365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.25

もしもガウディが日本に住んでいたらどんなものを作っただろう。

こちらは地震大国の日本。一方向こうは、地震が少ないスペイン。

ガウディだったらどんな風に設計したのだろう。ガウディだったら、ガウディだったら……。

『まーたガウディ?とっくの昔に死んだ人より、生きてる人に目を向けたら?』

自分はしがないサラリーマンの建築家。だけどやっぱりガウディは大好きだ。

未完の設計図を遺した建築物は、今なお作り続けられている。

『サクラダファミリアは2026年に完成予定らしい』
『まだ10年もかかるの?大変ねぇ』
『お前、ちゃんと休暇取れるようにしておけよ。』
『えっ、まさか行くの?』
『当然だろ』
『10年後なんて……もっと先に伸びるんじゃないの』

そしたらまた、ガウディの事を考えるだけさ。

『そうかもな』

未完の設計図の続きを沢山の人が夢見てる。誰かの心の中で、夢を作り続けている。ガウディは今なお、生き続けている。

『いつになるんだか』

そう言って妻は笑った。

きっと妻の心にも、ガウディが来たのだろう。

End.

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テーマの著者 Anders Norén