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365日ぶんの、フラッシュ・フィクションたち。

365 SS 7.16

クロアゲハが自転車屋さんの室内に入っていって、店員さんが数回ジャンプして、外へ出そうとしているのが見えた。

ひらひらと店内を舞う黒い蝶々。

店員さんがほうきを持ってきて外へ追いやる

蝶々は、ひらひらと迷いながら、店内と外を何度も行き来しながら、名残惜しげに空へと上がっていった。

まるで迷子になったクロアゲハ。

ビルの隙間を縫うように上昇していく。

そんな迷子のクロアゲハの行く先を、何人かが見上げて見送った。

ひらひらと舞うクロアゲハ。

祖母の葬式の日にも、不自然に舞う蝶々を見た事を思い出す。

ひらひらとみんなを見るように舞って、ひらひらと何処かへ行ったクロアゲハ。

ーーああ、今日はお盆か。

そんなことを思い出した。

おばあちゃんが、挨拶しに来たように思えた。

End.

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テーマの著者 Anders Norén