365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 3.6

「おはようございまーす!」

「はーい!いつもありがとうございます。斎藤さん、こっちきて」

「おっ、新人さんですかあ?」

「そうなんです。今日から。斎藤さん、ここにサインして。荷物受け取ったことある?」

斎藤「あ、っはい、大丈夫です。……はい。」

「あざしたー!」

「はーい。」

斎藤「高瀬さん宛です」

「高瀬さんあて?誰から?」

斎藤「えー、あ。高瀬さん」

「ん?送り主は?それ宛先でしょ?」

斎藤「いえ、高瀬さんから高瀬さんです。」

「あっホントだ。家族?……まぁいいや、高瀬さんに渡してきて」

斎藤「はい。高瀬さん、荷物です〜」

高瀬「おう、どっから?住所は」

斎藤「えーと、東京?」

高瀬「兄さんだ」

斎藤「あ、お兄さんいるんですか」

高瀬「ん。スタイリストやってんだよ。ありがと。席戻っていいよ」

斎藤「へー。スタイリスト……。」

高瀬「そうそう、兄貴むかしからそーゆーの好きでね。」

「高瀬さん、お兄さん居たんですね〜」

高瀬「おー。兄貴はむかしからそーゆう……なんだ、芸能関係とか好きで。ミーハーっつうか。まあ俺もミーハーだけど。あっ、斎藤さん座っていいよ。ありがと。」

斎藤「あ、はい。」

「ミーハーなんですか?じゃあ芸能人のスタイリストとか?」

高瀬「うん。まあメインは雑誌とかな。」

「雑誌ってファッション雑誌ですか?」

高瀬「そうだよ。ホラ、これウチが送ったやつ。雑誌で着るから貸してくれってさ。」

「へー。じゃあ、お兄さんに影響されて服屋の通販やることにしたんですか?」

高瀬「んー、まあ、そんなとこかな。兄さんがスタイリストだから、俺が服屋やったら、イイカンジに売れそうだろ?」

「たしかに。」

斎藤「高瀬さん、お兄さんのこと好きなんですね」

高瀬「は?……あー、影響はされるよな。」

「……斎藤さん、あんまり図星ついちゃダメだよ」

斎藤「ダメですか」

「ダメだよ。ほら、高瀬さん照れちゃって仕事にならないじゃん」

斎藤「あ、やっぱり本当にそうなんですね」

「そうでしょ。」

高瀬「安藤!!遊んでねぇで検品おしえろ!」

安藤「はあ〜い」

斎藤「わ、すいません」

安藤「斎藤さんのせいじゃないから大丈夫だよ。」

「おはよう〜」

安藤「あ、おはようございます。斎藤さん、社長」

斎藤「あっおはようございます!斎藤です。よろしくお願いします。」

社長「はいはい。宜しく〜。」

高瀬「おはようございます。あ、これ帰ってきました。スタイリストの兄さんに送ってたやつ。」

社長「おー!着てもらえたって?」

高瀬「らしいです。まあ……、雑誌に載るかは解んないけど」

社長「お〜。良かった良かった。自慢の兄さんだもんなぁ。俺は妹しかいないから」

安藤「斎藤さん聞いた?やっぱ自慢のお兄さんだって。」

斎藤「あ〜、やっぱりー」

社長「ん?なに?どうかしたの?」

高瀬「おまえら!いーから仕事しろ!!」

安藤「はぁ〜い。」

End.

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