東京には異世界がある。
目が覚めた時、今まで見たことも無い世界が広がっていた。
割れる様に頭が痛い、吐き気が酷い。喉が渇いて、世界がグルグルと回っているーー
『にゃおん』と鳴く声に気がついて首を回すと、一匹の猫が居た。
ーーそうか、ここは猫の世界か。
頭を上げてなんとか周囲を見渡すと、お気に入りの居酒屋が集まる路地だと解った。
ーーそうか、昨日飲んだくれて酔っぱらって倒れた路地か。
・・・下から見上げると、こんな風に見えるんだな・・・。
所狭しと伸びる店たちが随分大きく見える。
東京には異世界があったんだなぁ、と不思議な気持ちになりながら、『にゃおん』と擦り寄る猫と一緒に もう一眠りするとしよう。
End.