365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 8.4

軽快な音楽、騒々しい話し声、盛り上がるテーブル、だだっぴろい空間

そこかしこで楽しそうな笑い声。

煉瓦造りの大きなワンフロアは洞窟のような雰囲気さえある。

どこが外国のような空気感で気持ちも開放的になる。

「おねえさーん!エビスみっつ!」
「はあい!」

ビアホールが好きだ。

このなんとも言えない感情が行き交うこの場所が好きだ。

声を吸い取るような高い天井が好きだ。

グラスにキラリとゴールドのスターが映える。

ビアホールは、みんなの青春だ。

なぜか一瞬だけ、乾杯する瞬間の人たちの笑顔が海賊に見えるのは何でだろう?

「「「「カンパーイ!!!」」」」

笑顔が弾ける。

それぞれにある、それぞれのビール。

今夜も夜が更けていく。

閉店後のしんとした店内で、笑顔が残るこのホールを、静寂と共に片付けている瞬間がまた、実はちょっとだけ好きだったりする。

End.

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テーマの著者 Anders Norén