままどこまでも砂漠しか無いかのような世界。 風は強いのだろうか 纏った色鮮やかな生地がなびく 朝陽な […]

365 SS 3.29

あの日の出来事が忘れられない— 煌々と燃える家を見上げる。空へ空へと伸びる炎が轟々と音を立てながら、灰色の煙が天へと昇って行く 何かが弾ける音と軋む音が聞こえる 目の前の炎が迫ってくるような感覚 顔の表面だけ […]

365 SS 3.30

「ジェイミー、久しぶり」 カフェの店員へ「おう」とだけ答えてホットコーヒーを受け取った。愛想が良い男ジェイミー。白人で潔癖症気味、理屈っぽく細かい。ジェイミーはエリートだ。そして俺はマフィアだ。気づかれてはいけない。 無 […]

365 SS 3.31

どーん!! だーん!! ばーん!! 隅っこの方でサワサワサワ~… そしてまた どどーん!! ちっちゃくちっちゃくタララララ~~ シャラシャラシャラ~ そんでまた ばーん!! 最後はパチパチパチ~ 「Bravo!!」 「ブ […]

何の日?/3月のアーカイブ一覧①

当サイトで更新した3月分の「365文」(フラッシュフィクション)で〝ネタ〟にした〝何の日?〟についての一覧です。 『今日は何の日?』の元ネタや由来や発祥などについて。 ★3月2日★365 SS 3.2 /ミニの日/MIN […]

何の日?/3月のアーカイブ一覧②

当サイトで更新した3月分の「365文」(フラッシュフィクション)で〝ネタ〟にした〝何の日?〟についての一覧です。 『今日は何の日?』の由来や元ネタなどについてのアーカイブ! ★3月12日★365 SS 3.12 /スイー […]

何の日?/3月のアーカイブ一覧③

当サイトで更新した3月分の「365文」(フラッシュフィクション)で〝ネタ〟にした〝何の日?〟についての一覧です。 ★3月21日★365 SS 3.21 /世界詩歌記念日/ユネスコが1999年に制定。 世界全体で詩歌に関す […]

365 SS 3.1

トロッと不思議な酸っぱさのある味付けに。 ひとクセ加えたい時に。 卵でまろやか、優しい味わい。 茹でたてシャキシャキのブロッコリーに垂らせば、簡単・即席・小さなご馳走。 トロリと蕩ける、マヨネーズ。 あったか素材にかける […]

今日は何の日?4月のフラッシュフィクション

365 SS 4.1

ひんやりした袖口に腕を通す。 パリッとした硬い綿の感触が慣れなくて気持ちが悪い。 嗅ぎ慣れない真新しい匂い。ビニールに入ってたからかほんのりガソリンくさい気がする。 鏡を見ると、見慣れないシャツ姿の自分がいる。 ドキドキ […]

365 SS 4.2

そんなにもあなたはレモンを待っていたーーー 道端に転がるひとつのレモンを見て思い出した。 『レモン哀歌』高村光太郎の詩だ。 男性というのは、とかく女性に想いを馳せがち。女のために頑張りがち。女を美化しすぎ。 女遊びの激し […]

365 SS 4.3

「にこにこ、おかあさん。 にこにこ、わたし。 びっくりがお、おかあさん。 びっくりがお、わたし。 かなしいかお、おかあさん。 かなしいかお、わたし。 すまほみる、おかあさん。 おかあさんみる、わたし。 ちょっとまってね、 […]

365 SS 4.4

ふにふにの柔らかな触り心地と、香ばしい匂いと、ずしっと安定感のある重み。 指に力を入れると、指に沿ってふわりと凹んだ。 低反発マクラのように、むむむっ、とゆっくり押し返してくる。 はむりと嚙みつけば、しっとりとした柔らか […]

365 SS 4.5

古い、汚い、狭い路地に惹かれて奥へ進んだ。 橙色の提灯(ちょうちん)が並ぶ夜の横町。 小径へ目をやると立ちションしてるおじさん。 へべれけで肩を組むサラリーマンとすれ違う。 とんこつの匂いにむせそうになって、誰かのゲロを […]

365 SS 4.6

「白いと言ったら、」 続きが言えなくて言葉に詰まってゲームに負けた。罰ゲームはデコピン。 順番に4人にデコピンされていく、 あの子もデコピンに加わって、俺のオデコへバチンと当てる。 「いっ、ってぇえええ、」 思いのほかデ […]

365 SS 4.7

ある日ポストを開けたら小さな小包が入っていた。 開けてみると5センチほどの小瓶と、いちまいのカード。 『満期のため、保険金を支払っております。粗品も合わせてご使用ください。』 と書いてあった。 「粗品?」 小瓶には『一回 […]

365 SS 4.8

そうして丁寧に砂を払い、土を掘りすすめると、一体の大きな像が姿を現した。 布を腰にまとった女性の像。真っ白な彫刻が美しい。 探すように土をかき分けるけど、腕は見つからなかった。 遠くを見つめるような表情。まさに神話のヴィ […]

365 SS 4.9

大きな大きな、平たいてのひら。 大きな大きな、そのからだ、あご。 真下にいる私なんてちっとも見ずに、まっすぐ遠くを眺めてる。 「でっかいねぇ〜」 「ね〜。」 大仏を観に来た。 大仏ってのは、意外と色んなところにある。 奈 […]

365 SS 4.10

新しい毎日が始まる。 新しい部屋、新しいカーテン、新しい照明、まだ馴染まない私。 新しい冷蔵庫、新しい電子レンジ、コンロ、シンク。 新しい机、新しいフローリング、新しいラグ 新しい洗濯機、新しいお風呂場。 全部ぜーんぶ新 […]

365 SS 4.11

釣られて天を見上げた。 青い青い空に浮いた野球ボール。太陽がまぶしくて、手のひらで陰を作った。 アレを取ればスリーアウト。9回裏、試合終了、ぎりぎりセーフで逃げ切り勝ち。 オーライ、オーライ、 みんなの声が響く。斜め上を […]

365 SS 4.12

カリッカリの香ばしい表面に歯を立てて、ガリリと噛んだ。 噛みちぎるのも難しい程の堅さ。 どうにか引きちぎって何度も咀嚼する。 むぐむぐむぐ。 何度も何度も噛んでいると、ほんのりとした甘みが溢れ出した。 まあるい堅さの表面 […]

365 SS 4.13

お好きな席へどうぞの声と同時に入店を知らせるカランカラン、鈴が鳴った。 店内を見回せば、備え付けのテーブルと、申し訳程度のちいさな椅子。 外の様子が見える窓際かモクモクと煙りの立つ喫煙席か。 呼ばれるように奥へ進むと、空 […]

365 SS 4.14

遠くから見ても解るオレンジの実が付いている、真っ白な花をつけた木。 車窓から見える一瞬のオレンジ色に目を奪われる。 定感覚で植えられたオレンジの木。 夜には暗くなってしまうから、朝の出勤時だけに見られる風景。 混み合う電 […]

365 SS 4.15

エレクトロなファンファーレから始まるミュージック。 暗闇から近づいてくる大きなパレード専用フロート車。 近年は家庭で一般化されつつあるLED電飾や発光ダイオード、光ファイバーや電球がキラキラ輝く。 噂によると最近の電球は […]

365 SS 4.16

雄大な大地を見渡し、男性は思いを馳せる。 澄み渡る空、青々と茂る芝。点々と静かに草を食む羊、遠くの方に見える街並み。 Boys, be ambitiousという文字、遠くを指すクラーク博士像。 少年よ大志を抱け。 男性は […]

365 SS 4.17

雨の日の博物館は空いている。 時々通り過ぎるお客さんを見守りながら定位置に居るのが自分の仕事。 ガラスに映る大きな恐竜の標本を見ながら、昼に何を食べるか考える。 食堂にあるカレー、それとも外にある蕎麦屋、牛丼、天丼。 窓 […]

365 SS 4.18

凛とした音色の余韻が心地よく響いている。 仏壇の前に座ると、心を鎮める事が出来る。 チャッカマンでお線香に火をつけた。 ちょっと風情が無いけど、現実的にはこんなものだ。 四角い線香皿には幾重もの灰が重なり、砂のようになっ […]

365 SS 4.19

何かにつまづき転んで膝をついた。 足元をよく見ると、ちいさな小石。 ふぅと一息ついて、そのままそこへしゃがみこんだ。 今日はこの辺にしておこう。 夕刻。太陽が海の際へと飲み込まれていく。 ゆっくりゆっくり。 消え入る太陽 […]

365 SS 4.20

赤い箱を乗せたバイクが二つ、連れ立ち赤信号で待機している。 先頭に止まっているバイクの運転手が後ろへ振り返り、にこやかに話しかける。 後ろのバイクの運転手は初々しい表示で笑った。 2人とも紺色にラインが入った制服。白のヘ […]

365 SS 4.21

「なんか面白い番組ないね〜」 振り返ると彼女がリモコンを持っていた。明るい笑い声が響く。画面のテンションが9回切り替わる。 既視感のある画面が現れ始めたところで、ブツンと画面が真っ暗になった。 「だからお前は!消すなっつ […]

365 SS 4.22

会社の廊下で見つけた。 観葉植物に隠すように捨てられているゴミを拾おうか拾わないか、迷った。 〝ゴミ拾い〟 それは、とても聞こえが良いかもしれない。 だけど、このご時世では、ゴミ一つ拾うことさえ考え込んでしまう時があるの […]

365 SS 4.23

「べつに、いい、やらない。」 とうとう言ってやった。とうとうそう言ってやった。 やらない、って言うことは大事なことだ。 先生は『あなたは本ばかり読んで』なんて言うけど関係ない。 僕にとっては、本を読まないあなたのほうが『 […]

365 SS 4.24

植物は何でも知ってるし教えてくれる。 水が足りなければ葉は萎れていくし、 土が悪ければ枯れてしまう。 環境があえばスクスクと根を伸ばす。 すぐに沢山葉をつけるモノもあれば、何年も時間をかけて少ししか伸びないモノもいる。 […]

365 SS 4.25

「先輩!初任給、何に使いました?!」 弾けんばかりのテンションで聞かれた。 あぁ、若いなぁ。キラキラしてて眩しい。私も昔はそんなだったかな、なんて考えた。 「えーと、初任給?何に使ったっけな……。」 「えっ覚えてないんで […]

365 SS 4.26

カポーーン 鹿威しが思い切りの良い音で響く。 風呂と言えばタオル、温泉といえば露天、まっ白なお湯に湯気、竹のフェンスの向こうには山。 夜空を見上げようと顔を上げると、頭に乗せてたタオルが落ちて結局湯に浸かった。 それを隣 […]

365 SS 4.28

晴天の午前、パチン、小気味の良い音が響く。 「お茶菓子用意したので休憩してください」 「お!ありがとうございます!」 奥様に声を掛けられて縁側にお邪魔する。仲間にも声を掛けて、3人で小さな丸いお盆を囲んだ。 奥様からそれ […]

365 SS 4.29

懐かしい匂いにつられるように床へ寝転んだ。 まだまだ青い、イグサの匂い。変えたばかりの新しい畳の匂い。 鼻から息を沢山吸い込む。期待のこもった溜息のように「は〜〜〜」口から吐いた。 それを2、3繰り返し、思い出したように […]

365 SS 4.30

―――今日もいる。 向こうの席に座ってる女の子を見つけて、5メートル離れたくらい、斜め向かいの場所へ着席した。 いつも勉強しに来てる女の子。 話した事は無いけど、きっと自分と同じ。 来年の受験へ向けて勉強をしてるんだろう […]

今日は何の日?5月のフラッシュフィクション

365 SS 5.1

私には以前からずっと気になっていた事がある。 〝再燃(さいねん)だよね?〟 いよいよ耐えられなくなったので、そうリプライ(返信)してみた。 数秒経ち、新たなツイート(つぶやき)が増えていく。 彼女達は変わらず趣味について […]

365 SS 5.2

小さな気泡がクリームのように浮かんでいる。 深緑色をほんのり覗かせ、淡い緑色が泡立つ。 大きな湯飲み茶碗を両手ですくい上げる。 両手の平をめいっぱい使ってようやく収まるほどの茶碗。 やさしいミルク色のうわぐすり。飲み口は […]

365 SS 5.3

大人達はみんな『ちゃんとゴミ拾いしなさいね』と言う。 だけど、この街にゴミなんて落ちてない。 なんでって、みんなゴミを街に捨てたりなんかしないからだ。 「おはよう」 「あーおじさん!おはようございまーす」 おじさんは2ヶ […]

365 SS 5.4

ぺりぺりぺり・・・ 点線に沿ってひっぱり、堅めのラベルで留められた封を破く。 弾みで転がり落ちるパーツを拾い、ガラス瓶を地面へ置いた。 キン、とガラスがアスファルトに擦れる音が響く。 パーツを瓶の飲み口へ乗せ、片手でくび […]

