「あそこの家、もしかしてカフェにしたんかね」
昔から建っている古い家がリフォームされたかと思ったら、どうやら店になったらしい。
あんな古くて汚い家をわざわざリフォームしなくたって…。
そう思ってたのに。見ると流行っているらしい。人が出て行ってはまた入っていく。
(なにかそんなに珍しいものでも売っているのか?)
「お前、角に出来たカフェ知ってるか」
娘に聞いてみた。
娘は「○○?」と良く解らない単語を言う。
「なんだその……、店の名前か?」
「そうだけど」
「なにがあるんだ、あの店には?ただのカフェだろ?」
というと娘はムッとして、返事をしないまま部屋を出て行ってしまった。
なんだ、禁句だったのか…?
良く解らないと思いつつ、ちょうど寄った本屋で『古民家カフェ』と言う文字が載った雑誌を見つけた。
読めば読むほど良く解らないが、どうやら世間にウケているらしいことだけは解った。
「あんな古びた家がなぁ」
若者の感覚はわからん。と、いつものスポーツ新聞を広げた。
5月31日は古材の日!古材の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–