駅から降りて小路を歩き、大通りを渡る壁伝い。
なんだか情緒ある雰囲気の景色。
このへんって文豪が多かったのかもしれない。
そんなふうに感じさせた。
しばらく歩くと、山へ登っていく階段。
なんだか妙に誘われてる気がして石段を上がっていく。
左手に見えたのが『林芙美子記念館』。どうやら今日はお休みなのか、時間が終わったのか、入れなさそう。
石段の上を見上げると、細かな虫がわらわらと飛んでいて、「うわっ」と思わず声を上げながら虫の集団を走り抜ける。
そのまま一段また一段と、石が積み上げられて出来ている階段を上っていく。
てっぺんまで登って見下ろすと、生い茂った緑で少し薄暗い。
天気が良いのに薄暗い雰囲気は、嫌な空気なんて微塵も感じられなくて、むしろ清々しささえある。
あぁ、林芙美子。
どんな人か私はまったく知らないけれど、この場所はとっても良い場所だ。
ただそれしか解らなかったけど、それでも良いかと思わせた。
思い思いに、好きに解釈していいよと、好きに楽しんでおいき、と、声を掛けられたような気がした。
★月★日は★★★の日!★★★の日をテーマに書いたフラッシュ・フィクション。毎日『今日は何の日?』をテーマにショートショート書いています。–