365 SS 1.15

好きな果物なに?と聞かれて私は心底辟易し.

好きな果物なに?と聞かれて私は心底辟易しながら「アボカド」と答えると、「えっなんで?!つーかアボカドって果物?!」と返された。
果物だよ、と返せば
「イヤイヤ普通イチゴとかリンゴとか桃とかあんじゃん!俺はイチゴが好き!!」と聞いても無い情報をくれた。

明るく元気で声が高くて楽しそうに笑う、女子力高めの目立つグループの方の男子だ。静かであまり大きな声を出さない私のこともきちんと女の子扱いしてくる。

よく言えばモテる悪く言えばチャラい、おしゃれにも気を使ってる男の子。実際人気も高いらしい。

「イチゴはさぁ甘酸っぱくて香りも良いし何よりカワイイじゃん!?ちっちゃくてカタチもかわいくてさぁ〜!あーイチゴ食べたくなってきたぁ!」

イチゴの妄想を始めたらしい、両手を顎についてうっとりと空気を眺めてみせた。

どうでもいいけどまるでディズニーのキャラクターみたいに表情も行動もコロコロ変化する変わった子。頭はそこそこ良い。

オネエかな?ってたまに思ったりもするけど、一卵性の双子の妹がいるからその影響なのかもしれない。

「イチゴって野菜らしいよ」
「えっ?!まじで?!なんで?!」
「草になる実でしょ?木になる実は果物で、草になる実は野菜なんだって。だからメロンもスイカも野菜」
「っえーー!まじかあ!!!」

きゃっきゃとはしゃぐみたいな百面相を披露してくれる。
「で、果物はなにが好き?」
そんな姿を見てるとこちらは逆に落ち着いて来て父性のような目で男の子を眺め始める。

「うーん、果物ってあんま好きじゃないんだよね」
「は?!なんで?!」
「だってすっぱいじゃん。酸っぱいやつ好きじゃないんだよね」
「え?!甘いじゃん!!」
「いや、すっぱいよ。当たり外れあるじゃん。チョコとかのが好き」
「っっえーーー?!じゃあ桃は?りんごは?ぶどうは?バナナは?!」
「バナナもあんま好きじゃない…とにかく果物全般好きじゃない」
「えええそれ人生半分損してるよ!!!」

いやいや人生半分って。言い過ぎだろ、現に果物ほとんど食べないまま生きてこれてるし。

「あ〜、はは」

とうとう返せなくなって苦笑いした。
いや、返すのが面倒になった。
果物好きな人には言っても伝わらないのだ。

「あっわかったマンゴーとかなら食べれるかもよ!」
「あー、そうかも。今度食べてみるね」

私はもう言うことを聞く気も会話する気もなくなったけど、そう答えた。

デザートを買いたくて寄ったコンビニには、イチゴが入った大福にイチゴソースのヨーグルト、カットされたイチゴがつまったクレープが並ぶ。

〝苺フェア!!〟

と可愛らしいフォントでポップが飾られてた。

たしかに、もしかすると人生半分損してるのかも、と思った。

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1月15日はいちごの日!いちごの日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。--