365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 9.29

招き猫は年中無休で働いている。

「にゃぁ~あ」

通り過ぎて行く人を眺めながら欠伸を一つ。

「飽きたにゃぁ~」

チラと見てきて人と目があった。
チョイチョイ。
片手をこまねくと、引き寄せられて人が寄ってくる。

「いらっしゃいませ~!」
「あ、どうも……」

いつものように美紀ちゃんがお客さんに声を掛ける。

「この招き猫、ちょっと変わってるんですよ。可愛いですよね!」

明るい声が響く店内。

(ちょっと変わってるって、どうゆう事かにゃぁ~。)

「ありがとうございましたー!」

結局お客さんは小物を買って帰っていった。

「……猫ちゃん、今日もありがとうね!」

美紀はいつものようにナデナデと招き猫を撫でた。

(まぁ、美紀ちゃんが喜ぶから、やってあげてるだけにゃあ~。)

ゴロゴロゴロ……。

店頭に置いてある招き猫は、いつも美紀が撫でているからぴかぴかだ。

心なしか、招き猫も嬉しそうだ。

---スポンサーサーチ---

次へ 投稿

前へ 投稿

© 2024 365文

テーマの著者 Anders Norén