暗闇から近づいてくる大きなパレード専用フロート車。
近年は家庭で一般化されつつあるLED電飾や発光ダイオード、光ファイバーや電球がキラキラ輝く。
噂によると最近の電球は100万個。
夢を乗せて音楽を乗せて、閉園まで束の間の最後の夢。
たいして見えないキャラクター達。
不安定な父さんの肩車で、どうにか高い視界にたどり着く。
ようやく見えた先にはドレスを着た外人。
こちらを優しく見守りながらゆったりと手を振るプリンセス、腰を抱いて微笑むプリンス。
「お父さん!」
振り返ると子供がジーパンを掴んでいた。
デパートで買い物しようと歩いてた道すがら、『35周年!』のポップと流れてたパレード・ミュージックに記憶を呼び起こされていた。
「お母さんどっか行っちゃったよ!スマホ貸してよ!」
「はいはい〜」
子供にスマホを貸すと慣れた様子で電話を掛ける。
「今年は行くか、ランドに」
人混みなんて大嫌いだけど、子供の為ならそれも良い。
何度聞いても良いもんだ。
子供はスマホの向こうの母親に夢中だ。
あのパレードを自分の子供にも見せたいと思った。
父さんの肩車を感じただけでも、意外と思い出に残るもんだ。
4月15日は東京ディズニーランド開園記念日!東京ディズニーランド開園記念日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–