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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 4.14

遠くから見ても解るオレンジの実が付いている、真っ白な花をつけた木。

車窓から見える一瞬のオレンジ色に目を奪われる。

定感覚で植えられたオレンジの木。

夜には暗くなってしまうから、朝の出勤時だけに見られる風景。

混み合う電車の中でも、ついついその場所に来ると窓の外を見ようとしてしまう。

サラリーマンのスーツとOLのカバンの隙間から、今日もとついつい頭を傾けた。

流れ去る風景、一瞬のオレンジと白い花。

今の時期だけ見れる、毎朝ちゃんと来る自分へのご褒美。

最後のオレンジの木が通り過ぎる瞬間、いつもはいない男の人が居るのが見えた。

キャップを被りパーカーを着てた男の人。一瞬だけの横顔。剪定の人か、それともオレンジをくすねに来たのか。

オレンジの木の花言葉は『気前の良さ』。

きっと少しくらいくすねても、オレンジは怒らず渡してくれるだろう。

(いいなぁ)

なんだか無性に羨ましくなった。

朝の一瞬の出来事。

今日も、仕事がんばろう。

なぜだか優しい気持ちになった。今日は爽やかな一日になるだろう。

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4月14日はオレンジデー!オレンジデーをテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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テーマの著者 Anders Norén