365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 3.21

しんゆう

遠くのほうからやってきて/あなたとわたしは あるとき出会った。

密に接して時には涙し/笑いながら記憶をつくった。

気づけば少しずつズレた道は/ずいぶん遠くのほうに行っていて/そのことに気付いた時には/もう戻れないほど離れていたんだ。

帰りたいのか帰りたくないのか、線と線。

戻りたいのか戻りたくないのか、線と線。

X

エックス、バツ。

離れて行った線がいつかまた戻る事はあるんだろうか?

頑張って帰り道を探すかのように、後悔しながら戻るように、そんなんじゃなくて。

遠くのほうからやってきて/あなたとわたしが あるとき出会うみたいに。

無理せず、頑張らず、それでもまた、

密に接して時には涙し/笑いながら記憶をつくる。

そんな時があれば良いな。

離れて出会い、出逢っては離れて、無理せず頑張らず、それでも運命的に引き寄せられちゃうみたいな

そんな事が起きれば良いな。

Xのように、
Xを何個も縦に繋げるみたいに、
Xを縦に並べてみれば、

離れて出会って、出逢っては離れて、無理せず頑張らず運命的に。

それはまるで遺伝子の構造図のように。

ぐねぐねと揺らめきながら、ひねくれながら、ねじれながら。

そうして今気づいたことには/遺伝子の構造図って、交わってないんだと。

2つの線は一度も交わったことなんてなくて/交わってるように見えるだけだったことに。

エックスのように見えた交点は/平行な線が/偶然おんなじタイミングでひねくれて/目の錯覚で/交わったように見えただけだったことに。

離れては近づいて、近づいては離れて

ふたりはまっすぐ、ひねくれながら

恐らくきっと、一度も交わったことなど無いまま

ふたりはまっすぐ、ひねくれながら。

エックスのように見えた交点は/平行な線が偶然おんなじタイミングでひねくれて/目の錯覚で/交わったように見えただけだ、

ふたりはまっすぐ、ひねくれながら。

お互いまっすぐ、けれどひねくれながら。

交われないほんの少しの寂しさを感じながら

またあなたに出逢えれば良いと/宇宙のどこかで/願いながら。

End.

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テーマの著者 Anders Norén