365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

ザギンを歩いてて突然うんこを左腕に被る(こうむる)確率について

今日私は、おシャンな一日を過ごしていました。

なんと、日本橋、京橋あたりです。日本橋、京橋あたりと言えばつまり銀座。

いわゆるザギンです。ザギンなんて私は滅多に行きません。なんでかって遠いし単価が高いし『あたし美人だから』って顔に書いてあるような人ばっかりいるじゃない?

私なんてどんなに頑張っても『あたぴ貧乏れす』ぐらいが精一杯なんです。

しかしそれでも今日はザギン。キバってこーぜ!!!!と自分に渇を入れながら、自分が持ってる『一番美人っぽい』ファッションで望みました。

ベージュのタンクトップっぽいトップスと、ユニクロで買った黒のスキニーパンツです。

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(着用スタイルをお見せできないのが残念です。お見せできない理由は大人の事情です。実のところは見せたくないだけです。いずれお見せするかもしれませんが、それはまたいつかの機会に。)

そうしてザギンを闊歩していました。

なんとスニーカーは新品です。

先日買ったばかりの、『暑くて靴とか履いてらんない』という素直な感情に牙をむいて、どうにか履いてきたスニーカーです。余談ですがここ最近はずっと同じサンダルでした。

おろしたてのスニーカー。しかも私としては珍しい白です。それはもう純白と言える程の光り輝くピュア・ホワイト。

そんな姿でザギンを闊歩していると、道の脇に生えている草さえ美しく見えるものです。

道の端とは言いましたが普通に植え込みです。ザギンが景観を良くしようと癒やしの為に置いているのでしょう。何という高い美意識。さすがザギンですね。
そんなおシャンな街、ザギンの風に煽られて、思わずパシャリ。

浮かれポンチは私だけではありません。インスタ映えを狙った女子や、旅行中らしいパリピっぽい外人も写真を撮ってました。

今日は休日と言う事もあってか、歩行者天国を開催していました。

とりわけインスタ映えを狙いたい気分になるわけです。

台風が過ぎ去った開放感からか、私もいつもより大胆に道の中央へと躍り出ます。

別に誰も見てませんが躍り出ました。誰も見てないというよりは、目を合わせないように見ない振りをしていたというのが本当かもしれません。

しかし今の私はスーパー・レディー。なんでって『一番美人っぽい』ファッションにおろしたてのピュア・スニーカー。

ザギンの風が私の頬を優しく撫でて行きます。

気づけば道のセンター、私を止めるものなの誰もいません。いや、居てなるものですか。

今日だけは許して欲しい、スーパーレディーのお出ましですから。

道の脇に生えている植え込みの植物たちに『HEY…,say.good bye…』と意気揚々と声掛けして、元いた小道へと戻りました。

おシャンな雑貨屋さんがあったので、全く何の用も無いにも関わらず寄ろうという事になったのです。

おシャンな街へ行くと誰しも少しは心揺り動かされる事でしょう。

おシャンな店に居るあたし、つまりあたしもオシャン。

店前にはオシャンだけあってレモネードを販売していました。本気の外人カップルが『OH!!!』とか言いながらキャッキャしてます。

それを横目で眺めながらインサート、これまたオシャンなポストカード達が並ぶ店内を『ああ、最近はこんな風に飾ってんだ』とディスプレイ・デザイナーばりの感想を心に浮つかせつつポストカードを手に取ります。

『あっ、可愛い~☆』

この時わたしの中にある感情は『可愛いっていってるアタシ(可愛い)』です。

でも今日は許して欲しい、だって今日はスーパーレディー。

慣れないことをしてたからか、ポストカードを落としました。

『あっ、やだ・・・』

勿論しゃがむ瞬間もスーパーレディーを意識しています。足下にはピュア・スニーカー。

きらめく純白のスニーカーに生意気な微笑みを返しながらポストカードを元に戻しました。

そしてふと気づきました。腕に何か茶色いものが着いていることに。

おや?

まるでチョコペンが通ったかのように、スッと一本の茶色い何か。どちらかと言うと液体っぽい質感。

『どこかでショコラでも腕に着いたのかしら?』

そう思いながら、もう片方の手でぬぐいました。

ズッと引き延ばされた茶色い液体。

ん・・・?

・・・まさかな?

クンッ

(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

くせえ!!!!!!!!!!!!これうんこだ!!!!!!!!!!!!!!

スーパーレディーの腕にかすめたモノがまさかウンコだなんて信じたくありません。

10回嗅いだけどウンコでした。
友人に嗅がせようと思ったらナチュラルに無視されました。
おい、何気なく無視してんじゃねぇ!!!!

慌てて体を見渡してみますが、他にそんな痕跡はありません。

いったいどこから?なぜ?いつから?まさかあのフォトジェニックな瞬間から?

歩行者天国のセンターをインスタ映えを狙いながら闊歩してたあの瞬間?
それとも植物たちに挨拶したあの瞬間に?

人間が普通に生きてて突然うんこを被る(こうむる)確率って、どれくらいだと思いますか?

私の場合は、32年分の2です。

小学生の時、脳天に受けたカラスの糞。あれが私のファーストインパクトいや

ファースト・うんこでした。

おわり

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