晴れ間の中にぽつんと、雨の日が現れた。
しとしと降りしきる雨。
川へ水滴を垂らしひとつまたひとつ、波紋が広がる
――こんなしとしと雨の日は、ぽつんと現れた雨の日は、まるで河童でも現れそうだ。
わさわさ植わったシダの葉で、頭をひと撫で、すると人間に化けることができるらしい。
こんな雨の日は、しとしと湿度の高い日は、まるで河童でも現れそうだ。
そこにまた波紋がぽつり。
あぁなんだろう、と見やると、小さな白い蜘蛛が一匹。
木の上から糸を垂らして、降りた蜘蛛がさらさらと水面を歩いて行った。
ーーあぁもしかするとあれは、芥川の龍之介か。
晴れ間の中にぽつんと現れた雨の日に、そんな彼の事を思うのだった。
7月24日は★★★の日!★★★の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–