365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 7.14

うだる暑さの夏。

エアコンを付けるとなんだか体調が良くないし、消すと5分と居られない。

結局またエアコンを付けて家の中。

何だかんだで家から出るのも億劫で、日が暮れるのを部屋で待ちつつスマホを弄る。

「みかんゼリーあるけど食べる〜?」
「……ん〜〜」

のそのそとリビングへ移動して一息。

出されたゼリーはなんの変哲も無いみかんゼリー。

透明なプルプルが目に涼しい。

ダルい気分のまま金のスプーンで掬い取る。

ひとくち食べて、ちゅるり。

「……。」
「ほんとあっついわね〜〜」

そう言いながら、となりに座った母親がゼリーを食べる。

「ゼリーって感じね〜」

そう、俺も今そう言おうと思ってた。

べつになんの変哲も無い感想。

ちゅるりともう一口。

付けられたテレビの向こうで、ガヤガヤと楽しげな会話が遠くで鳴った。

End.

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