365 SS 5.5

「絶対ぜったい、離さないでよ!!!」 わかった大丈夫、と言われてペダルを漕ぎ始める。補助輪のない自転車。カラフルでかわいい自転車。ちいさな膝当て肘当て、それからヘルメットはそれでも大きめで緩いせいかすぐにズレる。 「おと […]

365 SS 5.6

ダイエット、という単語が脳裏を通り過ぎたのを見送って、ショーケースに並ぶキツネ色の塊をマジマジ眺める。 お肉が美味しそうなメンチカツ、じゃがいもがホクホクそうなコロッケ、夢が詰まったカキフライ。 どれにしようと悩んでから […]

365 SS 5.7

小麦粉買ってきてくれる?と母にお使いを頼まれた私は、売場で困惑していた。 ・・・小麦粉。 帰りがけ母から連絡が来ていた。『小麦粉買ってきてくれる?』というメッセージに『OK』とスタンプを押して返事した。 スーパーに寄り、 […]

365 SS 5.8

苦いモノはあんまり好きじゃない。 『体に良いから買っちゃった』らしいゴーヤで調理されたチャンプルー。 ところでチャンプルーってどーゆう意味だ? お互い沖縄出身でも無いから良く分からない。 わからないまま出されたゴーヤチャ […]

365 SS 5.9

嬉々とした目で見つめられて午前0時。 イヤな予感を察知しながら無視を決め込む。 蒸し暑い夜。夜でも真夏を感じる暑い夜。 「行「行かない」く?」 喰い気味で拒否を伝えると「ええ〜〜〜?!」と心底残念そうな声を出されて「行か […]

365 SS 5.10

「雨ですねぇ」 意図して無かった言葉を掛けられて、「あぁ」と返事がワンテンポ遅れた。 「雨ってなんか憂鬱な気分になりますよね~」 「ああ、・・・そうですね」 何となく答えたけど、返事が面白くなかったらしい。鈴木さんは暫く […]

365 SS 5.11

鵜飼いの日、という事で今日は岐阜県へやってきた。燃えるかがり火が、夜の川を泳ぐようにボウボウと舞う。 明かりが川に反射して、その水中を鵜が進む。首を延ばして前へ前へと泳ぎながら、水中へ潜りこみ足だけが水面へ浮かぶ。 6隻 […]

365 SS 5.12

暑い日差しの中で彼女が見上げたペットボトルの先から滴った水滴 透き通った薄紅色の液体が、揺らされた振動で波打った。 ごく、っとこちらまで聞こえてきそうな潔い飲みっぷりに見惚れる 小さな喉仏が何度か揺れて、ググッとペットボ […]

365 SS 5.13

細長いロンググラスに入れられる氷。 コロコロと音を鳴らす。 注がれるのは喉が焼けるみたいな鋭いテキーラ。 それから舌を華やかに飾るオレンジジュース。 カランと音を立ててマドラーがかき混ぜる。 それから注がれる赤いグレナデ […]

365 SS 5.14

「36度5分。平熱ですね」 「えっ、いや、熱あります!」 「え?6度ですけど?」 「私平熱は35度です!だから熱あります!」 「・・・」 看護師は不可思議そうな表情を浮かべている。 「平熱が7度くらいの人も居ますけどねぇ […]

365 SS 5.15

今日は久々に暑い日となった。 春が過ぎて初夏、まだ気温が安定しなくて寒かったり暑かったりの日々。 全国的に夏日らしい。ここ東京も例に漏れず、最高29度という暑い日だ。 「あっつ~」 そう呟きながら彼女は今日もヨーグルトを […]

365 SS 5.16

「ツキヒはハクタイのカカクにして」 「ん?」 「行き交う人もまた旅人なり」 「どうゆう意味?」 「月日というのは旅人のようなものだってこと」 「行き交うは?」 「通り過ぎる人もまた旅人のようなものだってこと」 「ふーん」 […]

365 SS 5.17

「ってことで、アフリカに行く?」 「ん?」 「アフリカに旅行。」 「え?いや行かねぇよ!」 「行かないの?」 「行かないだろ!」 「なんで?」 「なんでってお金かかるし休みも取らなきゃだし」 「会社の社員旅行ってのはどう […]

365 SS 5.18

どうしたら平和になるだろう。 どうしたら平和な世界を作れるだろう。 どうしたらみんなが幸せな世界になるだろう。 私はあの人と一緒に居たくて あの人はあの人と一緒に居たくて その人は別の誰かと一緒にいて やじるしがあちこち […]

365 SS 5.19

強さとは何だ?強さとは、ーーー心の強さだ スロー再生のように見えた、相手から繰り出されるパンチ、拳が自分の顔面へまっすぐ向かって来ていた、強くなりたい強くなりたい強くなりたい ーーーーいける、 全身の血の気が引くみたいだ […]

365 SS 5.20

「だいたいこれが1メートルくらいだろ?」 「メートルってなに?」 「メートルはメートルだよ」 「よくわかんない!メートルってなに?」 「そうゆうもんなの!」 そう言ったら子供が拗ねてしまった。あからさまにぶちゃむくれた表 […]

365 SS 5.21

バーカバーカ! そう言われてどうしても悔しくって泣いた。 今になってみればどんな理由だったか覚えてない。 いつもその男の子に意地悪をされた。 髪を伸ばせば引っ張られるし、切ったら切ったで変だと言われる。 大事にしてたイチ […]

365 SS 5.22

早過ぎない?!とママに言われたけど、早い方が良い。 「パパ、待ってよ!」 「ほらほら、おいでー」 「パパ早い!!」 「パパ!もうちょっとゆっくり走ってあげて!」 補助輪なしで自転車に乗れるようになったのが、ついこないだ。 […]

365 SS 5.23

くぐもった池を、ヒョコヒョコと泳ぐ亀がゆっくりと横切っていく。 ここは日本庭園。 池のところどころに置かれた大きな岩。 池の中へ向かうように生えた樹木が水面ギリギリから横たわり、空へと向かって伸びている。 水面スレスレに […]

365 SS 5.24

街でやってた福引き。三回目で大当たりをして派手に鐘を鳴らされた。 『お嬢ちゃんおめでとう!!1等あたりだ!!』 1等の当選商品はビール1ケース。『っわ~ありがとうございます!!!』お礼を言ってお辞儀をして景品を貰った。 […]

365 SS 5.25

「・・・食べたいの?」 「え?いや」 15時20分。 鷹野(たかの)がプリンを食べようとする寸前、視線に耐えかねて卯月(うづき)に聞いた。 ジトッとした目で鷹野が卯月を見る。 「・・・ほんとに?」 「え?うん。」 卯月の […]

365 SS 5.26

むっちりとした歯触り。 噛むほどギュッと詰まった甘みが滲む。 ねっちりとした凝縮された味。 食物繊維が豊富なドライフルーツ。 なんでも、雨量の多い日本では作るのが大変らしい。 たしかに、袋の裏面、商品詳細の原産国を見ると […]

365 SS 5.27

「忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな」 「え?」 空を見ながら突然彼女がそんな事を言った。 彼女、いや、今となっては、もう元彼女か。 「……な、なに?575?」 「百人一首だよ」 「百人一首? […]

365 SS 5.28

カァン…、そんな音が大気に響いて皆空を見上げた。 太陽の眩しさに目を細めて弧を描く小さなボールを懸命に追う。 日照りがジリジリと暑くて、空気は緑と雨上がり太陽の匂いがする。 その時風が吹いた。 木々の枝も芝をも揺らす。 […]

365 SS 5.29

「幸福って何だと思う?」 「え?化学?」 「ちゃうわ!!」 「幸福って言われるとつい……」 「たしかに……。なんだかんだで私も最初に思い浮かんだのソレだった……」 「ほらね?そう考えると、大成功やな」 「言えてる……。罪 […]

365 SS 5.30

健康食品好きの彼女が、また妙なモノにハマったらしい。 「・・・なんだって?」 『だからアーモンドミルク!駅前のコンビニに売ってるから』 「アーモンドミルクぅ?」 そんなもの全然見当たらないし想像もつかない。ヒントが少なす […]

365 SS 5.31

「1日350グラム以上の野菜と200グラムの果物!!」 「いやそんなの無理でしょうよ」 健康食品好き・・・と言うか、健康オタクな彼女がまたそんな事を言っている。 「無理じゃ無いって~!」 「そんなのいちいち気にしてるほう […]

365 SS 5.27

ビーーーー、という音を聞いてハッとした、耳なじみのある音で、しかもイヤな気持ちを思い出したからだ。 バグッて横や縦に延びきった画面、電子音すら延びっぱなしでまだまだ続く『ビーーー』。 これはもうリセットするしかないと赤い […]

365 SS 5.28

自分で自分の身を守るためには一体どんなものが必要だろう。 防御、防具、それから攻撃。 守ってばかりでは守り切れないこともある。 場合によっては攻撃してこそ、守ったという事になる場合もある。 自分を助ける。 自分を助けるた […]

365 SS 5.29

ジョリッジョリッジョリ、と朝から鳴る。 毎朝毎朝、ジョリッジョリッジョリ、ガリッガリッガリッ。 牛乳を入れてトプトプッ 時間が経つとふやけて音が無くなる。 最後に飲み干す、ズーって音。 いやいや朝メシと言えばご飯に目玉焼 […]

365 SS 5.30

ふわっと現金が手元からさらわれた。 宙に浮かぶ一万円札。 やばいやばい、と慌てて掴もうと走り出す。 だけど車の多い大通り。 偶然にも車が通ってなかった瞬間に慌てて跳ねた。 見上げた空。浮いた一万円札。つよい風に巻き上げら […]

365 SS 5.31

「あそこの家、もしかしてカフェにしたんかね」 昔から建っている古い家がリフォームされたかと思ったら、どうやら店になったらしい。 あんな古くて汚い家をわざわざリフォームしなくたって…。 そう思ってたのに。見ると流行っている […]

今日は何の日?6月のフラッシュフィクション

365 SS 6.1

夏という事で、新しいグラスが会社に置かれる事になった。 まぁるい小さなグラス。 まるで畳のようなコースターがセットになっている。 来客用にと用意されたグラスだけど、皆面白半分珍しい半分でグラスを使いたがっている。 今日こ […]

365 SS 6.2

東京には異世界がある。 目が覚めた時、今まで見たことも無い世界が広がっていた。 割れる様に頭が痛い、吐き気が酷い。喉が渇いて、世界がグルグルと回っているーー 『にゃおん』と鳴く声に気がついて首を回すと、一匹の猫が居た。 […]

365 SS 6.3

「こっからここまで俺のばしょです~!」 「ちがいます~!ここはみんなの教室です~!みんなの教室だからみんなの場所です~!」 「ダメなの!俺がこの場所買ったの~!」 「そんなの嘘です~!教室は偉い人のものです~!だからお前 […]

365 SS 6.4

森の匂いがする。 天気は晴天、カンカン照りのハズなのに、森の空気はどこか湿っている。 木々のお陰で影が出来ている。それは木漏れ日というよりもほぼ影の中。 向こうの方に見える光はまっすぐ森の中へと差し込んで、はらっぱらしい […]

365 SS 6.5

老後、どうしよう。 一説によると、老後の貯蓄は4000万円必要らしい。 4000万本当に必要か?という疑問はまず置いといて、実際自分が40000万、貯蓄出来るかどうか考えてみる。 現在の自分の貯蓄は三十万。三十万を四千万 […]

365 SS 6.6

降り出した雨が強くなってワイパーを動かした。 静かな車内に鈍く響くワイパーの音。 雨足が激しくなってきてフロントガラスに当っては砕け当っては砕け。 急に寂しい気持ちになってFMを付けた。 ボリュームを上げると今流行の音楽 […]

365 SS 6.7

世界がどんどん狭くなっていく。見えてたものが見えなくなっていく。 気づけばいつの間にか、目が悪くなっているらしい。 「いい加減メガネ作りなよ~~」 話の流れで、ふいに娘にそう言われた。 「見えてるからいーんだよ」 目が悪 […]

365 SS 6.8

この海の向こうには、どんな世界が広がって居るんだろう。 きっと地図を確認すれば解るのだけど、なぜかそうゆうモノとは無縁に感じるのは何故だろう。 自分だけのちからで、この海の向こうを見に行った時、いったいどんな世界が広がっ […]

365 SS 6.9

「コレってどうやって使うの?」 「だからー窓のレールのとこ」 「それは解るけど~」 「レールの中間のとこで止めるの」 「えー?そんなんでロック出来るの?」 「出来るの!やってみー」 「え~?」 新しい施錠グッズを買ってき […]

365 SS 6.10

チンチン、懐かしい鐘の音が近づいて来て振り返った。 響く鐘の音はまるで鈴のように可愛らしい。 路面電車だ。 コトコトとゆっくりと進む路面電車。 今はめっきり減ってしまった路面電車・・・、いや、そもそも路面電車が走ってる時 […]

