道の日
中学生の頃の話。
友人と、5駅先のショッピングモールへ出かけた。
お互いに、何度か車では連れて行って貰ったことのあるショッピングモールだ。
2人きりで行った事は無かったけれど、冒険心みたいなものが湧いてきたのだ。
たった5駅。されど5駅。
5駅までの間に分岐点があったのを、私たちは知らない。
見慣れない光景が増えてきて、お互い何となく気が付く。
だけどなぜか言えなくて、
しばらくそのまま乗っていて、
だけどとうとう怖くなって、
いよいよ、とある駅で降りた。
全然違う場所へ来たのは、お互い何となく解った。
周りは山と道路と田んぼしかない。
帰りの電車は2時間後だった。
ゆっくり揺らぐ田んぼ。青い空。繋がれてた家畜の牛。帰れないかもしれない不安。何もない駅。見渡す限り、誰もいない土地。
あの時行ったあの場所は、今はもう絶対に辿り着けない場所だ。
「ずっと歩いたら、たぶん戻れる(笑)」
そう言って笑ったあの場所は、たぶんもう行けない場所。
どんなに道が張り巡らされていても、
どんなにお金があっても、
とっくに大人になっていても、
もう二度と辿り着けない場所はあるのだ。
End.