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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 4.26

カポーーン

鹿威しが思い切りの良い音で響く。

風呂と言えばタオル、温泉といえば露天、まっ白なお湯に湯気、竹のフェンスの向こうには山。

夜空を見上げようと顔を上げると、頭に乗せてたタオルが落ちて結局湯に浸かった。

それを隣にいた後輩が拾ってくれる。

「結局落ちてんじゃん」

「あ?あー、ははは!わりーわりー!」

濡らさないように懸命に扱ってたのに結局お湯に浸かってしまった。

タオルの重たくなった部分だけを絞って再び頭に乗せてやると、片方だけ重くなったタオルはバランスが悪くなり、結局また落ちる。

「もー良くないっすか」

「あはは!」

濡れたタオルをキッカケにイタズラを始める。お湯を顔に掛けあって遊ぶ。気づけば子供のようにはしゃいで、「うるさいんですけどお!!」と言う塀の向こうからの女子の声で我に帰った。

「あれ?岸本?」
「そうだけど!うるさすぎ!」
「アッすいませーん!」

「……隣、女湯だったんだな……」

2人で顔を見合わせた。

風呂上がり、最終的には2人が岸本に殴られる展開が待っている。

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4月26日はよい風呂の日!よい風呂の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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テーマの著者 Anders Norén