365 SS 6.11

梅雨特有のシトシト雨。 静かに優しく続く雨。 まるでこのままずっと永遠に続きそうなくらい、優しく静かに柔らかく降っている。 ほんの少し寂しいような。ほんの少し切ないような。 見下ろせば、カラフルな円がパッと咲いた。 雨の […]

365 SS 6.12

もしかして、手話って世界共通? カフェでお茶をしている時、楽しげに話す2人の女性が居た。 2人の年齢は少し離れているような気がした。 親子ほどは離れてない、しかし友達ほど近くもなさそうな二人。 『楽しげに話す』といっても […]

365 SS 6.13

車に乗り込み、座席の位置を直し、シートベルトを付け、鏡の位置を直し、周囲を確認する。 アクセルを踏み込んでゆっくり進む、左右を確認して駐車場を出る。 それから、FMを付ける。 FMを付けるその瞬間、ふわっと心が浮き上がる […]

365 SS 6.15

しとしと雨と、じめじめ梅雨、むしむし部屋。 ふと郵便局を通り過ぎる時、【かもめ~る】のポスターを見かけた。 そこには、暑中見舞いのはがきも載っている。 暑中見舞い。 最近はめっきりハガキを送る機会も減ってしまった。 面倒 […]

365 SS 6.16

紫陽花(あじさい)を模した上生菓子(じょうなまがし)が、黒い四角い、小さな小皿に置かれている。 添えられた黒文字(くろもじ)を手に取り、ナイフのように餡を切る。 一口サイズにしてから、今度は楊枝のように刺して口へと運ぶ。 […]

365 SS 6.17

父の日に、あの少年を見かけた。 少年は中年男性と手を繋いで歩いていた。 楽しそうに笑って、男性を見上げる少年。 母親は今日は居ないのだろう。ふたりで連れ立ち、歩いている。 5丁目の角に住む奥さんところの一人息子。ひな祭り […]

365 SS 6.18

海外移住。それは夢のような響き。 タイなら10万、マレーシアなら8万。 インターネットが普及する昨今、色んな情報が手軽に入り、昔と比べて随分気軽に移住できるようになったもんだ。 それでも私が日本に居る意味ってなんだろう? […]

365 SS 6.19

回れ回れメリーゴーランド,女性を抱きしめ上げる男性、そのままくるくる回って、男性が上を向いて彼女へキス。 響くピアノのメロディー。キレイな旋律。繊細で強くて優しい音。アメリカチックな、まだ真新しい斬新なリズム。 染み入る […]

365 SS 6.20

ペパーミントの花束に あの人の口の中へ、ペパーミントの葉を一枚。 舌触りはスベスベしていて、ハッカの香りが鼻腔をくすぐる。 セイヨウハッカの爽快感。 やたらと生命力が強いミントは、ひとたび庭へ植えればもはやテロ。 どこま […]

365 SS 6.21

今日は一年で一番日が長い夏至の日。 一番陽が長いから、沢山いろんな事を考えなくちゃいけない。 インドで形成されたヨガ。 そして音楽について。 これから夏が来るから、今のうちに冷蔵庫の点検もしておかなくちゃ。 赤ちゃんが噛 […]

365 SS 6.22

毎朝の星座占い。なかなか出てこない自分の星座を思いながら、とうとう11位まで発表されてしまった。 今日のワースト1位!蟹座!! そんな声を聞きながら、どんよりとした気分になる。 気のせいかもしれないが、蟹座ってなんかやた […]

365 SS 6.23

「警察官は?」 「パブリックだねぇ」 「消防車は?」 「パブリックね」 「トイレは?!」 「パブリック!」 「じゃあごはんは?」 「うぅーん?パブリックかなぁ?プライベートかなぁ」 今日は『国際パブリックサービスデー』と […]

365 SS 6.24

ピーチュクピーチュクピーチュクリュリュリュ、ピーチュクピーチュクピーチュクリュリュリュ 良く晴れた日、どこからともなく聞こえるさえずり。 せわしなく歌うヒバリは世間話でもするように。 みんなとは違う、もっとずっと早く、ド […]

365 SS 6.25

もしもガウディが日本に住んでいたらどんなものを作っただろう。 こちらは地震大国の日本。一方向こうは、地震が少ないスペイン。 ガウディだったらどんな風に設計したのだろう。ガウディだったら、ガウディだったら……。 『まーたガ […]

365 SS 6.26

その時、天が青白く光った。 まったく雨が降らず、農作物が枯れていく日々。そんな最中の出来事だった。 堰を切ったように地へと叩きつける雨、雨、雨。 天の恵みか、それとも、天のお怒りかーー —スポンサーサーチ— 6月 […]

365 SS 6.27

『今日はちらし寿司の日です★』 スーパーで買い物をしていると、そんなポップが目に入った。 一瞬目を疑った。ちらし寿司の日?いやいや嘘だろう。ちらし寿司と言えば、ふつうはひな祭り。 何かお祝い事の日なら解るけど、何でこんな […]

365 SS 6.28

「パフェ食べないの?」 「いらない。」 「なんで?」 「もう入らないから」 「そこは別腹だろ〜」 「え〜。なに、食べて欲しいの?」 「べつに〜。あ、すいませーん」 そう言って頼んだパフェが、程なくしてテーブルへやって来た […]

365 SS 6.29

どこに行っても耳にする、聞き覚えのある音色。 聞けばすぐにわかる。のんびりで軽快なリズム。 同じ時代に生きてた事なんてないのに、生きてたような気がする。 初めて聞いたはずなのに懐かしい。 テンポの良い明るい音楽で優しい気 […]

365 SS 6.30

はんぶんこ、すると、辛いことは少しだけマシに思える。 宿題をはんぶんこ。 全部で100ページあって大変!って思っても、50ページならまだやれる気がする。 プリンをはんぶんこ。 全然足りない!って思うけど、あとでもう一回食 […]

365 SS 6.1

夏という事で、新しいグラスが会社に置かれる事になった。 まぁるい小さなグラス。 まるで畳のようなコースターがセットになっている。 来客用にと用意されたグラスだけど、皆面白半分珍しい半分でグラスを使いたがっている。 今日こ […]

365 SS 6.2

ふわりと香れば、どうしようもなく『女性』を思わせる。 上品で高貴で、わざとらしくなく、けれど少し、人を寄せ付けないような、だけども、人を魅了する香り。 いや、女性だけではない。魅力的でセクシーな、男性にピッタリな香り。 […]

365 SS 6.3

「なんでいつもミスるかなぁ~~?!」 って、言われてしまう人がいる。 期待してた周りからするとちょっとガックリ。 惜しかったねぇ、って励ましながら、落ち込んでる姿をみると「大丈夫、次もあるよ!」とついつい応援してしまう。 […]

365 SS 6.4

しゅーっと蒸気が出始めて、勢いは増してもくもくもく。 吹きこぼれそうなぐらいの勢いになり、だんだん知ってる良〜いにおい。 ……。はい完成! ふたを開けるとボワッと蒸気! ひとくちかじれば、なんともいえないフワフワ感! 中 […]

365 SS 6.5

配色だけで思い出す。 簡単なようで手が込んでる。 シンプルに見えて作るのは難しい。 誰でも作れるようで全然違う。 自分では思いつきもしないのに値踏みする。想像は現実を超えて、 無から有を生み出して、 無味のものに色を付け […]

365 SS 6.6

「6月6日はロールケーキの日!」 「え?なんで」 「ロールケーキを切った断面が6っぽいから!」 「おぉ……、まぁ、そうか。」 「6月6日は山形さくらんぼの日でもある!」 「え?なんで」 「さくらんぼのシルエットが6に見え […]

365 SS 6.7

「いたた・・・」 「どうしたんです?」 「いや〜首が痛むねん、こないだお釜掘られて・・・」 「え〜まじすか?大丈夫だったんですか」 「あぁまぁ、そんときはまぁ何ともなかったんやけどな〜最近痛んで」 「むちうちってやつです […]

365 SS 6.8

「ロハスなの!」 と彼女は随分昔から言っていた。 彼女から聞いたばかりの頃は『なにそれ?』って感じだったけど、最近はポスターなんかでもよく見かけるようになった単語だ。 『ロハスショップ』なんてキャッチコピーに、オシャレな […]

365 SS 6.9

最近はコンビニでカップに入った氷が買える。 今までバーベキューと言えば、袋入りの氷だったけど。 いちいち紙コップ用意して、それぞれのカップに入れて、わけて、余って、知らない間にくっついちゃって、壊すの意外とめんどくて、っ […]

365 SS 6.10

さっきから、隣の男が気になっている。 というのも、今日は出張で、東京から来ているわけだが。 長時間の移動で疲れた身体いや食欲を満たすために目に入った店へ。 さ~~てようやく昼飯、うどんを頼み、運ばれてくるのを待っていると […]

365 SS 6.11

春には白く小ぶりな花を咲かせた木が、いよいよ梅の実が熟し始めている。 まぁるい花びらを見て、梅の木かなぁ?なんて予想はついていたが。 梅の実がなっているのを見ると、やっぱり梅だったんだなと確信した。 青い梅から、黄色の梅 […]

今日は何の日?7月のフラッシュフィクション

365 SS 7.1

一年に一回ある、夏休み、冬休み。 それから毎週ある土曜日曜。ときどきある連休。 身体を休めるのは、目に見えるから解りやすい。 例えば眠る。例えば整体やマッサージへ行く。ゆっくりお風呂に浸かる。 心の休息はどうだろう。 心 […]

365 SS 7.2

「タコってなんで足が8本なん?」 「ちゃうねん、実はタコの足は10本やねん」 「えっ!じゃあイカと同じやんか。なんで10本もあるん?」 「ちゃうねん。イカはそのうちの2本は足じゃなくて腕やねん」 「ええっ?!もっとビック […]

365 SS 7.3

差し出したソフトクリームに、躊躇無くかぶりついてくれるから夏の海は最高だ。 梅雨明けしたばかりの暑い日。複数人のグループで海に来た。 海開きはまだ先だけど、気持ちが良いからと皆を誘って。 普段なら誘っても来ない君が、二つ […]

365 SS 7.4

友人のカーディガンの脇下に穴を見つけた。 「ちょっと!脇の下穴空いてるんだけど!ウケる〜」 「え!うわ本当だ〜恥ずかしい」 「そーいやいっつもそれ着てるよね?カーディガンそれしかないの?いい加減新しいの買いなよ〜!」 「 […]

365 SS 7.5

谷口さんのグラスが新しくなった。 普段、煎茶や紅茶を飲んでいる谷口さんが、夏用なのか、綺麗な青色をした、切子の模様が繊細なグラスに変わった。 さすがにこの暑さでは、谷口さんも温かいお茶は飲まないらしい。 中身に入っている […]

365 SS 7.6

何が売れるかなんて解らないから、7月6日は『たわら記念日』。 wikipediaの『サラダ記念日』のページを読んで、ふとそんな事を考えた。 角川書店から出版されるハズだった詩集・サラダ記念日は、歌集や句集などの短詩型文学 […]

365 SS 7.7

7月7日のデートのプランは完璧だ。 ゆかたを着て、彼女はポニーテールで、昼食は竹を使った本格派の流しそうめん。 そのあとデパートに行って涼みながら、彼女に『何かほしいモノある?』ってショッピングしながらプレゼントを選ぶ。 […]

365 SS 7.8

沸騰したてのお湯を注いで、蓋をしてから2~3分。 ゆっくりじっくり、茶葉が開いて、ガラス容器の中。 色とりどりの花が咲いたら飲み頃。 開いた花を眺めながら、お湯に揺れて茶葉がゆらゆら。 時間がゆっくり流れるのを感じれば、 […]

365 SS 7.9

ジリジリと上っていくときの不整脈。 『標高79m』。 最高の景色。周りにはビルも家もなんにもない、ただただまっしぐらに落ちるだけ、特有のレールと車両に揺らされて内蔵も揺らす振動、落ちるだけの風。 傾斜角度は65度、最高時 […]

365 SS 7.10

ピュウと響いて、わぁっと楽しげに音の鳴らした方へと振り返る。 指笛を鳴らした人は照れくさそうに笑う。 「ぃよっ!」と拍手するおじさんを筆頭に、周囲にいた人も次いぱちぱちと手を叩く。 お祭り、コンサート、応援。指笛は色んな […]

365 SS 7.11

朝は7時、夜は11時。 コンビニの始まり。 「やばぁ~お腹へったぁ~~」 「なんか買いに行く~?」 「うん~」 真夏の夜中のアイスも、年越しの神社参りの帰りに食べる肉まんも、花火を見ながら食べるフランクフルトも。 締め切 […]

