365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.27

「ねぇ、うちも色々あったらどうしよう」
「ん?なんのはなし?」
「だから、もし詐欺にあったりとか・・・」
「えぇ?なに急に」
「さいきん詐欺が流行っててね、それがうちの近くみたい」
「そうなの?誰かが言ってた?」
「言ってたもなにも、見てよほら、ここに書いてある」
「どれどれ?・・・ああ、ネットの情報か」
「ネットの情報ってなに?ちゃんとしたサイトだよ」
「ちゃんと?うーん、どうかなぁ」
「なによ!!心配だから言ってるのに!うちが詐欺にあったらどうするの?」
「そうだねぇ。それは困るな・・・。」
「そうでしょ?それでね、ほら、ここに書いてあるんだけど、コレを使うといいって」
「ん~?どれどれ・・・。いやいや、これはダメだよコレこそ詐欺だなぁ」
「ええ!?どうして!?だってパソコンから警告が出てるし音も鳴るのよ!怖いのよ、どうにかして!」
「ああ、はいはい・・・、大丈夫、消したから」
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫」
「でも今のは何だったの?怖かったわ・・・」
「うーん。まぁパソコンも色々あるからな・・・。」
「なによそれ・・・。もう訳がわからないわ・・・。」

最近は、ネットリテラシー、というのが問題になっている。

ネットリテラシーは〝情報ネットワークを正しく利用することができる能力〟だそうだ。

正しく利用できるもなにも、かなりたくさんの事を知ってないと、ネットワークを上手に利用するのはきっと難しい。

いつか誰でも、上手に利用できるようになるんだろうか?

じつはその昔、『メディアリテラシー』が問題になったことがある。

事件現場近くに住む無実の男性が、マスコミにより犯人扱いされる報道被害があった。

現代とは少し背景が違っても、けっきょく『人』そのものは変わってないんだなと思う。

これから先、メディアじゃなく、ネットでもない新しい何かが出来たとして、また私たちは『リテラシー』という問題にぶち当たるんだろう。

人間に感情がある限り。人間が人間である限り。人間が熱を持った存在である限り・・・。

いつか機械のように、冷静な人間ばかりになってしまうんだろうか?

そう考えると、わたしは、熱の持った人間がたくさんいるこの世界が好きだ。

好きだ、というのもまた、ひとつのちっぽけな感情なんだろう。

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6月27日はメディア・リテラシーの日!メディア・リテラシーの日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–

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