365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 9.25

「今日カレー10円だってよ」友人がスマホを見せて来たので「んなワケ無いだろ」と言いつつ画面を見ると本当だった。

「え、マジで?なに?チャリティー?」

チャリティーで10円とはどうゆう事か。ふつうチャリティーって言うと、どこかに寄付とかじゃないの?と思いつつ記事に目を通す。

「どゆこと?なんで?」
「この店が昔一回燃えたんだって」
「え、火事?」
「知らんけど。燃えたけど、店再興してーって全国から励まされたんだって」
「うん」
「で、再興したんやって」
「おお」
「再興を願ってくれてありがとーって事じゃね?」
「は?なんで?再興のお金とか貰ったんかな」
「さあ?知らんけど」
「・・・。」
「なんかでも、ユニセフに寄付って書いてあるな。」
「え?10円しか利益ないのに?」
「10円で食べに来たお客さんが、募金もしてるんだって」
「ほー…」
「あ、違うわ。募金に協力してくれた人に10円カレーが振る舞われるんだって」
「あーそうゆう事ね。」

10円でカレー食べれるなんてラッキー、とか思った自分を一瞬恥じた。

「「……」」
「これからその店に10円でカレー食べに行こうとか思ってただろ?」
「いやいや、思って無い。いや、まぁ食べに行くならそれでも良いけど」
「10円で安くてラッキーとか思っただろ」
「思って無いって」
「マジで?オレは思ったけどね」
「おぃいい!」

心が貧しいとは悲しい事だな。
コンビニ弁当を買った時、レジ前にあった募金箱へと小銭を入れてみた。

(10円でカレー食べて千円募金した方が良かったな)

と思ったとは、さすがに言えない。

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