観葉植物に隠すように捨てられているゴミを拾おうか拾わないか、迷った。
〝ゴミ拾い〟
それは、とても聞こえが良いかもしれない。
だけど、このご時世では、ゴミ一つ拾うことさえ考え込んでしまう時があるのだ。
「・・・、」
観葉植物に埋め込まれたような200ミリの牛乳パック。
無視して通り過ぎようとして5歩。
結局、無視できなくて踵を返す。大股3歩で戻って、サッと自分の鞄の中に入れた。
誰も居ないと思ってた廊下。
どこかの会社で働いている誰かがちょうどこちらへ曲がった所だったらしい。
スーツを着た女性に、多分、見られてしまった。
「・・・」
なんとも居心地の悪い心持ち。エレベーターが来るのを待つ。
女性はそのまま通り過ぎて行った。
ホッと胸をなで下ろす。
どうやら不振には思われなかったらしい。
いや、もし思っていたとして、〝気持ち悪いから無視〟したのかもしれない。
不法投棄
ゴミの所有権
プライバシー侵害
おおきな課題が増えてしまって、環境問題どころじゃない。
〝4月22日はアース・デイです!地球を大切に。ゴミはゴミ箱に捨てましょう!〟
会社のホワイトボードに書かれた『☆今週の取り組み☆』を見ながら、小さな呼吸をひとつした。
4月22日はアース・デイ!アース・デイをテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–