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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 5.31

「あそこの家、もしかしてカフェにしたんかね」

昔から建っている古い家がリフォームされたかと思ったら、どうやら店になったらしい。

あんな古くて汚い家をわざわざリフォームしなくたって…。

そう思ってたのに。見ると流行っているらしい。人が出て行ってはまた入っていく。

(なにかそんなに珍しいものでも売っているのか?)

「お前、角に出来たカフェ知ってるか」

娘に聞いてみた。

娘は「○○?」と良く解らない単語を言う。

「なんだその……、店の名前か?」
「そうだけど」
「なにがあるんだ、あの店には?ただのカフェだろ?」

というと娘はムッとして、返事をしないまま部屋を出て行ってしまった。

なんだ、禁句だったのか…?

良く解らないと思いつつ、ちょうど寄った本屋で『古民家カフェ』と言う文字が載った雑誌を見つけた。

読めば読むほど良く解らないが、どうやら世間にウケているらしいことだけは解った。

「あんな古びた家がなぁ」

若者の感覚はわからん。と、いつものスポーツ新聞を広げた。

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5月31日は古材の日!古材の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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