365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 5.3

大人達はみんな『ちゃんとゴミ拾いしなさいね』と言う。

だけど、この街にゴミなんて落ちてない。

なんでって、みんなゴミを街に捨てたりなんかしないからだ。

「おはよう」
「あーおじさん!おはようございまーす」

おじさんは2ヶ月まえくらいに引っ越してきたおじさんだ。

「今日もやってる?」
「うん!ゴミ無いけど!」
「良い街だね」
「?どこがぁ?」
「ゴミ拾いして偉いよ。この町も、君もね。今日はひとり?」
「うん!今日は友達みんな出掛けてるんだ!」
「そっかぁ。」
「おじさん、いーかげんその変なコート辞めたら」
「えっ、これ?」
「うん!おかーさんが、『良い人だけど、あのコートが不審者みたい』って言ってたよ!」
「えっ、そうなの?!」
「そうだよ!」

おじさんはいつも変なコートを着てる。お母さんが言うには『踊る大捜査線の青島なのかしら』とか言ってた。よく意味はわかんないけど、とにかく変なんだって。

「髪も長いから切った方が良いって言ってたよ!」
「え、髪も?!」
「うん!」

おじさんは困ったように、そっかぁ~と言ってる。

「・・・あ、ゴミ拾い手伝うよ」

おじさんは慌ててゴミ拾いを手伝おうとし始めた。

「だからゴミ無いんだってば!」

結局おじさんと喋って終わった!

End.

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テーマの著者 Anders Norén