365 SS 7.17
東京。 『東の京』。それ以外に意味はあるんだろうか? 日出づる国、日本の首都。 列島の真ん中 東京には、沢山のものがある。 東京が好きか嫌いか?そう聞かれたら私は、二つ返事で『好き』だと言う。 やっぱり、綺麗で憧れで、沢… もっと読む 365 SS 7.17
東京。 『東の京』。それ以外に意味はあるんだろうか? 日出づる国、日本の首都。 列島の真ん中 東京には、沢山のものがある。 東京が好きか嫌いか?そう聞かれたら私は、二つ返事で『好き』だと言う。 やっぱり、綺麗で憧れで、沢… もっと読む 365 SS 7.17
沸騰したてのお湯を注いで、蓋をしてから2~3分。 ゆっくりじっくり、茶葉が開いて、ガラス容器の中。 色とりどりの花が咲いたら飲み頃。 開いた花を眺めながら、お湯に揺れて茶葉がゆらゆら。 時間がゆっくり流れるのを感じれば、… もっと読む 365 SS 7.8
どこに行っても耳にする、聞き覚えのある音色。 聞けばすぐにわかる。のんびりで軽快なリズム。 同じ時代に生きてた事なんてないのに、生きてたような気がする。 初めて聞いたはずなのに懐かしい。 テンポの良い明るい音楽で優しい気… もっと読む 365 SS 6.29
チンチン、懐かしい鐘の音が近づいて来て振り返った。 響く鐘の音はまるで鈴のように可愛らしい。 路面電車だ。 コトコトとゆっくりと進む路面電車。 今はめっきり減ってしまった路面電車・・・、いや、そもそも路面電車が走ってる時… もっと読む 365 SS 6.10
今日は久々に暑い日となった。 春が過ぎて初夏、まだ気温が安定しなくて寒かったり暑かったりの日々。 全国的に夏日らしい。ここ東京も例に漏れず、最高29度という暑い日だ。 「あっつ~」 そう呟きながら彼女は今日もヨーグルトを… もっと読む 365 SS 5.15
細長いロンググラスに入れられる氷。 コロコロと音を鳴らす。 注がれるのは喉が焼けるみたいな鋭いテキーラ。 それから舌を華やかに飾るオレンジジュース。 カランと音を立ててマドラーがかき混ぜる。 それから注がれる赤いグレナデ… もっと読む 365 SS 5.13
「絶対ぜったい、離さないでよ!!!」 わかった大丈夫、と言われてペダルを漕ぎ始める。補助輪のない自転車。カラフルでかわいい自転車。ちいさな膝当て肘当て、それからヘルメットはそれでも大きめで緩いせいかすぐにズレる。 「おと… もっと読む 365 SS 5.5
小さな気泡がクリームのように浮かんでいる。 深緑色をほんのり覗かせ、淡い緑色が泡立つ。 大きな湯飲み茶碗を両手ですくい上げる。 両手の平をめいっぱい使ってようやく収まるほどの茶碗。 やさしいミルク色のうわぐすり。飲み口は… もっと読む 365 SS 5.2
エレクトロなファンファーレから始まるミュージック。 暗闇から近づいてくる大きなパレード専用フロート車。 近年は家庭で一般化されつつあるLED電飾や発光ダイオード、光ファイバーや電球がキラキラ輝く。 噂によると最近の電球は… もっと読む 365 SS 4.15
お好きな席へどうぞの声と同時に入店を知らせるカランカラン、鈴が鳴った。 店内を見回せば、備え付けのテーブルと、申し訳程度のちいさな椅子。 外の様子が見える窓際かモクモクと煙りの立つ喫煙席か。 呼ばれるように奥へ進むと、空… もっと読む 365 SS 4.13
古い、汚い、狭い路地に惹かれて奥へ進んだ。 橙色の提灯(ちょうちん)が並ぶ夜の横町。 小径へ目をやると立ちションしてるおじさん。 へべれけで肩を組むサラリーマンとすれ違う。 とんこつの匂いにむせそうになって、誰かのゲロを… もっと読む 365 SS 4.5