365 SS 7.12

人間だけど、犬じゃ無いよ。 ドックは『dock』(船渠)。 船渠(せんきょ)は船(ふね)+渠(きょ)。 船を建造、修理、あるいは係留するための施設。 人間ドックの適齢は35歳以上、もしくは40歳以上。 人間のメンテナンス […]

365 SS 7.13

『もつ煮込み』のメニューを見て、思わずゴクリと唾を飲む。 が、しかし、間違っても、ここで頼んではいけない。 そもそも女性ひとりで居酒屋にいる時点でヤバいのに、さらにもつ煮込みなんて頼んだら、周りのおじさんに白い目で見られ […]

365 SS 7.14

うだる暑さの夏。 エアコンを付けるとなんだか体調が良くないし、消すと5分と居られない。 結局またエアコンを付けて家の中。 何だかんだで家から出るのも億劫で、日が暮れるのを部屋で待ちつつスマホを弄る。 「みかんゼリーあるけ […]

365 SS 7.15

マンゴー。 初めて食べた日は、砂糖にでも漬けてたのかと思った。 こんなに甘ったるい果物を、今まで食べた事が無かったから。 原産地はインドまたはインドシナ半島周辺とも言われている。 こぶりな果物が多い日本で、異様なサイズ感 […]

365 SS 7.16

クロアゲハが自転車屋さんの室内に入っていって、店員さんが数回ジャンプして、外へ出そうとしているのが見えた。 ひらひらと店内を舞う黒い蝶々。 店員さんがほうきを持ってきて外へ追いやる 蝶々は、ひらひらと迷いながら、店内と外 […]

365 SS 7.17

東京。 『東の京』。それ以外に意味はあるんだろうか? 日出づる国、日本の首都。 列島の真ん中 東京には、沢山のものがある。 東京が好きか嫌いか?そう聞かれたら私は、二つ返事で『好き』だと言う。 やっぱり、綺麗で憧れで、沢 […]

365 SS 7.18

『ただいま、 光化学スモッグ注意報が 発令されました。 外出や屋外での運動、 お急ぎでない方の 自動車の運転は、 なるべく 控えてください。』 聞き慣れない注意喚起の放送が空に響いた。 はて『光化学スモッグ』とは、どんな […]

365 SS 7.19

桃の生産地と言えば、全国一は山梨県! 2位は福島、3位は長野! 「百」は「もも」、1年のうちで7月19日が「百」の倍数の200日目! 桃が一番おいしい季節! 夏から初秋が桃の旬! あまいあまぁーい桃。 水分をたくさん含む […]

365 SS 7.20

『ハンバーガー』を見ながら一口、かじりついた。 恐らくこれはポークとビーフの合挽き肉。 アメリカじゃビーフ100%しか『ハンバーガー』とは呼ばないんだよな。 「おいしいね、ハンバーガー!」 だけど君が嬉しそうだから、「そ […]

365 SS 7.21

海と諸島を眺める為にあるような街。 ぽっかりと浮かぶ島々。 すこし強い潮風、鳴く海猫が空を駆けっこしてる。 向こうへとまっすぐ伸びる赤い橋。 「松島やああ松島や松島や」 果たして、昔の人は一体どんな気持ちで、松島の景色を […]

365 SS 7.22

カランコロン、夜風に響く音。 大股で歩けず小股で歩いてカランコロン、ときどきつまづいてカランコロン。 男も女もカランコロン。 夏の夜風にカランコロン。 涼しげな浴衣の足元でカランコロン。 鼻緒に指の股を痛めてカランコロン […]

365 SS 7.23

今日が『ふみの日』だと言うことを知って、数ヶ月前に書いた手紙の存在を思い出した。 書いたけど、ポストに入れてない手紙。 すっかり忘れてた……いや、アイツの事を忘れた事は無かったんだけど。 鈴木さんは俺の話なぞ聞いてはくれ […]

365 SS 7.24

晴れ間の中にぽつんと、雨の日が現れた。 しとしと降りしきる雨。 川へ水滴を垂らしひとつまたひとつ、波紋が広がる ――こんなしとしと雨の日は、ぽつんと現れた雨の日は、まるで河童でも現れそうだ。 わさわさ植わったシダの葉で、 […]

365 SS 7.25

かき氷の日 んべ、と見せてきたその青い舌に照れた 『見せてよー!』と言われたけど恥ずかしくて見せられなかった。 赤いベロがますます赤くなった気がして、氷がますます早く溶けた気がした。 End.

365 SS 7.26

幽霊は全部科学的に証明できる。 ただの疲れで、体が錯覚を起こしている。 疲れや寝不足から、幻覚を見せてるだけ。 ……全部解明できるなら、じゃあやっぱり幽霊なんていないのかな? 例えば、どうしてもお礼を言いたいあの人に、死 […]

365 SS 7.27

「なんか嬉しそうだけど、どうかしたの?」 まぁるい、それでいてギザギザの縞柄。緑と深緑のずっしりとした見事なスイカを見てたら、声を掛けられた。 「嬉しくって!」 「え~?なんで?」 「みんなでスイカを囲むのが!」 「えー […]

365 SS 7.28

『自由研究』ほど大事なモノは無いなと大人になってから気がついた。 何をやりたいか?何に興味があるか?一番最初に自覚するタイミングかもしれない。 案の定、何がしたいのか解らなかった私は、なんとなくで裁縫に手を出した。 ただ […]

365 SS 7.29

虎。 がおーと一声。 強い虎。 ……なのに、なぜかお茶目な虎。 ライオンとほぼ似てるのに、百獣の王と比べて、これといったキャッチコピーが無い虎。 時にバターになったり、炊飯器になったり。 そんな虎は、ネコ科です。 End […]

365 SS 7.30

ちゅん、って中央に寄るパーツ 食べるとみんなが同じ顔。 あっちでちゅん こっちでもちゅん。 ちゅんちゅんちゅん、 しぼんだ表情が咲く。 そのすっぱさで思わずちゅん。 梅干しを食べると、みんな同じ顔。 End.

365 SS 7.31

『聞きたい?』 じぃぃ、とソレを見ていたら声を掛けられた。 パイプ椅子の上に置かれた古い蓄音機。 鳴るのかただのオブジェなのか、興味があった。 『あ、はい!』 おじさんは針を動かし、レコードへと当てる。 ゆっくり回るレコ […]

365 SS 7.1

“シャボンだ〜ま〜 とんだ〜 や〜ねまで と〜んだ〜 や〜ねまで と〜んで〜 こ〜われて〜 きえた〜” ど〜〜〜〜〜してだろう。 童謡って、大人になってから聞くと、なぜか無性に、涙腺に来る。 といっても、この切ないメロデ […]

365 SS 7.2

稲作の、ようやく一息ついた半夏生。 梅雨の時期はたくさんの雨が降る。 田んぼにも水が入って、時には濁流になることもある。 そんな梅雨の数日間ばかりは、農家もお休み。 良くない気を取り入れないよう、 うどんを食べて質素に暮 […]

365 SS 7.3

食事に来て着席し、食事が運ばれてくると、隣の席ではいつも同様カバンのなかからおもむろに何かを出す。 その様子を見て「出た」と無意識のまま声に出した。 「え?」 「ま~~~だ持ってんの、それ」 「え、持ってるでしょ!!当然 […]

365 SS 7.4

かじったとこから「じゅるっ」と果汁があふれてきた。 しゃきしゃきの歯ごたえと、あっさりした果肉はまるで粒のよう。 果肉が立ってしょりしょりと、いくらでも食べられそう。 甘いんだけど甘すぎない自然の美味しさ。 だけどこんな […]

365 SS 7.5

プラチナ世代、ってのを初めて知った。 プラチナ世代。シルバーシートとかチャイルドシートとかあるけど、プラチナシートはあるんかな。 プラチナチケットとかはときどき聞くけど、あれは高級とか特別って意味であって年齢ではないよね […]

365 SS 7.6

「なんか買ってく~?」 『あー。じゃあロールケーキ』 「ロールケーキね」 『どこで買うの?』 「え?スーパー?に行こうと思ってるけど」 『そうなんだ。じゃああのちょっと大きめのロールケーキにしてね』 「大きめ?」 『そう […]

365 SS 7.7

「ふっるい映像、だがしかし、それがいい!!」 「そうかぁ~~~!?」 こじんまりとした居酒屋。隣に座った三十代ぐらいの男だろうか、緩く気崩したスーツ姿で二人が楽しそうに喋っている。 「今どきCGもあるんだから、わざわざ面 […]

365 SS 7.8

菌労感謝の日 「はうあっ!!!」 「ななな、なんだっ!?」 突如聞こえて来た大声に目を覚まし、まだ目もちゃんと開かないままソチラ方面へと顔を向ける。 「ままま、まさか……!」 と喋るのは黒髪ロングの女。薄い水色のタンクト […]

365 SS 7.9

どうにも悲しくて、悲しくて、悲しくて。 大人になると、明確な理由なんて見つからないのに泣きたくなる日があるんだな、って知る。 子供の頃のほうがよほど強かったのかも知れない。 大人になった今、なんてことない事で傷ついたり、 […]

今日は何の日?8月のフラッシュフィクション

365 SS 8.2

じょりっじょりっじょりっ ぼりっぼりっぼりっ ざーーーーっ じょりっじょりっじょりっ ぼりっぼりっぼりっ 絶妙な醤油感とザラザラの感触。 歯ごたえはボリボリと。 あっという間に一袋。 じょりっじょりっじょりっ ぼりっぼり […]

365 SS 8.4

どこからともなく聞こえるお囃子と、 どこか遠くから聞こえる響く音。 ときどき空にマイクの音がハウリングする カランコロンと下駄の音と、 歩くたび揺れるお団子頭。 少しずつ本当に少しずつ髪が下がって 振り返った笑顔にドキッ […]

365 SS 8.5

お弁当を作る時からわくわく。 カニカマ、玉子焼き、コロッケ。 おにぎり握って、海苔は別で持って行こう。 お味噌汁も飲めると嬉しい・・・でも重たくなるからなぁ。 想像するのは山頂の光景。 オイシイ綺麗な空気の中で食べるお弁 […]

365 SS 8.6

「アドレスは、http…んで、WWW…」 「WWWってなんなんだろう」 「なんなんだろう、ってなに?どうゆう意味」 「いや、ふと、ね。ダブリューって三回も繰り返すのって、なんだろ」 「ダブリューって三回も繰り返すのはさ、 […]

365 SS 8.7

うっすら塩味と、さわさわっとした舌触り。 囓るとぬるっと種が出て来て、もぐもぐもぐ、独特の食感が面白い。 輪切りにカットすればまるでお星様みたいな柄。 小さい頃は、ぜんぜん美味しさなんて解らなかったけど。 大人になると、 […]

365 SS 8.8

今日は笑いの日、と言う事で。 『ハッハッ!』という笑い声から来てるんだって。 いつだって、笑う、ってことには価値がある。 笑う、だけで価値があるよ。 悲しい時も、出来たら笑顔で。 それがもしかすると、アイドルとして必要な […]

365 SS 8.9

隣で唐突にハグが始まって驚いた。 が、見ればなるほど外人だ。 ああ、外人ならハグぐらいするか、って思ったけど。 日本人て、滅多にハグなんてしないよなぁ。 そもそも外人のハグって、やっぱ挨拶って感じがあるし。 あの雰囲気に […]

365 SS 8.10

ただの日常は思い出に残らないのに、旅行に行くと絶対に思い出に残るのはなんでだろう? 普段と違う事をしてるから? だからなんか、身体の全細胞が活性化してるような、そんな感じ。 きっと目に映るもの全てが物珍しくって、目新しく […]

365 SS 8.11

チョコの部分と、クッキーの部分を綺麗に剥がして食べてみたいっっっ!!! ・・・・・・けど、なかなかそんなうまくは行かない。 『あっ!!!』 ぱきっ、と折れたクッキー部分。 クッキー部分には縦線の筋が入るようにパキッと。 […]

365 SS 8.12

エントランスのドアを開けると、見知らぬ人がポストに紙を突っ込んでる瞬間だった。 (き、気まず~~~!!!) 「こんにちは~」 これはいわゆるポスティング、ってヤツ?女の人が手慣れた手つきでポストに入れたかと思ったら、穏や […]

365 SS 8.13

「いちじゅうさんさい」 「何よ」 「いや、いちじゅうさんさいって、読むんだなって」 「はい?」 「いま言ったいちじゅうさんさいって、『いちじるさんな』みたいな漢字のやつでしょ?」 「そうだけど」 「いちじるさんなって読む […]

365 SS 8.14

いっつも裸足のおじいちゃん。 靴下はいたら?って言っても面倒がって履かないおじいちゃん。 夏休み。おじいちゃんの家に来た。 クーラーが効いててありがたい。 昔の『おじいちゃんち』のイメージからすると、ずいぶん近代的になっ […]

