365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 5.2

小さな気泡がクリームのように浮かんでいる。

深緑色をほんのり覗かせ、淡い緑色が泡立つ。

大きな湯飲み茶碗を両手ですくい上げる。

両手の平をめいっぱい使ってようやく収まるほどの茶碗。

やさしいミルク色のうわぐすり。飲み口は素の粘土色が縁取っている。

ずっしりとした温かさが手に馴染む。そのまま口元へ持って行って、ゴクリとひとくち、お抹茶を頂いた。

ゆったりとした青の匂いが口内に広がる。

くちあたりはクセが無く、スッキリと流れるように。

どことなく柔らかくて、甘い味わい。

くるりと店内を見回す。

昔ながらの落ち着いた雰囲気。

ダークブラウンの箪笥(たんす)や棚。

壁には薄墨で描かれた着物を着た女性の絵が飾られて、テーブルには懐かしい風合いの砂糖入れ。

淵が赤く塗られたお盆の上には、ちょんと添えられた切り花。

大正ロマンを感じながらひととき。

アンティークらしい天井の照明を見上げながら、柔らかいため息をついた。

End.

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テーマの著者 Anders Norén