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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 4.29

懐かしい匂いにつられるように床へ寝転んだ。

まだまだ青い、イグサの匂い。変えたばかりの新しい畳の匂い。
鼻から息を沢山吸い込む。期待のこもった溜息のように「は〜〜〜」口から吐いた。

それを2、3繰り返し、思い出したように立ち上がる。慌てるみたいにベランダの窓を開ける、そして反対側にある窓も開ける。空気の通り道を作ってやると、勢いあまって風がひとつビュウと吹いた。家の中を通り過ぎる風、そして慌てたまま再び床へ寝転ぶ。

部屋を満たしていた青いニオイがフワリと去って、そよぐ心地の良い風を頬に感じるーー。

やっぱ畳ってイイよねぇ。

「お茶入れたけど飲むー?」台所から呼ぶ母の声に、「飲むー!!」と元気よく返事をした。

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4月29日は畳の日!畳の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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テーマの著者 Anders Norén