365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.10

さっきから、隣の男が気になっている。

というのも、今日は出張で、東京から来ているわけだが。

長時間の移動で疲れた身体いや食欲を満たすために目に入った店へ。

さ~~てようやく昼飯、うどんを頼み、運ばれてくるのを待っているところ……。

隣の席に座った男が、うどんの真横に小さな皿と、そこにのったおはぎがちょこんと。

……この店、おはぎなんてあった?

そう思って壁に貼ってあるメニューを見まわす。

たしかに、名物おはぎ!と書いてある。値段は100円とお手頃。

いや、名物おはぎとは言え、なぜうどん屋で…。

隣からは、うどんをすする音が響く。

ズルズル、ズルズルッ!!はふはふ。ズ~~~ッ。

汗だくのふとっちょの男。

見ていて気持ちが良いぐらいの喰いっぷり。

まぁちょっと汗だくすぎて、滴る汗を見ちゃうと、眉間にシワが寄るけど。

……と思ったら。

(えっ!!)

おもむろに、横に置いてあったおはぎをむしゃり。

(え、うどん、食べ終わって……、ない!!!のに?!)

思わずうどんを見てしまう。まだ入っているらしい。が、おはぎの半分が無くなった。

そして、小皿に戻し、また、

ズルズル、ズルズルッ!!はふはふ。ズ~~~ッ。

(っえ~~~~~~?!うどんの間食におはぎ?!)

と思っていたら、また、半分残ってるおはぎを、口に持っていき、(ゴクリ、喉が鳴る)

「うどんお待ちぃ!」
「あっ!!!はいっっ!?」

どどん、とうどんが自分の前に置かれたのを見てから、また隣の男を見る。

むぐむぐと口を動かしていて、もうおはぎは見当たらない。

そして、目が合ってしまった。

(うわ)

思わず苦笑いすると……、俺を数秒見て、ふとっちょの男は、ニヤリと笑った……。

ズルズル、ズルズルッ!!はふはふ。ズ~~~ッ。

(んっ!?)人気を感じて思わず振り返る。うどんを持ってきてくれていた店主が俺を見下ろし、フッと笑った……。

(な。な。なんなんだよ~~~~?!?)

そのあと気になりながら、不愉快な気持ちで仕事に戻った。

ホテルに帰る直前に寄ったコンビニで、おはぎが売っている。

(なんだ、広島って、おはぎが有名なのか……?)

おはぎを手に取っていると、人目を感じて横を見た。

どうやら近くのホテルに泊まるらしい、俺と同じようにスーツにスーツケースを持った男が、俺の手にしているおはぎをじっと眺めている。

「・・・・・・。」

俺は、うどんと一緒に、おはぎを買っていた。

どこかのビジネスマンに、にやりと、微笑んで。

---スポンサーサーチ---

6月10日はうどんと和菓子をいっしょに食べる日 !うどんと和菓子をいっしょに食べる日 をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

次へ 投稿

前へ 投稿

© 2024 365文

テーマの著者 Anders Norén