365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

天界で肩たたきにあって人間界に降りてきたおじいさんと夜はキャバで働いてるお姉さん。

私の斜め横の席に、おじいさんとお姉さんが居る。

お姉さんは熱心に、メールの文章をおじいさんに読み上げているようだ。

おじいさんは、目が悪いのだろうか、それともメールの文字が打てないのか、携帯の使い方が解らないか、あるいは全部なのだろう。

にしても、メールの内容がなんだか少し不穏な気がする。

『あなたは恵まれている。』だとか何とか。

うーん、いったい誰にメールを打っているのだろう。

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実はおじいさんは、天使あるいは神の役目を持った人で、お姉さんは、それをサポートする人。

本当は天界に居たお偉い神様だったんだけど、ひょんな事から大きなミス。おじいさんという事もあり、だんだんボケてきてしまって、天界で『ちょっと人間界にでも行ってきて』と肩たたきのようなものに合ってしまう。

しぶしぶ人間界に降りてきたおじいさんは、長らく天界で『人への助言』をして生きていたので、仕事なんて出来るはずもなく。
しかし天界での経験を生かしてどうにか人の役に立とうと思ったら、カウンセラーという仕事が向いている事に気がついた。

『おお、これこそ私が今までもしてきたこと。』

そうしてカウンセラーを目指そうとしたものの、タウンワークに目を通せば『経験者優遇!』『要資格』などと書いてあり、そもそも電話番号へ掛ける術もなく。

たまたま歩いていた先でキャッチに捕まり、『携帯の乗り換えが今なら0円ですよ〜!』なんて口車に乗せられて、気づけば一番最新のスマホを購入。

幸い現金だけはたんまり持たされていたので、店員さんに目を付けられてネットを契約、ついでに銀行、クレジットカードも契約させられ、『ありがとうございましたあ!!』と店員は上機嫌に。

ようやく解放されたものの、スマホの操作方法が解らない。

どうしたもんかとお茶を飲んでいると、お姉さんが話しかけてきた。

ちなみに付近にはキャバクラがあったりする町。お姉さんはもしかすると夜はキャバクラで働いているのだが、そういった仕事は『魂』にとっては善でも悪でもないため、おじいさんはスルー。

カウンセリングの仕事がしたい、と伝えると、おねえさんは少し考えて、2ちゃんに書き込み、スレッドを立てた。

『昔天界にいて神やってたんだけど質問ある?』

『時給いくら』『一番大変だったのはどんなこと?』『今は人間界にいるってこと?』いろいろ書き込みを見ながら、お姉さんは更に書き込む。

『天界の経験生かして、おまえらの悩みとか聞く』

そうしてちらほら、悩みが書き込まれるようになった。

バカにする人も時々居るけど、そもそも冗談だと思いながらもノッてくれる人もいる。

お姉さんが文字を読んで、おじいさんが答える。

お姉さんがそれを書き込んで、おじいさんは頷く。

『あ、そろそろ時間』

お姉さんがそう言って、おじいさんは頷く。

そうしてお姉さんに渡って行った三千円。

あの三千円は、今夜の夕飯代にでもなるのだろうか。

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なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんてね!!!!!笑

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