そんなにもあなたはレモンを待っていたーーー 道端に転がるひとつのレモンを見て思い出した。 『レモン哀歌』高村光太郎の詩だ。 男性というのは、とかく女性に想いを馳せがち。女のために頑張りがち。女を美化しすぎ。 女遊びの激し… もっと読む 365 SS 4.2
あの日の出来事が忘れられない— 煌々と燃える家を見上げる。空へ空へと伸びる炎が轟々と音を立てながら、灰色の煙が天へと昇って行く 何かが弾ける音と軋む音が聞こえる 目の前の炎が迫ってくるような感覚 顔の表面だけ… もっと読む 365 SS 3.29
しんゆう 遠くのほうからやってきて/あなたとわたしは あるとき出会った。 密に接して時には涙し/笑いながら記憶をつくった。 気づけば少しずつズレた道は/ずいぶん遠くのほうに行っていて/そのことに気付いた時には/もう戻れな… もっと読む 365 SS 3.21
WOw,WOw,Walk on!walk on! 英語がふがふが響く、イヤホンから流れる小さな世界が大きな存在感で私を満たす WOw,WOw,Walk on!walk on! Stay safe tonight〜… 私の… もっと読む 365 SS 3.19
七段の雛飾りを眺めている少年が、そこには居た。 しゃんと背筋を伸ばして、ちゃんと正座をして。 どんな行動を起こすんだろうと、見守るつもりで、部屋を通り過ぎるたびに、目をやった。 だけど少年は、静かにそこにいる。 3度目通… もっと読む 365 SS 3.3
小さなちいさな世界が好きだった。 並べて眺めるのが好きだった。 どんなふうにソレが出来てるのか、作り方を知るのも楽しかった。 例えばフランス語っぽい小さなラベルが張られた、グリーン色したボトル。 たとえば生クリームのヒダ… もっと読む 365 SS 3.2
「ばーちゃん、クッキーは~?」 しめっぽい下の戸棚を開けて見回す、タンスを見上げて手で探る。 「ん~?」 「クッキー!めずらしく無いの~?」 冷蔵庫の中を一応開けてみるけど無し。 「んなとこに入っとらんね」 「えー」 「… もっと読む 365 SS 2.28
拝啓アイ・ラブ・ユー 始めて君に手紙なぞ書いてみる。 今頃君は、誰と、どんな風に過ごしているだろうか。 今となっては、君が隣にいたあの頃がとても懐かしく思う。 あれはつい先日の事のハズなのに、もう随分昔の事のようだ。 さ… もっと読む 365 SS 2.18
布団の中で こそこそと、まるで殻に閉じこもるように世界を遮断した。 自分の匂いで自分しかいない空間。 唯一落ち着く時間。 ゆっくりと静かに息をして、親指の爪の先をほんの少し囓った。 柔らかい堅さの爪の感触が歯に伝わって、… もっと読む 365 SS 2.5
噛み締めた感触は、むぎゅりと歯に触る弾力。 ようやくおにぎりを口に含んだ。 砂のような口内に、ほんの少し、お米の甘みを感じた。 世界は今日も朝を迎えてて、いつもと変わらずなんでもない日を過ごす73億人。 シンクの下に眠っ… もっと読む 365 SS 1.17
福袋ラスト一個ぉお! セール開催中でーす 一万円相当が入った福袋が三千円で!! 買いに来た人も見物客も店員さんも、みんな大忙しで街は大騒ぎ! クリスマスに彩っていたページェントへの気持ちはどこへやら。ひょうたん揚げを食べ… もっと読む 365 SS 1.2
キーーーン、 髪も服もはためき持って行かれそうになって、慌てて鞄を抱きしめた。 上空を通り過ぎる轟音に釣られるように空を見上げる。 色白の高い空は冬を表している 耳鳴りが少しずつ遠くなっていって、やがて着陸するんだろう。… もっと読む 365 SS 12.7