365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 3.10

谷口さんのまあるい指先が金平糖をひとつ摘んで、口元へ運ぶ。

自分の席から見えるのは、谷口さんの後頭部。

谷口さんのおやつの時間は毎日、3時。

彼女がおやつを食べる時は、だいたいひとつずつだけ食べる。

30分くらいかけて、のんびり食べる。

取り引き先から金平糖を貰うと、その姿を確認するように僕はいつも指先を見てしまう。

ゆっくり食べるその姿は、なんだかとても金平糖のことを大事にしてるように見えるんだ。

谷口さんが金平糖を食べる時、30分で何個食べてるのか、数えようと挑戦してみたことがある。

だけど毎回それは叶わない。途中で電話が鳴ったり来客があったり、話しかけられたりして、何個目なのか解らなくなってしまうんだ。

谷口さんは基本的には煎茶を飲む。だけど時々紅茶を飲む。

そんな時は、白い角砂糖をひとつ入れる。

彼女の中に決まった規則正しい何かを感じる。そんな彼女のおしゃべりは意外とキツめ。

だけどなぜか、上品に感じる。

機械的なようで、時々そのルールがズレるとき。

紅茶の日は白砂糖をひとつ。

ただし小野寺と話した日は、砂糖はゼロ個。

慌ててるのか嬉しいのか怖いのか

規則的な谷口さんの『ときどき』紅茶を飲む日。

谷口さんを観察してみるけど、そのルールはまだ解らない。

途中で電話が鳴ったり、来客があったり、話しかけられたりして、そうそう見てられないから。

谷口さんのルールがズレるとき。

紅茶の日は、俺と話した日?

……なワケ、無いか。

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3月10日は砂糖の日!砂糖の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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テーマの著者 Anders Norén