365 SS 12.10

ぼくのアロエベラ

ぱくり、口の中へ吸い込まれていく柔らかい白いものにどきりとして目を逸らした。

そんな事を知らずに2口目。3口目で再びそれを見た。

紅い唇に はむっと食されていく白い物体。
見られているとも知らずに4口目。

時々スプーンを持った方の手だけテーブルに降りては、薬指がスマホの画面を流していく。

食べてるんだか食べてないんだか、雑に減ってくアロエヨーグルト。

気もそぞろで食べるもんだから時々盛大に床に落とす。

ある日君は珍しく金色のスプーンを使ってた。

カシャンと音を立てて落としたスプーンとヨーグルトが落っこちて「うわ!」と慌てる。

木片をくりぬいた造りのスプーンじゃないから、乗せたモノはつるりと滑って床を汚した。

今日は安定の木をくり抜いたデザインのスプーン。
君の口の中へヨーグルトが運ばれて行く。

毎朝何気なく食べている姿をそんな風に眺めてるなんて、君が知ったら気持ち悪がるかもしれないから言わないでおこう。

「さむっ」

身を縮こまらせてピョンピョン座高でジャンプして温まろうとする君。

「寒くない?!」

強めの語気で、楽しそうに慌てながら訴える瞳と目が合った。

やましい気持ちでほんの少し頬が熱くなる。
「さむいねぇ〜」目を逸らしながら、こちらも身を縮めて応えた。

『冷蔵でキンキンに冷えたのが好きなんだよね〜』

下着姿で嬉しそうに食べてた夏。

今日もキミは飽きられずに、寒くなっても健在だ。

薄紅色の舌がペロリと窪みを掬い取る。

頬を染めながら今日もまた僕は、なんてことないフリをしながら目を逸らした。

朝日がほんの少しだけ差し込むリビング。君はスウェットから白いふわふわのニットへ着替えた姿で、薄暗い部屋のなか今日も頬張る。

End.