365文

365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 7.3

差し出したソフトクリームに、躊躇無くかぶりついてくれるから夏の海は最高だ。

梅雨明けしたばかりの暑い日。複数人のグループで海に来た。

海開きはまだ先だけど、気持ちが良いからと皆を誘って。

普段なら誘っても来ない君が、二つ返事で良い返事をくれる夏。

たぶんそれは全部ただの夏のせいだ。

そんな事は解ってるんだけど、遠くを泳ぐヨットに期待をせずには居られない。

空を歩く、モクモクとした白い雲に期待をせずには居られない。

白浜の残りかすの白泡に、期待をせずには居られない。

女子たちが好んでパシャパシャやってるインスタグラムは好きじゃなかったけど、今日は急に良いモノに思えた。

「そこでジャンプ!!!」と無理難題を言ってくる君の笑顔が可愛いから、これはもう全力で乗っかるしか無い。

シャッター音に紛れて僕のスマホも君を映す。

君のスマホに自分を映した写真があると思うと嬉しくて飛び上がる。

たぶんそれは全部ただの夏のせいだ。

だけどそれでも良いから、今日はこのソフトクリームに思いを込めて、もう一口。

ソフトクリームは格別の味がした。

End.

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テーマの著者 Anders Norén