365 SS 10.19
「ってことで、海外旅行に行く?」 「今度は海外っすか……」 「会社の社員旅行って事で」 「いやいや……行けるんすか??行けるなら行きたいっすよ俺は」 「よし、上司に掛け合ってみよう。」 「え、マジっすか?」 「行ってこい… もっと読む 365 SS 10.19
「ってことで、海外旅行に行く?」 「今度は海外っすか……」 「会社の社員旅行って事で」 「いやいや……行けるんすか??行けるなら行きたいっすよ俺は」 「よし、上司に掛け合ってみよう。」 「え、マジっすか?」 「行ってこい… もっと読む 365 SS 10.19
くるっと巻かれたロールケーキ。はみ出た生クリーム。 ふわふわのスポンジケーキ。 お値段はそんなに高くない。 スーパーで売ってる、なんの変哲も無いロールケーキ。 だけどやたらクオリティの高い美味しいロールケーキ。 なーんで… もっと読む 365 SS 9.9
「ぎゃー!!!ハチ~~~!!!」 ふと見ると、ぶーん、と羽音を優しくならす蜂。 あんまり早くない飛びっぷりと、優しい羽音と、なんとなく丸いフォルムですぐに解った。ミツバチだ。 「あ~ミツバチだー」 「そりゃそうでしょ!蜂… もっと読む 365 SS 8.3
夏という事で、新しいグラスが会社に置かれる事になった。 まぁるい小さなグラス。 まるで畳のようなコースターがセットになっている。 来客用にと用意されたグラスだけど、皆面白半分珍しい半分でグラスを使いたがっている。 今日こ… もっと読む 365 SS 6.1
「1日350グラム以上の野菜と200グラムの果物!!」 「いやそんなの無理でしょうよ」 健康食品好き・・・と言うか、健康オタクな彼女がまたそんな事を言っている。 「無理じゃ無いって~!」 「そんなのいちいち気にしてるほう… もっと読む 365 SS 5.31
健康食品好きの彼女が、また妙なモノにハマったらしい。 「・・・なんだって?」 『だからアーモンドミルク!駅前のコンビニに売ってるから』 「アーモンドミルクぅ?」 そんなもの全然見当たらないし想像もつかない。ヒントが少なす… もっと読む 365 SS 5.30
「幸福って何だと思う?」 「え?化学?」 「ちゃうわ!!」 「幸福って言われるとつい……」 「たしかに……。なんだかんだで私も最初に思い浮かんだのソレだった……」 「ほらね?そう考えると、大成功やな」 「言えてる……。罪… もっと読む 365 SS 5.29
「ってことで、アフリカに行く?」 「ん?」 「アフリカに旅行。」 「え?いや行かねぇよ!」 「行かないの?」 「行かないだろ!」 「なんで?」 「なんでってお金かかるし休みも取らなきゃだし」 「会社の社員旅行ってのはどう… もっと読む 365 SS 5.17
「ツキヒはハクタイのカカクにして」 「ん?」 「行き交う人もまた旅人なり」 「どうゆう意味?」 「月日というのは旅人のようなものだってこと」 「行き交うは?」 「通り過ぎる人もまた旅人のようなものだってこと」 「ふーん」… もっと読む 365 SS 5.16
暑い日差しの中で彼女が見上げたペットボトルの先から滴った水滴 透き通った薄紅色の液体が、揺らされた振動で波打った。 ごく、っとこちらまで聞こえてきそうな潔い飲みっぷりに見惚れる 小さな喉仏が何度か揺れて、ググッとペットボ… もっと読む 365 SS 5.12
「雨ですねぇ」 意図して無かった言葉を掛けられて、「あぁ」と返事がワンテンポ遅れた。 「雨ってなんか憂鬱な気分になりますよね~」 「ああ、・・・そうですね」 何となく答えたけど、返事が面白くなかったらしい。鈴木さんは暫く… もっと読む 365 SS 5.10
嬉々とした目で見つめられて午前0時。 イヤな予感を察知しながら無視を決め込む。 蒸し暑い夜。夜でも真夏を感じる暑い夜。 「行「行かない」く?」 喰い気味で拒否を伝えると「ええ〜〜〜?!」と心底残念そうな声を出されて「行か… もっと読む 365 SS 5.9
苦いモノはあんまり好きじゃない。 『体に良いから買っちゃった』らしいゴーヤで調理されたチャンプルー。 ところでチャンプルーってどーゆう意味だ? お互い沖縄出身でも無いから良く分からない。 わからないまま出されたゴーヤチャ… もっと読む 365 SS 5.8
小麦粉買ってきてくれる?と母にお使いを頼まれた私は、売場で困惑していた。 ・・・小麦粉。 帰りがけ母から連絡が来ていた。『小麦粉買ってきてくれる?』というメッセージに『OK』とスタンプを押して返事した。 スーパーに寄り、… もっと読む 365 SS 5.7
