春には白く小ぶりな花を咲かせた木が、いよいよ梅の実が熟し始めている。
まぁるい花びらを見て、梅の木かなぁ?なんて予想はついていたが。
梅の実がなっているのを見ると、やっぱり梅だったんだなと確信した。
青い梅から、黄色の梅へ。
そろそろ食べ頃だろうか?
ふと、梅越しに空を見上げる。
さっきまでの晴天から、どんよりとした雲が近づいてきている。
そうか、6月。
そろそろ梅雨の時期の始まりか。
パラパラと降り始めた小雨に、鞄を頭にのせて雨をしのぎながら、小走りで駅へ向かった。
梅が熟す時期は、梅雨が始まる時期。
『入梅』は梅雨入りを言う暦の日。
やっぱり昔からの言い伝えはホントなんだな、と納得する。
それは令和になっても変わらない。
新しい時代の始まり、だけど例年と同じ事が続いている。
そんな当たり前のことになぜかひどく安心して、なぜか口角は上がっていた。
6月11日は入梅、梅の実の日!入梅、梅の実の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–