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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

Mamihlapinatapai!マミラピンアタパイ

先日、電車に乗っていたとき、私は優先席に座っていた。

2駅進むと、家族が乗ってきた。

お父さんは赤ちゃんをだっこして、お母さんはベビーカーを抑えてて、お兄ちゃんはてすりに掴まってた。

少し揺れた拍子に、お母さんが手すりに近づこうと3歩。

私はそれを拍子に、席を立ち離れた。

Mamihlapinatapai!(マミラピンアタパイ)

お母さんはさらに3歩。お父さんへ席を促し、着席する。

お母さんはこっちの手すりを掴んで、ほんのすこし会釈した。

私もほんの少し会釈した。

同じことを考えたりしている二人の間で、何も言わずにお互い了解していること。

ヤガン語ではそれを『マミラピンアタパイ』と言うらしい。

果たしてその言葉がしっくり来ているかどうかは解らないけど、先日の出来事に、そんな言葉を思い出した。

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