365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 6.11

梅雨特有のシトシト雨。


静かに優しく続く雨。

まるでこのままずっと永遠に続きそうなくらい、優しく静かに柔らかく降っている。

ほんの少し寂しいような。ほんの少し切ないような。

見下ろせば、カラフルな円がパッと咲いた。

雨の中、子供達が色とりどりに駆け回る。

くるくる回ってぱたぱた掛ける。

けらけら子供の笑う声と、お母さんたちの追っかけっこ、あぶないんだから!と怒鳴る声、お母さんに掴まえられて、また笑う楽しげな声。

迎えに来た黄色い幼稚園バスに吸い込まれていく子供たちを見ながら、なんだか優しい気持ちになった。

ほんの少し悲しい時、やさしい雨に癒される。

それはこの湿気の多い空気に、心もやさしく包み込まれるからだろうか。

End.

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テーマの著者 Anders Norén