365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

とうとう会社を辞めた。

転職は初めてじゃない。
つまり退職も始めてじゃない。

3回ほど転職してるので不安はない。

しかし今回が一番辞めるのが大変だった。

ジリジリと自分でも気づかない間に精神が消耗されていった。

ジリジリゆっくり消耗されていくので、自分が苦しんでる事になかなか気づけなかった。

ある日突然体調を崩して、会社に行けなくなった。

タイミングや行動範囲の兼ね合いから、始めは麻疹だと思った。

その後、病院へ連絡して指示を仰いだら、たらい回された。

行き着いた病院は後から調べると散々な評判だった。

ほかの病院へ行ってみたり検査をしてみたけど何も見つからない。

結局のところ精神的なモノなのかもしれない。今も原因は解らないが、数ヶ月前よりはだいぶマシだ。

ただ、体調がマシになった今、もうあの会社に戻りたいとは1ミリも思わない。いや、行こうと考えると何故か『絶対無理』と思ってしまう。

『行きたくない』と思ってしまう。そんなのワガママだ、って思っても『それでも行きたくない』と考えてる自分がいる。

こんなに引き止められたのは初めてで、辞めるまでにこんなに時間が掛かったのも初めてだ。

上司は私の為を思って、と言って退職を先延ばしにする事を勧めた。

結果的に、それは私をより一層苦しめる事になった。

かなりまともな会社ではあるので、退職届を出すと暫くして離職票が届き、雇用保険の案内が届いた。

雇用保険に入っていたので、自己都合の退職後でもきちんと申請し手続きを踏めば、毎月多少お金を貰う出来る。

退職前の6ヶ月間の給料を180で割った金額が、毎月振り込まれる事になるそうだ。

体調を崩し会社に行かなくなった(行けなくなった)時点で、辞めていればもっと貰う事が出来た。

過去のことを言っても何も変わりはしない。

憎みたくもない。考えたく無い。想像したくない。

私はここからまた歩いていくだけだ。

おわり。

次へ 投稿

前へ 投稿

© 2024 365文

テーマの著者 Anders Norén