365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 7.27

「なんか嬉しそうだけど、どうかしたの?」

まぁるい、それでいてギザギザの縞柄。緑と深緑のずっしりとした見事なスイカを見てたら、声を掛けられた。

「嬉しくって!」
「え~?なんで?」
「みんなでスイカを囲むのが!」
「えー、スイカ好きなの?」
「うん!」
「あんまり美味しくなくない?」

違うんだよ。
スイカはね、味じゃ無いんだ~。

大きいから、まるまる一個はひとりじゃ食べられないの。

「スイカの柄が好きなの!」
「え~、ガラ?」
「うん!」

あの柄をちゃんと見れるのは、みんなで食べる時だけなんだ!

「ふ~ん。緑色が好きなの?」
「うーん、みんなで見れるのが好きなの!」
「…そっか。みんなで?」
「うん。みんなで!」

スイカの柄は特別なんだよ。
みんなで食べる時にしか見られないの。

あの柄が見れる時はみんなでスイカを食べれる時なんだ。

だから私はあのまんまるの、おおきなふとったスイカが大好き!

End.

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テーマの著者 Anders Norén