365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 9.13

『9月13日は海外定期飛行便が始まった日らしいぜ。』

アイツから来た返事にそう書いてあった。

慣れない場所で寂しがってるかなぁなんてただの杞憂で、随分楽しく過ごしてるらしい。

アイツは世界でもやっていけてるんだろう。

返事が全然来ないから、もうすっかり忘れてるんだろうと思ってた頃に届いた手紙。

この手紙も海外定期飛行便で来たんだろうか?

すっかり涼しくなった秋の夜長にコオロギが鳴いている。

とっくの昔にツバメは巣立って、世界の時間は随分進んだ。

バカみたいな笑い声が聞こえない事に慣れた今日、次は何の日に手紙を書いてやろうかと考える。

すぐに返事をするのはしゃくだから、思い出した時にでもまた書いてやろう。

秋の夜長に鳴いたコオロギがの声が、随分淋しく聞こえる気がした

End.

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