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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 5.27

「忘らるる 身をば思はず ちかひてし 人の命の 惜しくもあるかな」

「え?」

空を見ながら突然彼女がそんな事を言った。

彼女、いや、今となっては、もう元彼女か。

「……な、なに?575?」

「百人一首だよ」

「百人一首?そんなの好きだったっけ?」

「なんか今とつぜん思い出したんだよね〜」

「ふーん……。で、どうゆう意味?」

「逃した魚は大きいってこと」

「はい?」

「うーん、分かりやすく言うと……死んじまえって事かな」

「はっ?!」

「じゃーね!」

今まで、別れ話をしてそんな爽やかに去って行った彼女が居ただろうか?いや、いない。

「……」

ありがとう、と言いたかったけど、やっぱり言えなくて、ただその後ろ姿を見送った。

逃した魚が大きいってのは、こうゆう事なのかもしれない。

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5月27日は百人一首の日!百人一首の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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テーマの著者 Anders Norén