小さな気泡がクリームのように浮かんでいる。 深緑色をほんのり覗かせ、淡い緑色が泡立つ。 大きな湯飲み茶碗を両手ですくい上げる。 両手の平をめいっぱい使ってようやく収まるほどの茶碗。 やさしいミルク色のうわぐすり。飲み口は… もっと読む 365 SS 5.2
会社の廊下で見つけた。 観葉植物に隠すように捨てられているゴミを拾おうか拾わないか、迷った。 〝ゴミ拾い〟 それは、とても聞こえが良いかもしれない。 だけど、このご時世では、ゴミ一つ拾うことさえ考え込んでしまう時があるの… もっと読む 365 SS 4.22
「なんか面白い番組ないね〜」 振り返ると彼女がリモコンを持っていた。明るい笑い声が響く。画面のテンションが9回切り替わる。 既視感のある画面が現れ始めたところで、ブツンと画面が真っ暗になった。 「だからお前は!消すなっつ… もっと読む 365 SS 4.21
遠くから見ても解るオレンジの実が付いている、真っ白な花をつけた木。 車窓から見える一瞬のオレンジ色に目を奪われる。 定感覚で植えられたオレンジの木。 夜には暗くなってしまうから、朝の出勤時だけに見られる風景。 混み合う電… もっと読む 365 SS 4.14
「白いと言ったら、」 続きが言えなくて言葉に詰まってゲームに負けた。罰ゲームはデコピン。 順番に4人にデコピンされていく、 あの子もデコピンに加わって、俺のオデコへバチンと当てる。 「いっ、ってぇえええ、」 思いのほかデ… もっと読む 365 SS 4.6
古い、汚い、狭い路地に惹かれて奥へ進んだ。 橙色の提灯(ちょうちん)が並ぶ夜の横町。 小径へ目をやると立ちションしてるおじさん。 へべれけで肩を組むサラリーマンとすれ違う。 とんこつの匂いにむせそうになって、誰かのゲロを… もっと読む 365 SS 4.5
自分はいつも一番乗り。 まだ開いてない裏口から鍵を使って開けて中へ入る。 ロッカールームへ行き荷物を置いて制服に着替えて、ロビーの電気をつけてデスクへ。 細々と雑務をしてるうちに、見回りの派遣がやってくる。「おはよう」「… もっと読む 365 SS 3.26
町まで見る余裕なんてなかったから知らなかったけど、朝出歩いてみて、まったくゴミが落ちてない事に驚いた。 「おはようございます」 後ろの方で声が聞こえた。この時間に人がいるのも珍しい。コツコツ歩いてくる足音が近づいてくる。… もっと読む 365 SS 3.23
隣に住む人は変な男だ。 ある日の早朝わたしはとうとうその人を見た。 今まで姿を見た事なんて一度もなかった。 気持ちの悪い妙な髪の長さでうしろに束ねて、こんな朝から出かけてヤバイ事をしてるに違いない。 痴漢か、万引きか、ス… もっと読む 365 SS 3.22
WOw,WOw,Walk on!walk on! 英語がふがふが響く、イヤホンから流れる小さな世界が大きな存在感で私を満たす WOw,WOw,Walk on!walk on! Stay safe tonight〜… 私の… もっと読む 365 SS 3.19
毎週水曜日は会社前にコンビニへ寄る。そして雑誌コーナーの前に着き、入って2日目の少年漫画を読む。 「……いらっしゃいませ〜」 朝、と言ってもまだ混む前の6時半。毎週水曜日だけ現れるその人は、先客の男性に気がついて立ち尽く… もっと読む 365 SS 3.17
谷口さんのまあるい指先が金平糖をひとつ摘んで、口元へ運ぶ。 自分の席から見えるのは、谷口さんの後頭部。 谷口さんのおやつの時間は毎日、3時。 彼女がおやつを食べる時は、だいたいひとつずつだけ食べる。 30分くらいかけて、… もっと読む 365 SS 3.10
「あ、すみません……」いつもの調子で言った時だった。なんだか変な空気を感じて顔を上げた。揺れる電車の中、目の前に居たのは外人で、不思議そうな表情を見せた。 体格で言えばケンタッキーの前に置いてあるカーネルおじさんのような… もっと読む 365 SS 3.9
布団の中で こそこそと、まるで殻に閉じこもるように世界を遮断した。 自分の匂いで自分しかいない空間。 唯一落ち着く時間。 ゆっくりと静かに息をして、親指の爪の先をほんの少し囓った。 柔らかい堅さの爪の感触が歯に伝わって、… もっと読む 365 SS 2.5
噛み締めた感触は、むぎゅりと歯に触る弾力。 ようやくおにぎりを口に含んだ。 砂のような口内に、ほんの少し、お米の甘みを感じた。 世界は今日も朝を迎えてて、いつもと変わらずなんでもない日を過ごす73億人。 シンクの下に眠っ… もっと読む 365 SS 1.17
好きな果物なに?と聞かれて私は心底辟易しながら「アボカド」と答えると、「えっなんで?!つーかアボカドって果物?!」と返された。 果物だよ、と返せば 「イヤイヤ普通イチゴとかリンゴとか桃とかあんじゃん!俺はイチゴが好き!!… もっと読む 365 SS 1.15