365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.23

「警察官は?」

「パブリックだねぇ」
「消防車は?」
「パブリックね」
「トイレは?!」
「パブリック!」
「じゃあごはんは?」
「うぅーん?パブリックかなぁ?プライベートかなぁ」

今日は『国際パブリックサービスデー』とか何とか言う日らしい。慌てて『パブリック』の意味をググった。公共、公衆、大衆。
どこからか聞いてきたらしい子供に質問攻めにあっている。
子供の質問というのは時にかなり厄介だ。

なぜって、私が大人だからって、正しい事ばかり知ってる訳じゃ無いからだ。

「トイレはパブリックだけど、ごはんはプライベートなの?なんで?」
「えぇ~?・・・。」

そう言われて改めて考えてみる。確かに、言われてみればおかしいかもしれない。
トイレは生理現象だ。じゃあごはんは?何を食べるかはまた別だけど、空腹というのは生理現象。
と言う事は、食事も、食事をする場所もパブリック?

「・・・そう言えば、社員食堂とか、炊き出しとかあるわね・・・って言うことは、パブリックだ!」
「そうなの?!やったぁ~!!」

子供は自分の考えが当ってて嬉しいのか、喜んでいる。

私の『正しい』が、この子の『ただしい』になる。

私の答えがいつも正しいかは解らないけど、出来るだけ正しい答えを教えてあげたいと思った。

End.

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テーマの著者 Anders Norén