招き猫は年中無休で働いている。
「にゃぁ~あ」
通り過ぎて行く人を眺めながら欠伸を一つ。
「飽きたにゃぁ~」
チラと見てきて人と目があった。
チョイチョイ。
片手をこまねくと、引き寄せられて人が寄ってくる。
「いらっしゃいませ~!」
「あ、どうも……」
いつものように美紀ちゃんがお客さんに声を掛ける。
「この招き猫、ちょっと変わってるんですよ。可愛いですよね!」
明るい声が響く店内。
(ちょっと変わってるって、どうゆう事かにゃぁ~。)
「ありがとうございましたー!」
結局お客さんは小物を買って帰っていった。
「……猫ちゃん、今日もありがとうね!」
美紀はいつものようにナデナデと招き猫を撫でた。
(まぁ、美紀ちゃんが喜ぶから、やってあげてるだけにゃあ~。)
ゴロゴロゴロ……。
店頭に置いてある招き猫は、いつも美紀が撫でているからぴかぴかだ。
心なしか、招き猫も嬉しそうだ。