365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.2

東京には異世界がある。


目が覚めた時、今まで見たことも無い世界が広がっていた。
割れる様に頭が痛い、吐き気が酷い。喉が渇いて、世界がグルグルと回っているーー

『にゃおん』と鳴く声に気がついて首を回すと、一匹の猫が居た。

ーーそうか、ここは猫の世界か。

頭を上げてなんとか周囲を見渡すと、お気に入りの居酒屋が集まる路地だと解った。

ーーそうか、昨日飲んだくれて酔っぱらって倒れた路地か。

・・・下から見上げると、こんな風に見えるんだな・・・。

所狭しと伸びる店たちが随分大きく見える。

東京には異世界があったんだなぁ、と不思議な気持ちになりながら、『にゃおん』と擦り寄る猫と一緒に もう一眠りするとしよう。

End.

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テーマの著者 Anders Norén