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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 1.11

いそいそと、母親が隣の部屋から鏡餅を持ってきた。

まあ解ると思うがカピカピで乾燥しまくり。
ヒビも入っている。もう10日も飾ってたんだから当然だ。
丸いお餅を二段に乗せて飾ってたお餅。

「それまさか食べないよね?」
「食べるわよ!」
「いやいやいやwそんなカピカピなのに?ヒビ入ってるじゃん」
「あら・・・でもまぁヒビ入ってるだけだから!おいしいわよ!」
「いや絶対に美味しそうでは無いなぁ」

そして母親は、なにやらトンカチを持ってきた。

「・・・何してんの?」
「割るのよ!」
「はい?なんでわざわざ。割らなくて良いでしょうよ」
「今日は鏡開きの日なの!」
「鏡開き?」
「そうよ!こうやって・・・えいっ☆」
「うわぁ!持ちの破片が飛んでった!」
「そう、こうやって割る事を開くって言うのよ!」
「え、そうなの?」
「そうよ!包丁で切ると縁起が悪いって言ってね」
「割るって表現はセーフなの?」
「・・・さぁ?どうだったかしら」
「曖昧かい!」
「まあまあ細かい事は良いのよ!食べましょう」
「あ、カビてる」
「えっ」
「ほらココ」
「あ、本当」
「こっちも」
「・・・」
「これは食べないって事で良いんじゃない?」
「・・・。そうね。」

結局お餅は食べない事になった。

そもそもあのお餅、飾る様だと思ってたから食べないものだと思ってた・・・。

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1月11日は鏡開きの日!鏡開きの日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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