365 SS 8.15

「お盆だな~・・・」 特に見たいわけでもないけど、さっきからテレビは付けっぱなしだ。 面白くないわけじゃないんだけど、真剣に見る気にもならなくて麦茶を飲む。 お盆と言えば帰省。だけど最近かえったのはいつだったかな。 帰省 […]

365 SS 8.16

「ふふ……っ」 ず~~~~っと、今日一日家から出てないねーちゃん。もう夜なんだけど。 「一回も家でてないとかヤバくね?引きこもりかよ」 って言ったらねーちゃんがこっちを見て、にや~っと笑った。 「そう?普通じゃん?」 「 […]

365 SS 8.17

「なんか、ピリッとする!」 パイナップルを初めてあげたとき、子供が突然パイナップルを吐き出して今にも泣きそうになっている表情を見て私はぽかんと口を開けた。 「にがい!」 そう言って嫌がる子供をぽかんと暫く見ていたけど、は […]

365 SS 8.18

家族は大切にしなきゃダメだよう、なんて。 いつになってもいくつになっても言われるんだけど。 日本人って、機会があるごとに、それ言うよね。 例えば久々に実家に帰ったときとか。 普段全然喋らない親戚とか。 出会ったばかりのど […]

365 SS 8.19

「閑さや 岩にしみ入 蝉の声・・・松尾芭蕉」(しずけさや いわにしみいる せみのこえ) 有名な俳句だ。誰もが一度くらいは聞いたことがあると思う。国語の教科書か何かに載っていたかな? 俳句っていうのは、結局のところ解釈は『 […]

365 SS 8.20

学校から買った書道セットには入ってない筆を使ってる子がいて、「その筆すごいね」と話しかけた。 「すごいでしょ」 「高いの?」 「ううん、そんなでもないんじゃないかな」 「そうなの?なんかすごい人が作った筆とか?」 「うん […]

365 SS 8.21

「どこで待ち合わせする~?」ってときに、 「公園で!」と言ったりする。 「どこの公園?」ってなったときに、 「噴水のとこは?三つ並んでて、後ろが滝って言うか、壁みたいなやつから水が出てる方の」って言ったりする。 「あ~。 […]

365 SS 8.22

はい、ちーず! ・・・って言われると、緊張して、真顔になってしまう。 「・・・あれ?なんかおかしいなあ・・・あ、電源が入って無かった、ごめんごめん・・・」 緊張するから、まだあ!?!?って、イライラしてしまう。 ぱしゃー […]

365 SS 8.23

今年もまた、この時期が来た。 「観光ですかい?どこから」 「東京のほうです」 「そうなんです。鶴ヶ城の次に見るところはお決まりで?」 「飯盛山に」 「おぉ、そうですか。飯盛山には白虎隊で有名で」 「はい。それを見に来まし […]

365 SS 8.24

「じゃあそこにあるの一枚取って、上下Mサイズかな…いやーSかな」 「あ、はい…。あ、Sのが良さそうです」 「うん。けっこうサイズ大きめに作られてるからね。私もS着てるから。」 「はい」 「3回くらい着て、汚れてきたらココ […]

365 SS 8.25

パステルで色を塗って。 パステルでの色塗りが難しかったら、指で馴染ませるように撫でて。 ふわふわにするように擦って。 素朴で優しい色合いの、ふうわりした色が付く。 ざらざらの画用紙に撫でれば、でこぼこしたような見た目に。 […]

365 SS 8.26

レインボーブリッジを通るとき、遠くまで見渡せる海を渡るとき、『私は今、東京にいるんだなぁ』と感じる。 橋なんて、どこの橋も同じようなもんか、って。私の生まれた地域では、キレイな橋なんてなくて。 山と山を繋ぐ橋だったり、川 […]

365 SS 8.27

じゅる、っとかぶりつくとジューシーなお味。 こまかい粒子が溶けていって、舌触りの良い甘さが解けていく。 アイスよりもずっと柔らかい、シャーベットよりもまったりと、かき氷よりも暖かい。 洋風の雰囲気でまるで異国にいるみたい […]

365 SS 8.28

「ねぇ、テレビってなぁに?」 「テレビはねぇ、昔はみんな家にディスプレイがあってね」 「ディスプレイ?パソコン?」 「うーん、タワー型パソコンがあるでしょう」 「うん。画面と本体を繋いで操作するパソコン?」 「そうよ。そ […]

365 SS 8.30

今、小説を書けることがとても楽しい。 『今、小説を書けることがとても楽しい。最近そんな事を思う。 私は小説を読む習慣がなくて、小説を読めるような落ち着ける時間もなかったったのもあって、習慣にはならなかったんだけど WEB […]

365 SS 8.31

8月31日は、『I Love Youの日』なんですって。 「な~にが〝I Love Youの日〟だよ」って、思うでしょう? 『I Love Youの日』は、翡翠(ひすい)のマグカップ「翡翠マグ」を販売している〝青雲舎株式 […]

今日は何の日?9月のフラッシュフィクション

集中してるから邪魔しないでくれ!!!

集中するための環境って大事ですよね。うちの母親は『本気で集中してればどんな状況でも集中できるはずだ!集中力が足りないんだ!』なんて言って自分の行動を正当化するタイプなんですけど(笑)コレってちょっと横暴では?と大人になっ […]

365 SS 9.1

ある日、床に傷が付いて、溝が出来た。 「あ・・・やべー」 仕方が無くパテを買ってみた。 溝を埋めるパテ・・・ 「・・・え、むず・・・」 なんか微妙に硬いし。練るとちょっと柔らかくなるけど。 あ、これなんだっけ・・・この感 […]

365 SS 9.2

ましかく、と言う魅力。 例えば角砂糖。 例えば時計盤。 例えばテーブル。 額縁。 正方形、と言う形は昔からあるものだけど、世界には意外と少ない。 「・・・これ、なに?」 「これはねぇ、家だよ!」 「家~~!?家は、こんな […]

365 SS 9.3

アレがいいコレがいい、って、言うけれど。 「バズりか~」 「なんか流行ってるよね~」 「最近いいのあった?」 「うーん。人気なのは多いけどね~。なんか違うんだよねー」 「どんな感じ?」 「もっとこう・・・じわじわ~~~っ […]

365 SS 9.4

自分にとって、ものすごく大切なものが、適正価格で売れたり 自分にとって、ものすごく大切なものが、破格の安さで売れたり 自分にとって、ものすごく大切なものが、信じられないほどの高額で、売れたり (信じられないぐらい安く、決 […]

365 SS 9.5

計画好きな彼女と、 運転好きな彼氏。 「も~~~、なんでいつも行く場所も決めずにドライブに誘うかなぁ!」 「行く場所なら決まってるだろ!海だよ!」 「そうじゃなくて~~~。ご飯どこにするかとか!絶対お腹はすくんだから~! […]

365 SS 9.6

チキンを焼いて、こんがり焦げ目。 いっしょに野菜も焼いて、 にんにく一かけ。たまねぎ入れて、 黒酢をかけて。 蓋をして、ジュウジュウ。 お皿に盛ったら、白髪ネギを乗せて。 パリ、サク、じゅーすぃー!! 美肌効果に食欲促進 […]

365 SS 9.7

「匂いの付かない」「ムシューダっ」 「しょうりゅうりきぃぃぃ~~」 「ぎゃっつびーぎゃっつび~~~」 なんか離れない歌がある。 聞くとなぜか歌ってしまう曲がある。 一度覚えるとずっと忘れない曲がある。 それはたぶん、歳を […]

365 SS 9.8

月も見て我はこの世をかしく哉(かな) 加賀千代女が読んだ句だ。 『月も見て我はこの世をかしく哉』 月も見た。さぁて、わたしはこの世からしおれていくのだなぁ。 意味を組み合わせてそのまま読むと、そんな表現になると思う。 『 […]

365 SS 9.9

温泉回って、九つ目。 温泉巡りで、癒されて。 夜風にそっと、癒されて。 星空見上げて、ため息一つ。 部屋に戻ったら、お饅頭たべて。 お茶を飲みつつ、窓辺で囲碁でもしよう。 —スポンサーサーチ— 9月9日は温泉の日 […]

365 SS 9.10

雲の上の存在、ってやつ。 「この動画っていったいどこにあるの?」 「ん?」 「この動画。」 「えー?クラウド?」 「クラウドってなに?」 「データを共有する場所みたいな?ネット上って感じ」 「ネット上?どこかに存在してる […]

365 SS 9.11

警察に、と思っても、なんかモヤモヤ。 こうゆう時って、警察…? 警察って、110番? 110番より、もう少し相談的な意味で連絡できればいいのに…。 と、いう時に『#9110』があるのを知った。 ストーカー、家庭内暴力、悪 […]

365 SS 9.12

「鳥取県民の日」 「えっ?トリの日?」 「鳥取県民の日」 「鳥取の日?」 「鳥取県民の日」 「トリ人間の日?」 「鳥取県民の日」 「とっと…とっとり県の日…」 「鳥取県民の日!!!」 「とっとり、けんみん、の日」 「そう […]

365 SS 9.13

まぁるいまぁるい、ぽっかり浮かぶ月。 お団子、お芋、黒ごまのスイーツ。 ぽてぽて野原を駆けるのは、真っ白い団子のような、うさぎさん? ススキがサラサラ。 気温もすっかり、心地良い。 夏から秋へ。 中秋の名月。 まぁるい黄 […]

365 SS 9.14

メニューを開いて目に入ったのは『酸辣湯麺』。 てかてかっとした液体のスープに、野菜が乗ってて、麺が入ってて。美味しそう。 見る限りきっと何かのラーメンっぽいけど、名前が解らない。 3人で入った中華料理屋。 割と本格的っぽ […]

365 SS 9.15

「あれ、ひとりで食べてんのー?」 購買で買った『ランチパック』を持って友人が隣に座った。俺はまだなんも返事してないのに勝手に座るんじゃねぇ!!と思いつつ、「あぁ」と食べかけのパンを囓る。 「あれ?何味それ」 「タマゴ」 […]

365 SS 9.16

「ハッピーバースデー!」 「わー!ありがと~!!あけてもいい?」 「どうぞ!」 ぱっと袋の絞りを開けて中身を取り出すと・・・ 「わーー!!カワイイ!!」 出て来たのは、まぁるい平缶!明るくカワイイパッケージ! 「クリーム […]

365 SS 9.17

「何がたべたい?」 「えー、イタリアンかな」 「こないだもイタリアンって言ってなかった?」 「言ったかも」 「いっつもイタリアンじゃん」 「だめなの?」 「いや、だって聞く度にイタリアンじゃん」 「だって好きなんだもん」 […]

365 SS 9.18

だんだん使われなくなっていくものは、価値のないものなんだろうか? 昔は確かに多くの人に使われてたのに、どんどん新しい表現や言葉が出来てく。 時代に合わせて言葉が変わっていったりすると、言葉も過去になる。 だんだん使われな […]

365 SS 9.19

「今日は遺品整理の日」 「・・・なんで?」 「きょうはクイックだから」 「クイックって、早いって事?」 「そう」 「早く遺品整理しようってこと?」 「そう!」 「え・・・それってなんか微妙じゃない」 「そんなことないよ! […]

365 SS 9.20

バスの日 べつに行きたい所があるって訳でもないんだけど、なんでかバスで出掛けたい日ってある。 それは電車でも新幹線でも飛行機でも来るまでもなくて、バスなの。 9月のバスは、独特なの。 ちょうど夏から秋に変わる中間って感じ […]

365 SS 9.21

「はぇ~~~~~」 原宿、土曜日、夕方4時。 タピオカを飲みながら、大通りにある木の下にある植え込みの段差へ腰掛けて、ぼんやり地面を眺めていると。 いろんな靴が通りかかる。 サンダル、スニーカー、ハイヒール、革靴、厚底、 […]

365 SS 9.22

「ワン!ツー!ワン!ツー!」 先生に言われるのと同じように真似をして、ワン!ツー!ワン!ツー!。 な・・・なんだろう・・・この身体に馴染むかんじ・・・ なんだろう・・・動きやすい感じ・・・ あっ・・・ 思い出した・・・! […]

365 SS 9.23

ちょっとおしゃれなカフスボタン。 滅多に使う事は無いんだけど、一年の中でも秋服に替わるこの時期、カフスボタンが出てくる。 閉まってた秋服を出すと同時に、引き出しの奥にあるカフスボタンの存在を思い出すから。 一生のうちに貰 […]

365 SS 9.24

最近畳に触れる機会はそう無い。でも。 それでもひっそりと家の近くにある畳屋さん。 よその街へ行っても、やっぱり見かける畳屋さん。 無くなるのかと思いきや、ゼロにはならない。 だって畳が家に無くても、心のどこかで畳の存在は […]

365 SS 9.25

日本では『純銀』として扱われないけど、イギリスでは『純銀』として扱われている、スターリングシルバー。 とは言え、日本でもその扱い方は、実はマチマチ。 『スターリングシルバー』と表記されてる場合もあれば、『シルバー925』 […]

