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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 1.24

『一攫千金』なんていう甘い響きだろう。

いっかくせんきん。ただの言葉の羅列。単語。意味のある文字のあつまり。

たったひとつの単語だけで人は夢を見ることができる。

たのしい何かを想像することができる。

幸せな未来を思いつくことができる。

人間とはなんて夢のある動物だろう。

自分の幸せを妄想して、時には不幸さえ妄想して、あることないことを空想して、色んな事を想像する能力を持っている。

わたしはときどき、人間という動物の能力に想いを馳せる。

一説によれば、人間の脳は10%ほどしか使われていないらしい。

エヴァンゲリオンには『ザ・ビースト』というモードがある。

リミッターを外すのが『ザ・ビースト』だ。

例えば

肉をかみ砕く力が出せる歯や顎を持ちながら、人間は自分の顎をかみ砕くことは無い。

例えば

怒りにまかせて壁を殴るとき、それでも自分自身の骨を折ってしまうほどのパワーは出さないだろう。

つまり無意識に加減しているのだ。

自分自身が壊れないように、無意識のうちに加減しているのだ。

世界には『痛覚が無い』ひともいるそうだ。

痛覚が無いと、加減がなくなる。痛いという感覚が無いから、怖くないのだ。

例えば子供が成長によって乳歯が抜けた時、おもしろがって、抜けそうにもないまだしっかりと生えている状態の歯も抜こうとしたりする。

痛くないから限度が解らない。怖くないというのは、いっそ『死』さえも恐れないのだろうか。

もし死さえも恐れなくなったら、どんな世界が待っているのか。どんな感情で、何を正しいと思い、何が悪い事だと考えるのか。

わたしには想像もつかない。

宝くじを当てた時の妄想はこんなにも楽しく、たくさん思いつくのに。

現金なモノである。

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1月24日は金の日!金の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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