365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 7.4

友人のカーディガンの脇下に穴を見つけた。

「ちょっと!脇の下穴空いてるんだけど!ウケる〜」
「え!うわ本当だ〜恥ずかしい」
「そーいやいっつもそれ着てるよね?カーディガンそれしかないの?いい加減新しいの買いなよ〜!」
「あ〜、たぶん中学生とかかな?なんかこれ気に入っててさ」
「えー中学とかヤバいんだけど!!何年着てんの?!10年とか?!」
「あ、そうかも〜」
「えヤバくない!ウケる〜さすがに買いなってー!!」
「えーやばいかなぁ?あ、でもこれ縫い目のとこがほつれただけっぽい。また縫えばいいや〜」
「えなに自分で縫ってんの?」

「あ〜、うん」

そう言われて驚いたと同時に、すごいと思った。
わたしには買うしかないけど、この子自分で直すんだ。
不器用な自分には信じられない。
縫うなんてめんどくさいし細かい作業だし道具も必要だし大変だ。
すごい。

「ふーん」

なんだかちょっと悔しいから、ふーんとしか言えなくなってしまった。

私ももう少し、モノを大事にしようかな、と思った。

End.

次へ 投稿

前へ 投稿

© 2024 365文

テーマの著者 Anders Norén