365 SS 9.26

のんびりくつろぐ、 ゆったりくつろぐ。 そんなひととき。 大きな存在感の木製の机は、お父さんが作ったみたいな少し懐かしい風合いで。 気さくな店員さんが、「どうぞ~」とコーヒーを持ってきてくれる。 豆菓子をポリポリ食べなが […]

365 SS 9.27

車の掃除は面倒だけど、汚れが付きにくいようにコーティングする、という方法もある。 今や意外と色んな場所で付かれている【コーティング剤】。 例えば船に塗られている塗料はコーティングの役割があるし、マニキュアだってコーティン […]

365 SS 9.28

秋はなんだか靴が欲しくなる。 ずいぶん涼しい瞬間も増えてきた今日この頃。 ブラウン、ベージュ、ネイビー、ワインレッドにオータムイエローのパンプス。 ファーがついたフワフワのバレエシューズに、真っ赤なハイヒール。 ワンピー […]

365 SS 9.29

「カステラは和菓子でしょうか、洋菓子でしょうか?」 「えっ・・・洋菓子・・・?」 「ぶっぶー!和菓子でーす!!」 「えっ!?カタカナなのに!?」 「カステラは確かにポルトガルのお菓子をヒントにしているけど、カステラは日本 […]

365 SS 9.30

花の見ごろが北上していくように、 モミジの見ごろは南下していく。 桜前線北上中、紅葉前線南下中。 日本が横長で独特の形なうえに、うまいこと東西南北を横断しているから、 紅葉の色が変わっていく様子が解りやすいんだろう。 今 […]

今日は何の日?10月のフラッシュフィクション

365 SS 10.10

刺身と言えばやっぱりマグロ!本マグロ、メバチマグロ。 タタキ、いわゆるネギトロもおいしいし、赤身のマグロそのままでもおいしい。 筋張ったマグロなら醤油でヅケにしてもおいしい。 ピリッとわさびを効かせれば、マグロの美味しさ […]

365 SS 10.11

・・・・・・、なんか目が痛いなぁ・・・・・・ 片目を擦り、目をしぱしぱ。 ・・・・・・右目だけなんだよなぁ・・・・・・、 両目を思いっきり閉じてみて、また目をしぱしぱ。 ・・・・・・なんかゴミが入ってる気がする・・・・・ […]

365 SS 10.12

「豆の乳ってなんやねんいやらしい!!」 「えっ」 「マメに乳ってものすごぉいやらしくあらへん?」 「はぁ」 「やってマメやで!そんで乳やで!」 「……」 「いやらしいわぁ~~~!!」 上司のセクハラ発言には、時々関心して […]

365 SS 10.13

生のままだとあんなに硬いのに、火を通すとほこほこ熱い。 牛乳と一緒に食べるとクリーミーで濃厚なスイーツ。 野菜なのに果物よりも甘い。 あんなに甘いのに野菜だなんて不思議だ。 私は果物が苦手だから、サツマイモが果物だったら […]

365 SS 10.14

深夜、そろそろと電車が動いている事がある。 時にはゴウンゴウンと音を鳴らし、時にはノロノロ運転で、時には周囲に駅員が立ち並び 深夜、駅員だけが知っている電車事情がある。 皆が乗らない時間も動いている電車。 大きな存在で居 […]

365 SS 10.15

『万が一遭難したとしても、きのこだけは気をつけろ』 遭難、とまでは言わないがちょっと迷った。そんな中での空腹。 偶然目に付いたキノコを見て、山登りの先輩に言われたことを思い出していた。 「……食ったらヤバイんかな」 キノ […]

365 SS 10.16

「ボス!一緒にご飯どうですか!」 「……は?」 「だからご飯です!」 「いやそれは良いけど、ボスってなに」 「ボスなんで!」 「いや意味わからん、ボスってなんだボスって」 「やだなぁ!ボスはボスじゃないですかぁ!」 「な […]

365 SS 10.17

カラオケで誰かを感動させる事が出来る。 歌は昔からある娯楽、コミュニケーション。 歌う人の声には人生や想いが宿る。 その人の人生を知らなくても、妙に染みて入ってくる事がある。 それはもう技術とかそうゆうモノでは無い。 響 […]

365 SS 10.18

「女子ばっかり男の性欲を掻き立てるファッションを日常的にしてるってズルくね?」 ファミレスの端の席に座り外を見下ろしていた友人が唐突に言い始めた。 「なに急に?」 「めっちゃミニスカートの女子がいるんだけど」 「うん」 […]

365 SS 10.19

「ってことで、海外旅行に行く?」 「今度は海外っすか……」 「会社の社員旅行って事で」 「いやいや……行けるんすか??行けるなら行きたいっすよ俺は」 「よし、上司に掛け合ってみよう。」 「え、マジっすか?」 「行ってこい […]

365 SS 10.20

「統計って何?」 「統計ってのは……」 統計(とうけい、statistic)は、現象を調査することによって数量で把握すること、または、調査によって得られた数量データ(統計量)のことである。統計の性質を調べる学問は統計学で […]

365 SS 10.21

キラン、と光った流星群を見た。 今日は星が見える流星群の日、らしい。 暗い夜空はいくらでも見てる。 でも、やっぱり流星群ともなれば珍しい。 キラッと通り過ぎる光りに、一体どんなご利益があるんだろう。 もちろんそんなのただ […]

365 SS 10.22

小さい頃は、ただ眺めるものだと思ってた。 気づいたら文字を読んでいて、ソレがどんなものなのか知っていった。 いろんな種類の鳥たちと、鳥の名前。 鳥図鑑。 大人になると図鑑なんて見る機会はなかなか無いし珍しくもない。 だけ […]

365 SS 10.23

古い喫茶店で懐かしい黒い電話を見つけた。 もう今時は珍しい黒電話。 古いもののデザインってどこか懐かしくて可愛らしい。 呼ぶ音はリリリーンだった時代。 それから呼び出し音はトゥルルルルになり、最近だとスマホになって音楽が […]

365 SS 10.24

まんまるふわふわ、お餅みたい。 いやいやどちらかと言うとお月さま。 いやいや、ころころ可愛い文鳥です。 鳥って、ものすごく懐くらしい。 「見てみて~~~うちの子~~~」 文鳥を飼ってる友人が見せてくれた動画。 ふわふわ可 […]

365 SS 10.25

チュルッと最後の一本をすすった時に気がついた。 朝はマカロニサラダ、昼はラヴィオリ、そして夕飯に和風キノコパスタ。 一日中、パスタ食べてる・・・・・・! まぁでも、パスタって美味しいんだよねぇ。 皿の隅に転がったキノコを […]

365 SS 10.26

へろっへろのぺらっぺら! コシがあるのにパキッと噛みきれる硬さ。 醤油味でさっぱりとしたお味。 冷えた出汁に具だくさんで添えれば豪華な食事。 梅干しにオクラ、花鰹。 パスタのように扱ってラザニアなんかにしても美味しいきし […]

365 SS 10.27

買ってみたけれど全然ひらく気にならなかった本をようやく開く。 1行目を読んで『ふむ』2行目に入り『ふぅ~ん』3行目を読む頃には『ふわぁ……』と欠伸(あくび)が出た。 『読み始めるまでに気が乗らないのってなんでなんだろうな […]

365 SS 10.28

グンマー、それは日本にある唯一の外国… 日本国内群馬国 ……と言うのは冗談だが、 学校での号令は「起立」「注目」「礼」「着席」と言うらしい。 ……宮城県の一部でもそのような号令が通常なので、宮城県民としてはとても親しみを […]

365 SS 10.29

年始に出掛けた家族での居酒屋。 親戚やおじいちゃんおばあちゃんも集まる。 「どうぞ~」とお店の人から貰ったおしぼりを受け取ると、まるで示し合わせたかのように皆顔を拭き始めた。 「あ~~」 ほかほかのおしぼりで顔を拭く光景 […]

365 SS 10.30

あの子が通るたびにフワッと甘い匂いがする。 ふわふわした気持ちになると、思わずニヤケてしまう。 『おはよ』って挨拶されるとフワッと世界が明るくなる。 朝食のたまごかけご飯を食べながら、やましい妄想をしてたら遅刻しそうにな […]

365 SS 10.31

寒すぎて、ああ寒すぎて、寒すぎて。 「少しでも部屋が暖かくなるように、今夜は鍋にしよう・・・。」 「あっ、お茶飲も・・・お湯も沸かして・・・」 「シャワーだと体があったまらないから、お風呂入れよ・・・」 もしこの世にガス […]

365 SS 10.1

今やコンタクトを使う人もかなり増えて来たけど、それでもメガネの需要はある。 直接眼球に触れることがない。 手軽で簡単。 目に触れないから衛生的。 保管も難しくない。 そしてなにより、 「眼鏡をかけてるひとって、不思議な魅 […]

365 SS 10.2

遠くのものがよく見える 仕組みは簡単なのによく見える それは遥か彼方、惑星まで見ることが出来る ただただそっと眺めていれば、遠くの星で何かが起こったような気がして 行ったこともない場所へ想いを馳せて それを僕は、望遠鏡の […]

365 SS 10.3

ごめんなさい、って言えない時は、 ごめんなさいの代わりにカレーに謝ってもらう。 そう、カレーに。 ごめんなさいは365日24時間、いつでもありえる。 だけどいつもいつも謝る元気は無い時だってある。 だからごめんなさいカレ […]

365 SS 10.4

ずーっと遠くにある背中との距離は、ずっと縮まることがない。 追っかけてるんだけど、当然ながら向こうも同じスピードで歩いてる訳で。 時々近づけたような気がするけど、やっぱり距離は近づかなくて。 どうにもこうにも、追いつけな […]

365 SS 10.5

ほくほくご飯に、しっかり味の味噌おでん。 おかずにピッタリな味噌おでん。 寒くなってくるこの時期にピッタリだ。 しっかり味でじっくり煮込んだ味噌おでんも、 ふわっと味でゆったり煮込んだおでんに付ける味噌田楽も、甘辛味で癒 […]

365 SS 10.7

誰かにとっては当たり前でも、誰かにとっては当たり前じゃ無い。 生きてるだけで身についたマナーもあれば、教えて貰わなきゃ知らないマナーだってある。 マナーとは、行儀作法。 行儀、って言うからには、みんな知ってる気もするけど […]

365 SS 10.8

かりっと表面、もちっと歯触り、醤油の香ばしい味。 おべんと気分で外で食べる焼きおにぎりは3倍美味しい。 時々なんでか食べたくなる、あの冷凍食品の焼きおにぎり。 どうも手作りでは出せない味。 お米はあるのにわざわざ買っちゃ […]

365 SS 10.9

天気が良い昼下がりは、どうしてもジッとしてられない。 (あ~~、すっごい、良い天気。いま散歩したら、さぞかし気持ちが良いんだろうなぁ・・・) 14時過ぎ。天気の良い日は窓の外を眺めては想いを馳せる。 社内では天気の良さな […]

365 SS 10.10

懸命に勉強して、覚えて、考えて。 ふと、(もしこの世からパソコンがなくなったらどうなるんだろう?)って思ったりする。 例えば地球に大きな隕石が落っこちて、突然氷河期みたいになって、電気もなにも通じなくなって、パソコンなん […]

365 SS 10.11

今日は『爪休めの日』ということで。 なにげに日々駆使している爪を労る日なのです。 缶ジュールを開ける時。 シールを剥がすとき。 ゴミを取り除くとき。 指を指すとき。 なにかと使いがちの爪先。 爪を休ませるとは果たしてなん […]

365 SS 10.12

グエッ、と妙な声がどこからともなく響く。 フラッシュバックするように空を見上げた。 その姿を探すように暗闇へ目をこらす。 グェッ グェッ 動く群れを見つけた。 数にして9羽ぐらいだろうか?よく見えない。皆同じ方向へ向かっ […]

365 SS 10.14

グローバルスタンダード。 『世界標準』。 世界共通のルールとか、世界共通の規格。 例えば信号が緑・黄・赤の3色だったり、金融システムだったり。 ワールドスタンダードとも言う。 25ヵ国とか、そんぐらいの中でのルール。 ち […]

365 SS 10.15

「ちょっとお手洗い行ってくる~」 「んー」 数分後、帰ってきた、けど、なんか違和感。 「・・・え?手洗った?」 「え?洗ってない」 「うぉおい!」 「えー?なに」 「お手洗いに行ってきたなら手を洗ってこいよ!なんのための […]

365 SS 10.16

誰かがやらなきゃ始まらないけど、いちばん最初にまとめた人は大変な労力だっただろう。 今や沢山の人の知恵として活かされている辞書は、最初に作ったひとこそ本当に偉いと思う。 それは途方もない作業で。 「みんな違う意味で言葉を […]

