最近の広告が面白い。
最近の広告は、心に響くキャッチコピーが多い気がする。
『面白い』と表現したが、『響く』という意味だ。
中でも最近心に刺さったのが、SEIYUの店内に貼ってあったポスター。
『安いクセして。』
そんな言葉で綴られた広告。
「あら田中さん!」
「まぁ、高橋さん!」
「何買ったの?」
「うん、今日はカレーにしようと思って」
「あら、サラダも作るの?トマトもあるわね」
「そうなのよ。本当は違うスーパーもあったんだけど、ついこっちに来ちゃうのよね」
「わかるわ~!ここ、トマトは新鮮でおいしいし、カレー粉もそこそこ安いのよ」
「そうなのよね~!!わかるわ。ほんと安いクセして、割と良いもの売ってんのよ」
「わかる!ほんと安いクセしてね」
「そうそう、安いクセしてね!」
まるで、こんな主婦の会話が聞こえてきそう。
すごく素敵なキャッチコピーだなぁと思った。
積極的に『新しい表現』を使う時代へ
表現というのは、使い古されていく。
新しい表現を見つけて、みんなが賛同し、そればかりを使うようになる。
知らず知らずのうちに『表現』を模倣し、似せて、『二番煎じ的な面白さ』を使いがちだ。
そんな中で、『安いクセして』というのはとても新しく、確信をついていると思う。
一見ネガティブに見える『クセに』という表現。
だけど『安い・クセして』という使い方で表現は一転する。
こういった表現方法は昔からあったと思う。
技術的な観点から考えると、さほど新しい手法では無いのかもしれない。
しかし、話はもう一歩 飛躍する。
『積極的に新しい表現を使おう!』という時代になってきたと感じるのだ。
背景/一瞬で有名になる『素人』
最近はインスタグラムやTwitter、フェイスブックなど、SNSが盛んだ。
SNSは凄い。
名も無い『素人』が一瞬で有名になる時代。
ほんの十年前くらいはSNSなんてメジャーでは無かった。
その頃は『素人』が発表できる場なんて無かったのだ。
つまり『その世界』にいる人しか携わる事が出来なかった。
例えば、いくら女子高生が『タピオカミルクティー美味しいし可愛い~!』と発言しても、
タピオカ専門のお店がオープンするまでには至らなかった。
いや、オープンしたとして、数年かかったのだ。
『現場のリサーチ』や『女子高生へのインタビュー』を経て、
需要があるかどうか見極め、店舗を借り・・・、
という『生の声』が、なかなか『その世界の人』に伝わらなかったのだ。
しかし今は、現場の『生の声』がSNSを通じて、すぐに把握する事が出来る。
結果的に『流行り』は素人でも発信できるものとなり、
一瞬でバズり一瞬で流れ去る。
そんな『時代』になったのだ。
『素人への悔しさ』をバネに。/積極的な挑戦へ。
一瞬でバズり一瞬で流れ去る。
『瞬発力』の時代に突入したのだ。
少しでも的外れな言葉を使えば、置いていかれる。
間違った事を言えば、一瞬で拡散される。
大勢の反感を買えば、炎上する。
そんな時代だからだろうか。
昔よりもずっとずっと多くの企業が、『表現の大切さ』を噛みしめている気がする。
ダサい大人のやり方では流行らない。
へたくそな真似事では見抜かれてしまう。
『素人』という『時代のプロ』に淘汰されてしまう。
だからこそ、多くの企業が『表現』に気を使い始めた。
『広告』は、その最たるものでは無いだろうか。
何週間、いや何日間で移り変わる車内広告。
すぐに張り替えられるポスター。
大人がとうとう『積極的な挑戦』を仕掛け続けなくてはいけない時代が来た。
『素人への悔しさ』をバネに、
まだまだ世界は、面白くなっていく気がする。