「なんか嬉しそうだけど、どうかしたの?」
まぁるい、それでいてギザギザの縞柄。緑と深緑のずっしりとした見事なスイカを見てたら、声を掛けられた。
「嬉しくって!」
「え~?なんで?」
「みんなでスイカを囲むのが!」
「えー、スイカ好きなの?」
「うん!」
「あんまり美味しくなくない?」
違うんだよ。
スイカはね、味じゃ無いんだ~。
大きいから、まるまる一個はひとりじゃ食べられないの。
「スイカの柄が好きなの!」
「え~、ガラ?」
「うん!」
あの柄をちゃんと見れるのは、みんなで食べる時だけなんだ!
「ふ~ん。緑色が好きなの?」
「うーん、みんなで見れるのが好きなの!」
「…そっか。みんなで?」
「うん。みんなで!」
スイカの柄は特別なんだよ。
みんなで食べる時にしか見られないの。
あの柄が見れる時はみんなでスイカを食べれる時なんだ。
だから私はあのまんまるの、おおきなふとったスイカが大好き!
End.