365 SS 10.17

毎日毎日、ちびちびと欠かさずつけている家計簿。 一応、貯金がしたくてやっているわけだけど、ぜ~んぜん、貯まる気がしない。 (貯蓄、ってほどの額はないんだよねぇ・・・) このままで自分、大丈夫なんだろうか・・・。 もう遠く […]

365 SS 10.18

「冷凍でよくない?」 「いやいや、今時の冷凍はすんごいんだからな」 冷凍をバカにするものは、冷凍に泣くーーー そんなことわざが出来てもおかしくない世の中なのだ、と優美は思った。 そう、最近の冷凍食品は、マジで、ものすごい […]

365 SS 10.19

「泣いててえらいねぇ」 「おしっこできてえらいねぇ」 「たっちできてえらいねぇ」 「歩けてえらいねぇ」 「ごはん食べられてえらいねぇ」 大人になるほど、褒められることって難しくなる。 「企画が通ったな、よくやった!」 「 […]

365 SS 10.21

停電に備えて、ロウソクを準備して、マッチを準備して、ライトを準備して。 来たる台風 そして去る台風。 あぁ、無事、なにも起きなくて良かった、って。 なんの心配も無く、普通に電気が使える生活に感謝。 真っ暗な部屋は、心細い […]

今日は何の日?11月のフラッシュフィクション

365 SS 11.1

紅茶とひとえに言っても、意外と奥は深い。 紅茶でよくあるのは産地ごとに販売している茶葉。 有名なインド産、可愛いパッケージが多いスリランカ産、時々見かける中国産、それからまだ発展の余地がある日本産。 紅茶のメーカーは色々 […]

365 SS 11.2

字が汚い。 あまりにも字が汚い。 私は字が汚い。 ・・・。 普段から書く文字をキレイにしようと思ってはいるのだが、どうもその意義を感じない。自分が読むためだけの必要性しか無いからだ。 しかし時々、全然読めない文字がある。 […]

365 SS 11.3

「色んなこと知ってるねぇ」 「え?そうですか?」 「いやぁ、色んなこと知ってるよ君は」 「はぁ」 「勉強好きなんだねぇ」 「いやいや・・・、漫画ばっかり読んでて」 「あ、そうなの」 「はい」 「漫画ってのは、色んな知識が […]

365 SS 11.4

「いいよ」って言われて気がついた。 そう言えば『いいよ』って言われること、最近随分減ったなぁ。 いつからだろう?大人になってから、急に『いいよ』と言われなくなった気がする。 『いいよ』ってたった一言なのにな。 随分気が楽 […]

365 SS 11.5

「今日はいいりんごの日!」 「イヤそれ無理やりすぎん?」 「今日はいいたまごの日!」 「それも無理あるわ」 「ゼロは何でもOKなんだよ!」 「何でもありすぎるわ!」 「じゃあ他に良い案があるのかよ!!!」 「えっ」 「私 […]

365 SS 11.6

「アパートってなぁに?」 「アパートってのはね、家の種類だよ。」 「家の種類?」 「そう。マンションよりも軽い」 「軽いの?」 「そう。マンションはコンクリートで出来てるけど、アパートは木で出来てるのよ」 「えっ、木で出 […]

365 SS 11.7

帰り道の道路で、ふとどこかから鍋の匂いがする。 醤油にみりんで甘辛く煮た系の鍋。 鱈鍋だろうか?きっと魚だ。 もう随分寒々しい11月の夜。温かいどこかの家庭の匂い。冬の闇夜は3倍淋しく感じる。 街頭が映すスポットライトが […]

365 SS 11.8

空港でまさかの呼び出しに合った。 慌てて向かうと、「荷物に刃物が入ってますねぇ」と言われてしまった。 「えっ?!刃物?!そんなの持ってないです!」 「スーツケースの中を見せて貰えますか?」 「はい・・・!!」 「はさみが […]

365 SS 11.9

寒いし具合が悪い、冬の部屋・・・。 と思ってたら、家族がガラガラと窓を開けている。 「ちょ、ちょっとお寒いよ!!やめて!!!」 「換気しないと身体に悪いわよ~」 「いやいや!!換気した方が身体に悪いわ!!風邪引きそう!」 […]

365 SS 11.10

「はい!手を出して」 そう言われて手を出した。先輩が持ってるのはハンドクリーム。 「幸せのおすそ分け!」 明るい声で手のひらに出されたのはハンドクリーム。1センチくらいの小さな白。 ハンドクリーム、と言うものをほとんど使 […]

365 SS 11.11

11月11日は、一年で2番目に『記念日が多い日』! 毎日『今日は何の日?』という『記念日』をモチーフにショートストーリーを書いていると、当然ながら毎日『今日は何の日?』という情報を確認している。 にしても、11月11日は […]

365 SS 11.12

『洋服』を意識する事って極端に減った。 極端に減った、と言ってはみたが、私は今まで生きてて『洋服を着ている』なんて考えたこともない。 『和服』を見て『着物だぁ』と思うことはあれど、洋服を着てる人を見て『洋服だぁ』なんてま […]

365 SS 11.13

たっぷりと優美なラインは、どこかふくよかな女性を思わせる。 上品で控えめ、けれども意志の強いつやめきは、見てみて ほうと溜息が出る。 しなやかに揺れる柳のように。 柔らかく響く静けさのように。 線さえ残さず、とろりとした […]

365 SS 11.14

お医者ってみんな偉そう。 だけどみんな逆らえない。 反抗すれば、どうなるか解らないから。 もし気に入らなければ、他の病院へと渡るだけ。 ・・・だけど、よそへ行ったところで結局やっぱり偉そうな場合もある。 医者ってのはそん […]

365 SS 11.15

「生コンクリートの生ってなに?」 「生は生よ。生チョコと一緒」 「柔らかいってこと?」 「まぁそうね」 「ほんとに?」 「・・・ドラム缶みたいなヤツの中で、工事現場でマゼマゼして作ったのは生コンクリートでは無いよ」 「そ […]

365 SS 11.16

白、黒、グレー、深緑… 意識して周りの家を見てみると、思ってた以上にカラフルなことに気がついた。 なんでだろう?と考えてみたら、塗料の存在を思い出す。 そういえばコンクリート打ちっ放しの家や、木材で出来ていて見た目も木材 […]

365 SS 11.17

「あなーのあいたーレンコンさん♪って、レンコンだけ特別視されてるよね~」 「たしかに~!」 「にんじんさん、さんしょうさん、しいたけさん、ごぼうさん、まではただ名前だけなのにー」 「たしかに~」 「不平等!!」 「そうだ […]

365 SS 11.18

何個も何個もイヤホンを試聴して、ようやく気に入ったイヤホンを見つけた。 ウキウキしながらイヤホンを付け、毎朝の楽しみにしているいつもの音楽を聴き始める。 昨日とは違うニュアンス。厚めの重低音、にも関わらず高音キーもキレイ […]

365 SS 11.19

通学路の交差点で旗を持って立っているおばさんは、大抵誰かのお母さんだ。 自分のお母さんがバレるから、お母さんには『ただの交通整備するおばさん』で居て欲しい。 「いってらっしゃい!気をつけてね!」 絶対に話しかけて欲しくな […]

365 SS 11.20

絶対に!って感じじゃ無いのに、な~~~んか時々無性に食べたくなる。 一度『食べたいスイッチ』が入ると、食べるまでその味を考えちゃう。 小さく溶けたトマト、あつあつのチーズ、カリッとしたクリスピー生地。 期間限定ものも良い […]

365 SS 11.21

衣はカリッカリ! 噛み締めれば、アツアツの旨味がジュワ〜! 一年中食べたいけど、冬は特別おいっしい! 『やっぱり冬は、フライドチキン!!』 「そしてまた世界から鶏が命を失ったのだった…」 「食べづらい!!!やめい!!!」 […]

365 SS 11.22

二番目だけは赤いボタンのチェックシャツがお気に入りだ。 気づく人だけが気づく魔法のボタン。 服が好きな人だけが話しかけてくる赤いボタン。 みんなが見てないようでいて意外と見てる赤いボタン。 歩くとき、ちょっとだけ、いつも […]

365 SS 11.23

『勤労に尊び』つまり働けることに感謝し。 現代社会では『働く』と言う事が形式化しすぎてしまった気がする。 昔は、生きるために畑を耕し、時には動物を狩り、水を得るために遠くまで歩いて、そうやって生きてきた。 現代では『お金 […]

365 SS 11.24

ほうれん草に、ひとのせ。 ご飯に乗せて、お醤油を垂らす。 煮出して炊いて、だしの味。 鰹節は、トッピング。 脇役だけど、土台にすればとっても強い。 —スポンサーサーチ— 11月24日は鰹節の日!鰹節の日をテーマに […]

365 SS 11.25

まったくおんなじ形のモノが並んでいる事にロマンを感じるときがある。 透き通ったゼリー。 カラメルが垂れた焼きプリン。 おんなじ形のマドレーヌ。 焦げ目の違いがあるカヌレ。 あんこがはみ出たタイヤキ。 不思議なことに、それ […]

365 SS 11.26

付録が欲しすぎて買ってしまう本。 あのコスメセットがど~~~しても欲しい。 コスメセットが気に入ってしまったばっかりに、同じ本を何冊も買ってしまった。 これはまさしく、思惑通りなのだろう・・・。 —スポンサーサーチ- […]

365 SS 11.27

画期的なシステム 誰かがノーベル賞を受賞した、と聞くと、様々な感情が湧く。 すごいなぁと尊敬したり、私には出来ないことだなぁと卑屈になったり、でも世間には必要な事だよなぁとやっぱり尊敬したり。 「すごいなぁ、ノーベル賞」 […]

365 SS 11.28

地球が丸いなんて今じゃ当たり前の話。 だけど、そんなこと誰も知らなかった時代があるのだ。 『あの海の先はどうなってるんだろう』 『海の先?』 『向こう側に小さな島が見えるだろう』 『ああ』 『あの島の向こうはどうなってる […]

365 SS 11.29

「それ!まだ焼けてない!!」 「えぇ〜?」 「まだ焼けてない!ストップ!」 「えー、良くない?もう焼けてるって〜」 「まだ!!もうちょい美味しくなる!!」 「いや美味しいって、そもそも良い肉なんだからさ〜」 「ダメ!あと […]

365 SS 11.30

一瞬を切り取って、バシャン、誰でも一瞬で解る画を残す。 百聞は一見にしかず。ぱっと見せれば伝わる映像。 自分の目で見たものほど美しいモノはきっとない。だけど、それを誰かへ伝えるのには大変な労力を必要とする。 青い空、白い […]

365 SS 11.2

寒い冬の女性の味方、それはタイツ!!! 薄手でもあったかくて、おしゃれに見えて、細く見えて、マジで冬の救世主!! 昔は『生足文化』なんてものがあったのよねぇ。 寒いなか、風邪引きそうになりながら、わざわざ生足でねぇ・・・ […]

365 SS 11.3

「さむっ・・・さむ~!!」 「はいはい、だからコタツ出すよ!ほら手伝って!」 「え~~」 「はいっ、せーの!」 「よいしょっよいっしょっ」 部屋のちょうどよさそうな場所に置いて、ぱんぱん、と手のひらの埃を払うように叩く。 […]

365 SS 11.5

偉大なるゴマ・・・ それは世紀の大発見・・・。 ごはんにごま塩。 せんべいにゴマ。 ラーメンに白ごま。 ゴマの香ばしい風味。 餃子にごま油。 じつはひっそりと、ゴマのファンは数多く存在する。 ああ、ゴマ。 おかずがない時 […]

365 SS 11.6

自由恋愛で結婚、が通常の最近となると、恋愛下手な人間にはシンドイ。 いっそ、書類だけで決められたらいいのに。 昔はそれこそお見合いが主流。 恋愛下手な人にも優しいシステムだった。 生きてくうえで結婚、って、絶対必要なこと […]

365 SS 11.7

「ヨーグルト食べてればマジでほとんどの不調が直ると言っても過言ではない」 「いやそれは過言やろ!!」 「いや、でもマジで!!オトナになるほど、ビフィズス菌の大事さが解る!!」 「わかる。それは過言ではない」 「でしょ~? […]

365 SS 11.8

お鍋でグツグツ、ちょっとした野菜と、お豆腐と、お魚、もしくはお肉を入れて。 お酒は徳利に入れ、ぬるめの燗に。 おでん、魚介鍋、牡蠣鍋、きりたんぽ鍋、それからもつ鍋なんかもピッタリ。 贅沢するなら海老、蟹なんてのも!! ぬ […]

365 SS 11.9

「ねっむい・・・」 眠気に負けそうになりつつ、うとうとうと・・・。 うとうとしながらタピオカミルクティーを飲んで、モチモチモチ・・・。 お腹がいっぱいになって、ぼんやりり・・・。 ちゅーっと吸って、ドゥルドゥルドゥルンッ […]

