365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 9.5

ハムスターがゴロゴロゴロゴロ回し車を今日も回している。

夜になると一生懸命走るハムスター。時々唐突に止まって固まったかと思うと、またゴロゴロゴロゴロ。

その姿が可愛くてなぜか見てしまう。

ゴロゴロゴロゴロ。

「……これで自家発電でも出来そうなくらい回ってるよなぁ~」

ハムスターが一斉に回し車で回ったら、それこそエネルギーを蓄えられる気がする。

そしたら今よりもっともっとクリーンなエネルギーになる気がする。タービンとかそんな物騒なモノじゃ無くってさ。

「……無理か。」

一斉に回し車を回すハムスターを想像して、エサ代とか場所とか、ハムスターの健康とか考えたらやっぱ止めた方が良いなと考えついた。

石炭火力発電は、割とクリーンなエネルギーらしい。

「とは言え、ねぇ」

300パーセント、クリーンで安全でお金も掛からないエネルギーなんてあるんだろうか。

人間が原始時代と同じ生活をした方が、よっぽどクリーンになるなと考えたら鼻で笑ってしまった。

「……無理か。」

End.

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