「これ捨てて大丈夫ですかあ?」
と後輩が手に持っていたのはフロッピディスクだった。
薄く平べったい、およそ正方形の黒い物体。金属の金具のようなパーツが付いている。
後輩はそれを逆さに持っている。思わず「逆だよ」と言ってしまったが後輩にはどうでも良いことか。
「逆?」
「持ち方、上下が逆」
「逆とかあるんすか?」
「あるある。そっか知らないのか」
「知らないっすね。なんすかコレ?」
「それはなー、えーとUSBみたいなもんだな」
「えっコレがっすか?」
「そうそう、その金属んとこを入れるんだよ」
「えっ?これどこに入れるんすか?入らなくないっすか」
「あー、ワープロだからな」
「ワープロ?」
内心、おお〜、と思ってしまった。そうかあ、もうワープロそのものも知らないんだなあ。
ワープロかぁ〜、懐かしいな。
後輩の頭上にはクエスチョンマークが沢山浮かんでいる。
ワープロかあ。懐かしいな。
End.