365 SS 11.10

「あ、オルゴール館!」 「お~。駐車場、どこだ?」 「そこ右って書いてない?看板」 「ああ、本当だ」 旅行に来ると、よく見かけるオルゴール館。 見かけたら毎回寄る。 館内に入ると、どことなく透明な空気感が漂う。 澄んだ雰 […]

365 SS 11.12

手のひらは皮膚、唇も皮膚、では舌や口内は・・・? も、やっぱ皮膚である。 となると、内臓は? というと、これもまた皮膚である。 では皮膚とは何なのか? というと、皮膚とは、臓器なのである。 —スポンサーサーチ— […]

365 SS 11.13

ビールにチーカマがあれば、最強!!! ちびちびずっと、平和に過ごせる。 幸せのひと時。 ビールにチーカマ、最強!!! あとは、一緒に楽しく飲める、相手がいればねぇ…。 ちらとスマホを見てみるけど…。 アイツと飲むと喧嘩に […]

今日は何の日?12月のフラッシュフィクション

365 SS 12.7

キーーーン、 髪も服もはためき持って行かれそうになって、慌てて鞄を抱きしめた。 上空を通り過ぎる轟音に釣られるように空を見上げる。 色白の高い空は冬を表している 耳鳴りが少しずつ遠くなっていって、やがて着陸するんだろう。 […]

365 SS 12.1

じんじん、右ポケットの中だけにある熱。 ポケットの中で、じんわり汗をかいていく。 移動して、じんじん、左ポケットへ。 ポケットの中のナイロン生地が汗ばむ。 熱さで溶けてしまいそうで、じんじん、隣の人へお裾分け。 『あっつ […]

365 SS 12.2

一度スタートすれば、止めることは容易ではない。 だけど一度スタートすれば、信じられないくらいの熱量を稼ぐことが出来る。 —スポンサーサーチ— 12月2日は原子炉の日!原子炉の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクシ […]

365 SS 12.3

「なんとなく家に帰って」 「なんとなくご飯を食べて」 「なんとなくお風呂に入って」 「なんとなく眠る」 「なんとなく朝、目が覚めて」 「なんとなく朝食を食べ」 「なんとなくお弁当を持ち」 「なんとなく昼食を食べる」 「私 […]

365 SS 12.4

人差し指を差し出されたから、人差し指を差し出した。 指先を触れあわせて「E.T」と言ってみる。 子供はきゃっきゃと笑っている。 意味なんて解らなくたって、面白いものは面白いのかもしれない。 映画を見たことがある自分だって […]

365 SS 12.5

青色LEDが開発されても、自動食洗機が発売されても、円盤型のお掃除ロボットが普及し始めても、それでも解けない謎がある。 宇宙の果てはまだ誰も見たことがないし、地底の底にもたどり着いてない、地球に生物が誕生した瞬間のことも […]

365 SS 12.6

お姉ちゃんなんて居ない。だけど、居たらこんな感じかな、って思ったりする。 小さい頃からよく遊んだ近所のお姉ちゃん。一人っ子の私には変な存在。 時々なぜか怒られるし、時々なぜか褒められる。 べつに話しかけてないのに『今日は […]

365 SS 12.7②

どこからともなくクリスマスソングが聞こえる時期になった。街を歩けばクリスマスツリーにもかち会う。 クリスマスの空気はあんまり得意じゃ無い。 特別な予定があるならまだしも、無い時が悲しくなるからだ。 特別な予定が無い年の事 […]

365 SS 12.8

マメが出来て硬くなった指で、針をゆっくりを押していく。 柔らかい豆腐に刺さっていく感覚。抜けていく力。 今日ばかりは針仕事はお休み。『針供養』の日らしい。 「とか言って、現実逃避は辞めよう、わたし~~~!!!!」 深夜0 […]

365 SS 12.9

猫が主人公の物語が、この世にはいったいどれだけあるだろうか。 野良猫が現れて、いつのまにか住み着いて、最後は金魚鉢の中へボチャン。 『我が輩は猫である』というタイトルは、今なおどこか新しさを感じる。 沢山の人に愛される文 […]

365 SS 12.10②

「なんで3億も欲しかったのかなぁ」 その事件をちょっと知ったら、犯人が3億欲しい理由が気になった。 3億はどうやって使ったんだろう。 ずっと誰にも言わずに隠してるのはツラくないだろうか。 いま何歳なんだろうか。 どうやっ […]

365 SS 12.11

胃が痛い、人の事ばかりを考えている人がいる。 誰かの痛む胃の事だけを考えている人がいる。 少しでも早く、少しでも痛くない、すこしでも良く効く薬を考える。 一体どうしたら良いだろうか。どんな成分が良いだろうか。 そんなこと […]

365 SS 12.12

バッターがぐったり疲れている。今ならいける、普段フォークボールにも強いバッター、だけど今ならフォークでいけるはず。 しかしピッチャーが首を縦に振らない。ダメか、フォークを投げる力は無いか。ならばせめてカーブ、しかしこれも […]

365 SS 12.13

双子の日 同じ服を着た同じ髪型の同じ背格好の二人を街で見れば、すぐに双子だと解る。 ……が、最近は双子コーデなんてものが人気で、お揃いファッションの二人組は実際の双子じゃない場合も多い。 ……はて、双子とは?? 昔と比べ […]

365 SS 12.14②

忠臣蔵とは何だ。忠臣蔵とは討ち入りだ。 忠臣蔵とは復讐だ。 忠臣蔵とは切腹だ。 忠臣蔵とはカタルシスだ。 歴史とは何だ。 歴史とは事実か? 歴史とは言い伝えか? 歴史とは物語か? 真実とは何だ。歴史の中に真実はあるか?歴 […]

365 SS 12.15

「も〜いーくつねーると〜♬」 「その前にクリスマスな」 「……たしかに。」 「クリスマスも来てないのに年賀状なんてね」 「まぁでもギリギリに書くとウッカリ忘れてて書かない可能性あるしな」 「まぁたしかに。」 「そう思うと […]

365 SS 12.16

今やどこでも手に入る紙は、昔昔は高級品で まさかそんなに何年後にまで残すことが出来るなんて思っても見なくて 今自分が適当に使ってるノートは、いったいどんなふうに残るんだろう 適当に書いた落書きが、数百年後にはもしかすると […]

365 SS 12.17

めちゃくちゃなスピードで移動する飛行機、それに乗ってる人々はタイムスリップしている。 普通だったら何日もかかる移動距離が、飛行機にのればひとっ飛び。 もしも江戸時代とかに飛行機で移動する人が現れたら、きっとタイムスリップ […]

365 SS 12.18②

いつ行っても終わらない工事中の看板、いつまで経っても迂回させられるまわり道。 サクラダファミリアでも作るつもりか?とさえ思ってた駅もとうとう完成して、キレイになり整えられた。 あらゆるお土産や食べ物がひしめき合う。 縦横 […]

365 SS 12.19②

「国連南南協力ってなんなん」 「南南(なんなん)…なんで南が2回なんや…?」 「南北じゃないんか…」 「もともとは南北問題やったらしいで…」 「え、まじ?それがなんで南だけの問題に…?」 「最初は南北って言っておけばイイ […]

365 SS 12.20

「12月と言えば師走!」 「師が走るっちゅーてな」 「先生も走るほど急がしいってこっちゃな」 「てことはブリも急いってこっちゃな!」 「なんで?」 「魚の先生はブリやからや!」 「魚の先生?なるほど、ブリは魚へんに師やか […]

365 SS 12.21

バスケットってどうも苦手で。 授業でバスケットとか言われるとホントにやる気なくす。 好きでもなんでも無いのになんで球技なんてのがあるのか意味不明。 「バスケットはお好きですか?」 「リバウンド王桜木!!!」 「ゴリラダー […]

365 SS 12.22

労働組合法、なんて事は、授業でサラッとしか教えない。 実際どうやるかとか、具体的な話は無い。 知りたかったら自分で調べてね、と言う世界。 日本という国は、そもそも自立心があまり育たないような教育をしてるのでは無いだろうか […]

365 SS 12.23

「これなに?」 「お〜!!それはテレホンカード!」 「テレホンカード?」 「電話するときに使うカード」 「電話するとき?プリペイドカード?」 「あ〜違う違う、公衆電話で使える」 「公衆電話ってなに」 「えーと駅とかにたま […]

365 SS 12.24

お弁当にはそれぞれの家柄が出る。だけど給食はみんなで同じモノを食べる事が出来る。 みんなで同じモノを食べれば会話が弾む、おかわりしたい時は喧嘩になったり、じゃんけんになったり。 嫌いなヤツが隣にいて、ご飯が美味しくない時 […]

365 SS 12.25

舞うように踊りながら、まるで人では無いように くるりとまわってするすると進む、時々ジャンプして スポットライトの中を泳ぐ きらきらと

365 SS 12.26

全ての人へクリスマスを! 「サンタさんには、誰がプレゼントをしてくれるの?」 幼い子供がそんな事を言った。 自分はサンタさんにプレゼントを貰えるから嬉しいけど、サンタさんは誰にプレゼントを貰えるのかと。 「サンタさんに取 […]

365 SS 12.27

子供と大人の境界線はどこだろう。 多くを悟ってしまったら子供じゃ無くなる? 身長が伸びなくなったら大人と言える? 言いたい事を相手に伝えずに我慢できるようになったら大人と言える? ストレス発散の為に暴飲暴食をすることが大 […]

365 SS 12.28

0時を回ると必ず入る、スジャータの宣伝。 聞き慣れた音を合図に、自分の中に『これこれ』と言う感覚が入ってくる。 ラジオの中で出される人の声はとても心地がよい。 心を刺しすぎず、かといって優しく揺れる水面のように。 じんわ […]

365 SS 12.29

異国情緒あふれる不思議な音の響き。 流れるような高音、かと思えば低い音。 フランス語で歌われる歌詞。 おおらかでゆったりとしたメロディ。 —スポンサーサーチ— 12月29日はシャンソンの日!シャンソンの日をテーマ […]

365 SS 12.30

雨でも雪でも、晴れの日も曇りの日も、いつでも動く地下鉄。 いつでも室内の地下鉄。 いつでもそれを支える駅員さん。 沢山の人を乗せて、沢山の人の生活を支える地下鉄。 海外の地下鉄は、時間通りに動いてなかったり、場合によって […]

365 SS 12.31

シンデレラデー 今日が終わるまであと10時間。 掃除して買い物して、みんなでわいわい夕飯たべてあと5時間! あと2時間、あと1時間……、 今日が終わるまで、あと10分、あと5分……、 10、9、8、7…… あと数秒たてば […]

365 SS 12.1

結局、紙のスケジュール帳ってのは、なんだかんだで無くならない。 去年の手帳。一昨年の手帳。中学生の頃の手帳・・・。 毎年使ってた手帳。なんとなく、いつも捨てずに取っておいてる。 別に何て言うことは無いし、ちゃんと使ってな […]

365 SS 12.3

いくつになってもなんだかんだで使っている、カレンダー。 スマホがこれだけ普及した今でも、やっぱり家に一個はあるカレンダー。 いつも同じ場所に置いてある、見れば一発で予定が解る、カレンダー。 意外と重要で、わかりやすく、や […]

365 SS 12.4

チラチラと雪が降る12月4日。 この日に雪が降ると、来年の夏は豊作だと言われている。 多くの人が親しんでいる占いのようなものだけど、由来となっている人物『バルバラ』は実在したかどうか解らないとして、カトリック教会では聖人 […]

365 SS 12.7

《めでたし、めでたし。》 紙芝居が終わって、子供たちがパチパチパチ、と手を叩く。 温かみのある絵柄、それでいて、無機質な画面と、マイクを通した音声。 今や紙芝居も、投影式。プロジェクター、って言うんだっけ? 壁に映された […]

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パソコンとセットで買うマウスだけど、最近はマウスを使うことが随分減ってきた。 ノート型パソコンが普及して、どこにでも持ち歩いて、マウスはおうちでお留守番。 そうこうしてるうちに、マウスを付けるのが面倒になってきて、気付け […]

365 SS 12.10

冬となればもう毎日ニットになる今日この頃。 冬の制服みたいになっている。 スティーブジョブズが毎日同じファッションだったのは有名だけど、 アインシュタインも、同じスーツの別モデルを複数持っていたらしい。 いや、スティーブ […]

365 SS 12.11

100円玉を作るのに掛かる費用は、だいたい7円ぐらい。 材料費、人件費、工場の維持費、もろもろ合わせて、だいたい一枚につき、7円ぐらい。 だけど100円玉には、100円という価値がある。 いや、100円の価値として使うこ […]

365 SS 12.12

パソコン、スマホに慣れすぎて。 便利になったことは沢山。 だけど、自分の能力が明らかに落ちたなぁ、と思う事もたくさん。 なによりも記憶力が落ちたなぁ、と。 漢字が、思い出せない!!! 「そんなのも書けないの~?」 子供に […]

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テーマの著者 Anders Norén