ダイエット、という単語が脳裏を通り過ぎたのを見送って、ショーケースに並ぶキツネ色の塊をマジマジ眺める。
お肉が美味しそうなメンチカツ、じゃがいもがホクホクそうなコロッケ、夢が詰まったカキフライ。
どれにしようと悩んでから、「コロッケひとつください!」
やっぱりここは定番のコロッケ。
薄い紙で包まれたホクホクコロッケが手に温かい。
早くも白い紙へ、じんわり油のシミが出来始めてる。
お金を払ってその場でソースを掛けてもらう。サクサクのコロモを通りゆっくり下山していくソース。
身を翻して外を向くと、そのままパクリと噛り付いた。
歯触りが良くザクザクッ!中の餡がホクホクであっつい!
口から湯気を出して必死に温度調節する。噛み付いた切り口からもフワワと湯気がたゆたう。
思い切って口を閉じる。アツツと耐えつつモグモグモグ、ジャガイモが口内の水分を奪って、衣からあふれた油とときどき入ったベーコンからじゅわわと広がる。
ソースが口内を味付けする。
ふんわりと牛脂の味。
あ〜〜これこれ、元祖コロッケ〜〜!!
「ねー見て、おいしそ〜」
通行人のカップルにそう呟かれながら、コロッケうまー!とふたたび噛り付いた。
End.