ただの日常は思い出に残らないのに、旅行に行くと絶対に思い出に残るのはなんでだろう?
普段と違う事をしてるから?
だからなんか、身体の全細胞が活性化してるような、そんな感じ。
きっと目に映るもの全てが物珍しくって、目新しくって、見知らぬもので、記憶に残っていくのかも。
食べ慣れない味付けに『あんまり美味しくない』ってなるのも、なんでか良い思い出なんだよね。
私が一番記憶に残ってるのは、夏休みのある日。
いとこのお姉ちゃん家族と出かけた数日間のお泊り。
移動はいとこの車にのったり、自分の親の運転する車にお姉ちゃんが居たり。
一年に一回ぐらいしか会わないから、ハラハラして、ドキドキして、かっこよく思えて、楽しくて、緊張した。
帰り道は悲しくて。泣き顔なんて見せたくなかったから、ふてくされたような態度になったのを覚えてる。
『またね~!』っていとこのお姉ちゃんの両親が言うけど、
どうせ次に会うのは来年でしょ、って淋しく思う。
そんな脳裏の片隅にある記憶…。
あぁ、そろそろホントは、私が『両親』になる年齢かぁ。
なんとなく苦い気持ちになりながら、仲の良い友人との、気兼ねない旅行の計画を立てる。
私はまだまだ、青春真っただ中だ。
苦い気持ちに、蓋をした。
8月10日は宿の日!宿の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–