紫陽花(あじさい)を模した上生菓子(じょうなまがし)が、黒い四角い、小さな小皿に置かれている。
添えられた黒文字(くろもじ)を手に取り、ナイフのように餡を切る。
一口サイズにしてから、今度は楊枝のように刺して口へと運ぶ。
優しい上品な甘さが口内へ広がる。
舌触り滑らかなキメの細かい、水色の餡。
なんとも贅沢な時間を感じながら、お抹茶を頂く。
日本の文化のハズなのに、今となっては遠い存在。
イチゴの載ったショートケーキやシュークリームの方が、よほど身近な存在になってしまった。
細かなマナー、気配り、ルール。それがきっと日本の良さで、生真面目すぎる良くないところ。
だけど、きっとそれが、本来の姿なのかもしれない。
背筋を伸ばして、また一口。
所作に気をつけながら食べる和菓子は、キリリとした気持ちになった。
ぴんと伸ばして、しゃんと。
End.