「べつに、いい、やらない。」
とうとう言ってやった。とうとうそう言ってやった。
やらない、って言うことは大事なことだ。
先生は『あなたは本ばかり読んで』なんて言うけど関係ない。
僕にとっては、本を読まないあなたのほうが『心配』だ。
ドッジボールに誘ってきたクラスメイトは、ボールを抱えて校庭へと走って行った。
紙の優しい質感、めくった時の心地よい音。牛乳を飲みきれずに教室に残ってるあの子と、「ドッジボールなんて手が汚れるじゃん!」と騒ぐ女子たち。
窓の外へ目をやると、暫くしてクラスメイトたちが校庭へ飛び出してきた。
赤い服、白い服、緑の服、ボーダー、ストライプが駆け回ってボールを投げつけては、はしゃぐ。
窓から昼休みの太陽が降り注いで眩しい。カーテンをひいて影を作ると、クラスメイト達の姿は見えなくなった。
遠くに聞こえる楽しそうな声。女子達の会話のネタは芸能人へと移行する。
ぺらりとめくる紙の質感。遠くではしゃぐクラスメイト達の歓声。静かに牛乳と戦う女の子。井戸端会議を続ける女子達。
お昼休みの匂い。
僕は吸い込まれるように、物語の世界へ。
4月23日は世界図書・著作権デー!世界図書・著作権デーをテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–